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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
四の巻
91/153

節介

 橙矢様のところが済むと、今度は道場に移る。

そこには実道様も千隼様も、もう道着に着替えて熱心に稽古が始まっていたの。


清志郎様が私を見て、静かに頷いていた。

は〜〜い、急いで用意します!!!


慌てて道場の角の見えないところへ駆け込んだ。

清志郎様と朔太郎様は、清志郎様のいつもの定位置に座ろうとしているところだった。


あぁ、忘れてたけど本物の間者に稽古を見学されるんだ……。

まいったなぁ、頑張って練習したとはいえ、隙だらけだったらどうしよう……。

……良いや!! ダメなら稽古をやり直そう!!

私は、早くも開き直ると稽古の和に加わっていった。


いつもの通りの稽古をこなし、対面で打ち込みの前にふと気がついた。

清志郎様と朔太郎様が、色々話し込んでいるみたいだ。

私の集中力が、早くも切れた事を見通した実道様が、

すかさず私に小声で話しかけてくる。


「雫、敵でないものを気にしてはいけません。

分かりましたね?」

ジッと私を見るグレーの瞳に、吸い込まれるように私の意識は

稽古へと戻っていくのが分かる。

「はい、分かりました」

私は、そう答えると、数分の休憩の後に稽古に戻って行った。


その日の稽古は、熱を帯びていた。

実道様達、祈りの民に付く護衛の皆の稽古の真剣さに

思わず他のメンバーもつられて行ったのだと思う。

毎日、真剣に稽古しているものの、間近に迫った任務があるとなると

真剣さに、さらに重みが加わっていくのが分かるの。

いつもこの重みがあれば良いと剣士全員が思っていると思う。

でも、なかなかそれは難しい事で皆がそれぞれに刺激をもらって成り立っている。

いつも清志郎様のようになれるなら、皆んな管理職だもんね。


稽古において、私にも弱点はある。そう、かなり直すのに苦労しているところ。

刀は、美しく綺麗いに切れるものだ。でもある点においては

非常に繊細なものなのよ。

例えば、刀を地面と並行にして平で衝撃を受けたり、

棟で衝撃を受ける場合。刀は真っ二つどころか三つにも粉々にも

衝撃を受けるものなの。

私は、普段は竹刀で稽古していたから、刀の面や向きを気にしたことがないの。

それが、こんなにも直すのに時間がかかるなんて……!!!


私は、普段は木刀で稽古している。刀のように折れたりはしないけど

刀の向きを気にすることができるからなの。

これがね、思ったようには、いかないのよ……。

相手が強ければ強いほど、その事を気にすることができなくなってしまうの。

はい、まだまだです……。


今日も、あれやこれやと試行錯誤して稽古を終えると、

清志郎様から声がかかった。


「雫、お前は残るように」

「はい」

私は、座って手をついた。



はい、居残り決定です……!!!

おおぅ……、どの特訓……?


朔太郎様は、そんな私を見てニッコリ笑った。

……待って……、その優しい微笑み、どこかで見たような……。

……実道様だ……!!!


私は居残り特訓の覚悟を、決めるしかなかったのだ。

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