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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
三の巻
77/153

一夜

 職人の皆さんの話を聴きながらの食事は、

美味しくもあり、興味を惹かれる話もあり、随分と弾んでいた。


刀を打つには、20以上の工程があるそうだ。

確か元の世界では、打ったあとに研師や鞘師、白銀師など多くの職人の手を経て

やっと一振りが出来上がった気がする。

この世界では、それをするのも刀鍛冶の職人に入っているみたい。


普段は、日用品を作って技を磨き、刀は古来から受け継がれた方法を

忠実に守って再現するものなんですって。

何週間もかけて、色々な人の手を経て仕上がる刀。

それは、美しいわけだわ……。


楽しい夕餉も済み、お風呂もいただいてしまった。

水浴び覚悟で伺ってたのだけど、何人もで寝泊りしながら作業する小屋なので、

大きめの湯船はあったのよ。助かった……!!!

どうにも、お風呂に入らないと落ち着かないというのは

元の世界で恵まれていた証拠だと思う。

遠くに遠征にいくことになったらってことを考えると、

慣れないといけないなって思うんだけど、ついつい石鹸でアワアワにしたくなる。

その心配をすることがないってことは、今も恵まれてるんだろうなぁ。


お部屋は、さすがに私達一行で一部屋だった。

大きいお部屋なので、問題はないのよ。

私が女性だということを内緒にしてもらっているから、

当然のごとく、そうなるよね。

橙矢様は、涼しい顔で

「格別なおもてなし、痛み入ります……」

と、頭を上げていた。

ま、橙矢様が良いって判断してるなら良いか。


そう思っていたのに、部屋に入るなり実道様が

橙矢様に小声で詰め寄った。

「橙矢様……、さすがに雫と同室は、マズイのでは……」

「実道、諦めろ。こればかりは伯母上と言えどもあかせぬ」


ん??……伯母上って言った?

「橙矢様、橙子様は御親類なのですか?」

間髪入れずに質問してみる。こうしないと橙矢様に

はぐらかされてしまうことが多々あるのだ。

「ああ、雫には話していなかったな……。橙子様は、

私の父の妹にあたる。とは言え、あちらは職人、こちらは文人なので、

年に何度か顔を合わせる程度だ。今回は、念の為に文を送っておいた」

「そうだったんですね。さすが御親類。落ち着きっぷりが……」

「雫、褒め言葉としてく受け取っておこう。お前、だんだんと打ち解けてきたな」

……打ち解けた……? うん、そうかも……、そう思っておこう。


真面目な実道様と千隼様のアイディアで、私は1番奥の布団を使わせていただき

そこから畳一畳分を律儀に空けて、皆さんが布団を並べていた。

布団の上で、蒼を撫でながら呑気にはしゃいでいた私に、

実道様は渋い顔を崩さなかった。だって、修学旅行みたいで楽しかったんだもん……。


この日も蒼は、私に散々撫で回されると満足そうにキュッと鳴いて、

部屋を出て行った。

小鬼って、寝るときは屋根裏って決まっているのかしらん??

首を傾げた私に、伊吹様が笑いながら話してくれた。

「雫様、小鬼は夜半になると小鬼の世界に戻っていきます。

それは自然なことなので、今が無事であるということになりますよ。

どうぞ、ゆっくりお休みください」

「……はい、伊吹様」

私は、素直に頷いて布団に潜り込んだ。

「おやすみなさい」

そういうと、実道様が明かりを消してくれる。

「お休み、雫。良い夢を……」


これだけの強者が集まっているのだ。蒼もいる。

私は、隼を枕元におき、しっかりと熟睡させてもらったのだった。



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