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ダンジョン探索者だけど猫耳美少女になった件について  作者: 蒼井茜


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化物

 エウレカなるエルフの手続きは難航した。

 というか難破したと言っていいかな。

 そりゃダンジョンの奥から人類の近縁種、なんなら上位互換が出てきたとなれば世界的な問題に発展する。

 おまけに後日その発見者が、その種族になって、最下層探索も終えて帰ってくるとなればダンジョン発生以後最大級の出来事、というよりもう珍事だ。

 結果的にエウレカの処遇はしばらくダンジョン省が管理する事となり、ついでに外交官も交えて慎重に進めていく事となった。


 外交官がいるのは単純に日本の事情にエルフが詳しくないであろうこと。

 加えてアメリカなどから「エルフに合わせろ、話をさせろ、なんならうちによこせ」と毎分毎秒電話が鳴りやまないという事からだ。

 なお当のエウレカと言えば……。


「いやぁ、美人はモテるから困るよねぇ!」


 まんざらでもない様子。

 やはりうぜぇ。


「で、なんで今になって地上に出てきた」


「なんでって、私が成人したからですよ! 今年で16歳! 本当は15歳になったらすぐに出てきたかったんですけどねぇ。お婆ちゃんがちょうどいい時期だから16歳の誕生日に出なさいって言って、理由わかります?」


 あー、えっと、戦時中の登録者ってのはわかる。

 余り地上に出てこなかったのも有名だが、それでも現代の社会に関してはそこそこの知識はあったはず。

 まぁ浦島太郎みたいな気分を何度か味わってそうだけど、それでも知識的にはエウレカよりあるだろう。

 そういうあたりから考えれば……高校か。


「四則演算はできるか?」


「馬鹿にしてます? 九九も暗記してますし、20桁の掛け算もできますよ」


「……言語学とか、数学とか、そういうのは?」


「エルフは計算して弓を使うので、数字には強いですね。曲線の計算とか面白くて好きです」


「あー、ダンジョンに関する法律」


「おばあちゃんに死ぬ気で叩きこまれました!」


 間違いないと思っていいなこれ、高校入学だ。

 俺と同級生な当たり偶然だろうけど、多少のズレがあった程度だろう。


「学校に行かせたかったんじゃねえかな……親の代でそうしなかった理由はわからんが」


「あ、それならわかりますよ。お婆ちゃん曰く、外の環境変化が著しいから余計な混乱もたらしかねないのと、周囲の安全が保障できないからお父さんお母さんは見送ったと」


 あー、親世代はバブル期か。

 そりゃ無理だ、今も根深く続いてる拉致問題があったし、何なら現代でも探索者の拉致に関する議題がちょいちょい出てくる。

 まぁ一般の探索者を誘拐しようとしても、専業はレベルが高すぎて無理だから学生探索者辺りが良く狙われるけど。


「なので周囲の安全を保障できるくらい鍛えられました!」


「結果的に周囲の安全をぶち壊しそうなんだよなぁ……」


 というかぶっ壊している。

 正面からコンクリの壁ぶち破る勢いで。

 少なくとも20万を超えるレベルとか、ランカーですら見かけねえよ。


「ん? そんなに外の住民は弱いのですか? ん?」


 おい、マジで腹立つなこいつ!


「あんたさっき自分で見てわかっただろ。上層にいるモンスターの弱さ、それを相手取るにも複数人で護衛付けて対応する様子。そんであんたの気配に怯えたり気絶したりした人達」


 ちなみに全員、俺の妹たちも救急車で運ばれていった。

 俺達がいるのは高級ホテルの一室。

 国が貸し切りにして、高レベル探索者とダンジョン省の人間で固めた要塞みたいになってる場所。

 そこで色々な検査を受けた。


 特に俺と雑賀さん、あとエウレカは下層より更に先の深層関係とその接触者という事で念入りに検査を受けて、数日は家に帰れないらしい。

 スウィートルームだから父さんたちが羨ましがってたが……妹たちの心配の次がそれかい。

 まぁ俺という前例がいるから今更か。


「んー、確かに弱いですねぇ。護衛と言ってる人たちも十把一絡げで安売りされてる野菜より弱い」


「なんだその例え」


「ダンジョンの奥だと野菜は戦闘力高いですよ? ニンジンがウサギ蹴り殺してます」


 ……どこからツッコメばいいか。

 もういい、全部無視しよう。


「じゃあその兎とやらには勝てる程度の強さってか?」


「あなたと、もう一人のおじさんくらいじゃないですかね。他の人だと束になって犠牲出してようやく」


 そんな兎を狩るレベルまで気配消したって言ってたよな……駄々洩れなのはそのせいか。


「よし、もっと気配を抑えろ。外の人達に気付かれないくらい微弱に」


「えぇ、それはもう完全隠密じゃないですかやだー」


「やだじゃねえよやれよ」


「そんな事しなくても気配察知で大抵の事はわかるから大丈夫ですよぉ。例えば向こうの建物の上から筒状の物私に向けてる人とか」


「筒?」


「えっと、こんな感じの」


 サラサラと絵を描いてみせたエウレカ。

 器用なのか、随分と上手で……いや待てい!


「銃じゃねえか!」


 それも対戦車ライフルとかの類。


「あ、今ここに指引っかけて……弓を弾き絞るみたいで」


 ガオンと、凄まじい爆音と共にエウレカの上半身が揺らいだ。


「あたた、あれが銃なんですね。聞いてたけど思ったより痛い」


「いや、脳天撃たれてなんで死んでねえんだよ……」


 そう、上半身は揺らいだだけで傷一つ追っていない。

 部屋に飛び込んできた人たちが見たのは割れた窓と慌てる俺、そして動じないエウレカだった。

 うん、こりゃマジで世代が違えば大惨事だったわ。

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