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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
一の巻
12/153

初見

 勇隼様の勉学の第一歩は、まずは顔合わせだった。


私が寝起きさせてもらっている部屋の棟とは別の棟に連れていかれ、

一つの部屋に通された。

「ここは私の仕事部屋だ。今からここに、雫に覚えて欲しいもの達を呼ぶから

今日は顔を合わせていて欲しいんだよ」

ご機嫌な勇隼様は、もういつものように余裕で

ゆったりと構えているように見える。

……実力の差だなぁ……。

そう思ったが、そこはしょうがない。一つ一つ進むしかないんだろうな。


「はい、分かりました」

私が素直に返事をすると、何人か部屋へ入ってきた人達……。

あ、女性もいる!!

やっと顔を覚えた人も、そのメンバーに入っていた。


まずは伊吹様。祈りの民と呼ばれて、私の疑問に答えてくれた人。

 勇隼様に頑張るとは言ったけど、正直、完全に納得はできていない。

わだかまりがないかと言われれば、あるよ。でもこの人のせいではない。

皆は、1度持ってしまった怒りを、どうやって(しず)めるのかな。

時間をかけるしか方法が思いつかない……。


次は、橙矢様。変わらず表情が読めないなぁ。

勇隼様も、表情を隠すのが上手いけど、この人は、もっと分かりづらい。

参謀っぽいけど、腹黒じゃないと良いなぁ。


それから、私のこの世界で初めての師匠の清志郎様。勝手に師匠に認定しよう。

その清志郎様部隊の期待の星、実道様。清志郎様はもちろんだが、

実道様の太刀筋は、惚れ惚れとするものがある。


「雫、この中に覚えたヤツはいるか?」

「はい、伊吹様と橙矢様、清志郎様と実道様は分かります」

「そうか。では、その他を紹介しよう」


そう言って説明してもらった人達は……。

まずは菊次郎(きくじろう)様。歳は22歳。

彼は薬師だそうで、文字通り医局に所属しているんだそうだ。

茶色の癖っ毛はクルクルと巻き毛になっていて柔らかそうだ。

そういえば、丁髷(ちょんまげ)を結っている人が、誰もいない!!

菊次郎様は、穏やかな表情によく似合う 緑色の瞳だった。


次は(じん)様。この方は医師で、最近になって勉強のために派遣されていた

隣国から帰ってきたそうだ。歳は28歳。

濃い緑の髪に、黄緑の瞳で、お辞儀した頭を上げたとたん、ウィンクされた!!!

……危険な香りがするので、病気にならないようにしよう……。


そして唯一の女性、小春(こはる)様。私と同い歳だ。

金色の髪を一つにまとめ、ハシバミ色の瞳は知性を感じさせる。

彼女は学士、つまり学問を修め、さらにその道を進む人だそうで

言ってみれば研究者だ。……友達になりたい!!


「私と同じ年代の連中は、目の前の仕事に追われていてな。

今日は紹介できなくて、すまない。この者たちは、雫のために

厳選したんだ。なんでも聞くと良い」

勇隼様はそう言うと、今度は皆に私の希望を説明してくれた。


「……と、いう訳で雫へは、皆と同じ接し方にするように。

それが雫の身を守ることにもなる。

この後から身なりも変える。なに、幸い少年時代にする髪型だ。

それなりに目くらましの効果も出るであろう」


 …… 勇隼様、……最後の一言はいらなかった気が……?

……ま、良いか。なるべく素性は分からないようにしておきたい。

……ここも良い方に解釈しておこう……。


「よろしくお願いします」

私は、目の前に指を揃え、座礼をした。

剣道の礼には、いく通りかある。茶道をやったことがある人は

聞いたことがあるかな?(しん)のお辞儀のようにするの。

真のお辞儀は、最も丁寧な気持ちを動作で表すものとされていて

両手は指先から手のひらがすべて畳につくように、膝に沿って静かに下ろす。

そして頭だけを下げる形にならないように、胸からお辞儀をするんだよね?

座礼は、正座の状態から両手を付き、

両手の親指と人差し指で三角形を作り

三角形のの中に鼻を入れるつもりで礼をするの。

背中は真っ直ぐにがポイントなんだよ。なぜかと言うと

背が丸かったり、きちんと着衣していないと

襟と首の間に隙間が出来てしまうから、

襟に隙間ができないように着装と姿勢に注意するようにって習うの。


どうやら、お辞儀の仕方で気持ちは伝わったみたい。

皆も、同じようにお辞儀を返してくれた。


「さ、雫、では着替えてきなさい。桔梗には

もう話してある」

「はい。では一度、失礼します」


お父さんが生きていたら、こんな感じだったのかな。

少し気恥ずかしい気持ちを抱えて、私は着替えに行くことにした。

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