余韻
大祭の仕事を終えた私たちは、事後処理に追われていた。
剣士は警護に徹していたから、覚書のようなもので1日を終えていたの。
それを、いつもの書面にして提出しなければならないんですって。
私は、今回初めて書面にチャレンジ!!……もちろん実道様のチェック付き。
医師の仁様も、薬師の菊次郎様も、私達と似たような感じ。
患者さんに書いてもらった出身地方、名前、処方をメモ書きにしていただけだから、
それを帳面にまとめられるようにしなればならない。
それから地方ごとに分けて、地方の医師や薬剤師さんに、
詳しい話を手紙にして送るんだって。
だから、剣士の何倍も事後処理に時間がかかるの。
学士の小春は、いつも通り。もっと偉い人たちが、
今年の大祭についての書面を起こして、後世に残す作業をするんだって。
こちらは勇隼様達や伊吹様のチェック付き。
伊吹様達、祈りの民にも、もちろんやることがあるんだって。
まずは、使ったお札を丁寧に回収して、御礼とともに
お焚き上げするみたい。
橙矢様は、常に仕事の種があるお方だから、通常運転。
もちろん私の授業も、さっそく再会。
そして実道様のチェックした私の書面を再チェック……。
なぜか実道様が注意を受けるので、私としては、いたたまれないことに……。
橙矢様の作戦は分かっている。このほうが、驚いた私が
物凄いスピードで物事吸収していくから……。
……もっと穏やかな方法でもいいんですよ、橙矢様?
そんなことに追われていると同時に、私たちは胡蝶様から
ある鍛冶屋を紹介されたの。
ものすごく腕のいい鍛冶職人で、お弟子さんに教えるのも熱心で、
っと言う方なんだけど……。
胡蝶様は、困ったように笑っていた。
「雫様、鍛冶職人として一流の人物です。それに間違いはありませんがね……。
ただ……」
「ただ……?」
「伊吹と同じで、変わっているんですよ……。どうか、驚かないでくださいまし」
胡蝶様にしては、ちょっと言い淀んだ形だ。
「胡蝶様、変わっているって、どういう風にですか?」
「なんと言ったらいいか……、まあ職人肌とでも言うんでしょうね。
気に入らない仕事は、断っちまったりするんですよ」
そうか、自分の仕事に高い誇りがある人なのかも……?
まあ、腕がいい人と知り合えるのは願ってもないチャンスだもんね。
「わかりました。心に止めておきますね?紹介してくださってありがとうございます」
そう言って頭を下げ、紹介状を受け取ったのよ。
……変わり者……。うん、清志郎様と実道様を頼りにしよう。
その鍛冶職人は、刀を打つときだけ山にある作業場に行くんだって。
山に作業場があったんだね。
刀を打つときは、どうしてもそこじゃないといけないって、こだわりがあるみたい。
そっか、これは遠出ってことになるのかな?
私、まだ街中しか行ってないものね。
よし、まずは山に行く準備をしなきゃ……。
こうして私は実道様に教わりながら、少しウキウキして
私は、初めての遠出の準備をしたのだった。




