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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
二の巻
54/153

気配

誤字報告、ブクマ、ありがとうございます!!

 私と実道様の、大祭二日目の警護が始まる夕暮れ時、

実道様は、屋敷内の美しい庭を眺めながら、リラックスしたように

キョロキョロとしていた。でも、ちょっと待って。

リラックスしたように見えるのは、表向きだけなの。

私は、これが非常に苦手だった。

リラックスすると、本当に仕事のことが頭から抜けちゃうんだもの……!!

 

大祭のための稽古に、どれほど時間を費やしたことか……!!!

千隼様に、

「雫様に、腹芸は似合いませぬ」

と、実道様に報告されるくらい、苦手だったの……。

実道様は、笑って千隼様に言ったんだって。

「千隼、雫に似合っていようといるまいと、

雫には必要な事柄です。成長するのを待ちましょう」

って……。


はあ〜〜、すみません。腹芸って、なんとなく罪悪感を感じるんですよ……。

騙していることが、いけないことのような……。

でも、本当の目的をハッキリと持って、そのために演じることの大切さ……。

その目的を見定めると、私は苦もなく、それができるようになった。

ありがたや、ありがたや……。

苦手なことも受け入れてみるものよね。これも見守ってくれる周りのおかげ……。

そう思えるようになった時、やっと大祭の2週間前だったの。 


実道様は、珍しく何かを探していた。

「実道様? 誰かお探しなんですか?」

不思議に思って尋ねた私を、実道様はジッと見ていた。

「雫、今日の蒼は、どこにいますか?」

「……蒼、ですか……?」

思いもよらない質問に、思わず首を傾げてしまった。

「ええ、蒼がどこにいるか知りたいのです」

「ええっと……?」

私は、今朝からの出来事を思い返していた。

「今朝は、いつも通り私の部屋にいました。

身支度を整えて、朝餉を終えて……、稽古に行く時間は

女官さんの手伝いをしたようです。稽古を終えて、夕暮れまでは

私の部屋でコロコロと遊んでいました。お昼寝も一緒にして……。

警護で出かけるときに……、ああ!!!実道様!!いつものように

お友達のところへは行きませんでした。

たいていは、お友達とお仕事して屋根裏に帰っていくのに……。

……んん??、 実道様、なぜ蒼が気になるのですか?」


実道様は、いつになく歯切れが悪かった。

「それが……、なんと説明したら良いものやら……。

蒼が気になるのです……。でも、雫が気に留めていないのなら

問題はありませんね」

無理やり作ったような笑顔……。

「実道様、問題ないわけではありませんよね?

話してください」

ジッと実道様の眼をみると、実道様はハァ〜っとため息をついた。


「雫、よく聞いてください」

そう言われて、実道様の真剣な瞳に、私は思わず頷いた。

「どうにも、何日も前からザワザワするのです。

これは、私の加護のようなもので、何か重大な局面になると

気をつけるようにと、御加護があるようなものです。

私は、伊吹様のように不思議なものは見えません。

変わりに、空耳のようなことが起きたり、落ち着かなくなったりします。

今が、……今が、そうなのです。たぶん、何かが起こります。

……、蒼が、……蒼が、その時に雫の側に居ます。

それが確証となるでしょう。その時に、私が手伝えるかは……。

できるだけ、やってみましょう。雫は、思いついたアイディアは、

なんでも口にしてください。片っ端から試すしかない。

……良いですか、雫? 必ずですよ?」


こんな真剣な実道様を見たことがあっただろうか?

実道様の静かな、でも熱量のある視線に、

私は静かに約束したのだった。



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