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ダンジョン探索者だけど猫耳美少女になった件について  作者: 蒼井茜


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37/38

移動

 アネモネを蹴り起こして……正確には蹴った俺の足が痛くなったので耳元でラッパを吹いた。

 ゲーム内アイテムのギャラルホルンという物騒な名前のアイテムである。

 なお単純にモンスターを引き寄せるための物で、主にレベリングに使われるが【ハウジング】の中にはモンスターはいないのでうるせえだけなのだ。

 飛び起きた際に殴られそうになったのは余談としておこう。

 朝からポーション一つ空ける事になったとだけ言っておく。


「で、Dはどう動くつもりですか」


「ダンジョン省は今後来るであろうエルフや獣人の方々の受け入れ、また国民への周知のために活動中です。既にニュースになってますよ」


 車のラジオをつけた雑賀さん。

 確かにエルフがダンジョンから出てきた、今後エルフだけでなく獣人も出てくる、敵対しているわけではないがレベルが高いので注意といった内容だ。

 要するに喧嘩売るんじゃねえぞと言う意味と、ナンパとかするなよ、首が飛ぶぞと言う脅しが入っている。

 一方で友好的と言う内容を伝えており、同時に特定の国家が横やりを入れてきているという情報まで流していた。


「ここまで話してもいいんですか?」


「よくはありません。ただこれ以上トラブルを起こされても困るので牽制を入れておきました。ほら、どこから攻撃されたかは伏せているでしょう?」


「確かに……つまるところこれは事実ベースのカバーストーリーですか」


 ラジオから流れてる情報では保護したエルフはダンジョン省にて休んでいるという事になっている。

 様々な情報が錯綜している中で、このニュースが一番の情報源だろう。

 スマホで見る限りエルフがトレンド入りしているし……いや、たまにエロフとか書いてあるな。

 馬鹿なのかなこいつら、そのエルフ指先だけでお前ら殲滅できるぞ……。

 あとエロくはないが頭は残念だ。

 そんな事を懇切丁寧に教えてやる必要はないけどな。


 あ、マタタビ用意しておくと言ってる馬鹿発見。


「雑賀さん。こいつみたいにマタタビで誘惑しようとする馬鹿は対処してください。最悪そいつの首……というか下手したらじゃれついた勢いで胴体が消し飛んだ挙句、酔っ払った獣人が街中でスタンピード並みの被害を出す恐れがあるので」


「わかりました、禁制品に登録しつつマタタビの販売ルートを抑え、流通先を特定して対処します」


 なんか麻薬みたいな扱いになったな……もしかして今後マタタビの違法所持とか、そういう話題がニュースに出るようになるのか?


「一応確認なのですが……」


「俺はマタタビ扱った事ないんでわからないです。ただ猫じゃらしとか、女子のポニテを追いかけたくなったのでたぶん酔っぱらいます。超頑丈な部屋でエウレカが止めてくれる前提なら確認してもいいですけど……」


「わかりました、女性職員だけのチームで確認させてください。それと血液検査も」


「針通りますか?」


「ダンジョン産の道具を使いますので」


 あぁ、マヨヒガとかあるからな。

 高レベルの探索者になると普通の注射針が通らないというのも珍しくない。

 ともすれば専用の道具を用意する必要があるので、そういう時はダンジョン省に連絡して専門の道具と検査員が護衛に囲まれてやってくるのだ。

 大病院ならともかく、そこら辺の小さなクリニックとかでも見られる光景である。

 大体レベルが3桁半ばになるくらいから針は通らなくなるな。

 そこまでは一般的な医療器具+てこの原理などを使う補助具でどうにかなるんだが……ちなみに糞痛いらしいので麻酔は必須である。

 注射用のテープ式麻酔ってのがあるらしくて、便利な世の中になったもんだ。


「あ、そう言えばエウレカの検査どうします? 既存のダンジョン産でどうにかなるといいんですが……」


「たぶん、注射針は通らないですね」


「エウレカ、腕に針刺そうとしたらどうなる?」


「え? 私のようなスーパーエルフになってくると自由自在ですよ? 局所的にレベルを下げればいいじゃないですか」


 なにそれこわ……手加減の意味かも知らんけど、レベルを下げる方法なんて今の所世の中で知っている人間はいないはずだ。

 そんな事が出来たらパワーレベリングがもっと容易になるし、レベル詐欺が横行する。

 レベルアップって今の情勢だと肉体強度を上げた際の副産物でしかないって言われているし……つまり肉体強度そのままにレベル表記だけ落とす事ができるってことだった。

 それが常識だった。

 それをあっさり覆した。

 局所的にレベルを下げる、そうすると肉体強度も下がる、これは八件とかそういうレベルじゃない話だ。

 学会どころか世界規模で激震走るぞ……。


「雑賀さん、録音してます?」


「常に。そして同時に盗聴不可の無線を使い近場で待機している職員にも伝達しています。彼等は走って追いかけてきているので……まぁ捕獲は困難かと」


「じゃあエウレカちゃんがちょっと捕まえてきても? ウサギと鬼ごっこも楽しそうですし!」


「やめろウサギがミンチになる」


「ぶー」


 ぶーじゃねえよ、普通に一般職員さんにそこまで命かけろとは言えねえわ!

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