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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
二の巻 外伝
65/153

模索

 橙矢は、大祭前の準備の指示をした後、

影の行方を追うことに全力を注いでいた。


影は、狙ったように雫の前に現れる。

そして、屋敷内に入り込んでいることも気になった。

最初の道場で現れた時、清志郎に何度も確認したが、

他に怪しい人物はいなかったと言うのだ。

清志郎のことだ、間違いはあるまい……。

そう思ったが、どうにも偶然にしては頻度が高すぎる。

いまだ、雫しか影に会っている人物はいないのだ。


伊吹に問い合わせをすると、皆が見えないだけでは?と返事がきた。

それにしてもだ……。


普通の鬼火であれば、浄化しなければ自覚ない民が巻き込まれる。

でも、今回は影に巻き込まれている者は居ないのだ。


……どうにも、作為的な感じがするな……。


報告書を読みながら、腕を組んで目を瞑った。

鬼火は、人が残していったものだ。だから浄化するときに

慈愛を込めることができる。

雫は、実道に教わったとおり、影に浄化するときに心をこめるらしい。

キラキラ光って空に昇ると話していた。

と、なるとだ。影は、鬼火と似ているものになる。

でも雫は、影と呼び、鬼火と言ったことはない……。


……人が作為的に関わっている……?

橙矢は、我ながらヒヤッとするような考えにたどり着いた。


國内に火種がないわけではない。

地方の豪族、祈りの民の地方派遣、その土地ならではの問題があり、

解決に尽力すると、力を持ちやすい。

その力を、自分だけの力と勘違いする人物も出てきやすくなるのだ。


それにしても……。

橙矢は、國内の勢力図を頭に浮かべた。

気になることがないわけではない。

上司から気をつけるように言われている人物もいないわけではない。

それでもだ……。影に関わるような腹黒そうな人物は居ない。


……これ以上、國内で探しても無意味か……?


そう思ったときだった。小春の一言が頭に浮かぶ。


「仁様……、雫とも話したのです。至宝様がいらっしゃるのは

本当にわが國だけなのでしょうか……」


小春は、難しい顔をしてそう言っていた。

そして、橙矢も難しい顔をしなければならぬほど

そのことについて考えなければならぬ。


……方向を変化させるときだな……。

橙矢は、腕を組みながら決断したのだった。





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