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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
二の巻
57/153

新米

 私は、ジリっと進めた歩みを静かに立ち上がる姿勢に変えた。

隼を走りながら抜けるような体勢に変えたのだ。

実道様も、呼応するかのように同じ体勢になる。


「実道様、私が見えている他の二体は、一本手前の木のところにいます。

揺らいでいるだけなので、やはり気配で増幅するんだと思います。

ですから、静かに気配を消して近づきます。

どこまで近づけるか、やってみましょう。構えて少しずつ気を溜めていきます。

影の揺らめきが強くなったら浄化の合図です。そこがちょうど良い気の大きさのはずです。

まず、私がやってみます。見ていて下さい。

そのあと、実道様に三体目の浄化を試していただいて、

できなければ、私がやります。良いですか?」


私の小声に、実道様も真剣な瞳で頷いた。

「では……」


私のその一言を合図に、気配を消して影の方へ向かう。

静かに、静かに……。

私たちは、決して刀から手を離さず、ゆっくりと歩んだ。


そして、近づくにつれソロソロとした歩みに変えて行ったの。

私の問題は、二体が隣同士にいると言うことだった。

……どうしよう、一気に……そうね、一気に浄化しないと、

増幅された時のことが分かっていない……。

気の大きさを瞬時に倍にしないと……。


その後に残しておく気の問題もあるけど、やってみるしかない。

いったい何故に急に数が増えたのか……?

……ダメだ、目の前のことに集中しないと……。

まずはそれからだ。


私は、二体の前で静かに構え、気の大きさを少しずつ大きくしていく。

静かに、少しずつ、少しずつ……。


あるとこまで大きくすると、突然二体の影が震え出した。

いまだ!!!


私は、一気に丹田に気を集め、隼で空を切った。

ーーお願い、どうか浄化できますように!!!!!


空を切った瞬間、いつものように手応えがあった。

キラキラした粉が、空へ昇っていく……。

いつもなら、ここでホッとするところだ。

でも今日は違う。空に昇っていくものの後ろに

揺らめきが大きくなったのが見えた。


「実道様!!!」

私が叫んだ瞬間、実道様が動いた。

物凄い速さで、間合いを詰め瞬時に気を集めたのだろう。

お札のついた愛刀で、同じように空を切る。

実道様は、切った後すぐに、もう一度構えた。


でも、……奥の影も、美しい光に変化し空へ昇っていく。


……成功、した……?


今回は、周りを素早く見渡す。

他に影は?!

誰かいる?どこに?何かのヒントは……?


残念だけど、私たちから異変は発見できなかった。


実道様は、珍しく肩で息をしていた。

たぶん初めてのことだし、お札にも力をごっそり持っていかれたのだろう。

でもこれで、お札さえあれば浄化出来るかもしれないことが分かった。

そして、見えるようになる人が他にもいるかもしれない。

そういうことだ。


色々の案は、本当に安全になったときに考えよう。

そう思った私は、疲れ切っている実道様に肩を貸し、

仲間ができたことに、飛び上がりたいほどの嬉しさを隠せなかった。


「さ、実道様。蒼達のところに戻りましょう」

実道様は、声もなく頷いたのだった。

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