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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
三の巻
72/153

手段

 ゆっくりと美味しい昼餉(ひるげ)、お昼ご飯をいただいた私達は、

出立の時刻まで、部屋で寛がせてもらうことになっていた。

おかげでシッカリと蒼に、ご褒美をあげられたの。


蒼は、ギューーっと私にしがみつき、嬉しそうにスリスリしていた。

橙矢様は、変わらずジッと蒼を見ている。


「橙矢様、蒼はめずらしいんですか?」

「そうだな、……小鬼がそもそもめずらしいのだ。

その中でも蒼は、かなりめずらしいと思うぞ。

……うむ、めずらしいと言うよりは、蒼しかできないこともありそうだ」

「蒼しか出来ないこと……?」

「お前は初めて小鬼を見たと言っていたな」

「はい、その通りです」

「……小鬼はな、こんなに器用に手伝わん」

「……??」

はっきりと言い切った橙矢様に、私は蒼の顔を見て

首を傾げた。

「雫、蒼を基準にせぬようにな。蒼は、お前の言うところの

ハイスペックだ」

橙矢様、そんなカタカナ覚えてたんですね……?

しかも使いこなして……、侮れない……。


「橙矢様、ハイ……スペ?っとは何ですか?」

もちろん千隼様から質問が飛んでいる。

「幾つも優れた能力を持っている者を、そう称するらしい。

ハイスペックだ」

「はあ、ハイスペック……。何やらマジナイみたいですね」

千隼様は、半信半疑といった感じだ。分かる、言葉って

自分の感覚としっくりくる表現ってあるよね。

外来語だから馴染みにくいんだろうなぁ。


「良いか、雫。例えばだ、夏に蒼が開発した冷風送り機、

あれは屋敷の小鬼が皆、喜んで真似をしておった。

それでもお館様とお前の部屋に、蒼が出した冷風送り機が

1番の大きさで、性能も段違いだ。夕刻に出して

明け方まで冷風を送り出せるのだからな」


そういえば、蒼のお友達が出していたのは、小さなタライだった……。


「良いか、雫。小鬼は見たこともない物に案を出せることはなかった。

……蒼が来るまではな。案を出す小鬼は蒼が初めてなのだ。

他の小鬼の力と一緒にしないように気をつけよ」

「……はい、分かりました。お友達の小鬼が倒れちゃったら大変ですもんね。

気をつけます」

真顔で答えた私に、橙矢様は苦笑いして付け加えたの。

「雫、分かっておらぬだろう」

「えっっ? 何がですか?」

「他の小鬼に、力を分け与えすぎぬよう気をつけよ。

お前の褒美も、小鬼の力に関係するやもしれんからな」


ああ、なるほど!!

私は、落語家の仕草のように思わず片手を握り拳にして、

反対の手にポンッッと打った。

「それなら、心配ないと思います」

「……なぜだ?」

「最近になって気がついたんですけど、小鬼によって

ご褒美の時間が違うんですよ。きっちり測ったわけではないので、

確かめたいなら測りますけど……。同じ子が、だいたい同じ時間だけ

抱きついているので、いったい何でだろうっと思ってたんです。

橙矢様のおかげで、見当がつきました。なるほど、個体によって

受け取る器が違うのかもしれません。さすが橙矢様です」


謎が解けたような気分になって、興奮してしまった私に、

橙矢様は、苦笑した。

……あれ??……、違った?


「お前が違ったわけではない。お前が私の予測を飛び越えたのだ。

……何事も、口に出して確かめなければならんな……。

私も心に留おこう……」


橙矢様は、そう言ってお茶を飲んでいた。


……すごい、自戒する橙矢様、初めて見たかも……。

……これってラッキー?……???


まあ、何か役立ったみたいだからいっか。

私は、もう一度ギュゥ〜〜っと蒼を抱きしめることにしたのだった。

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