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ダンジョン探索者だけど猫耳美少女になった件について  作者: 蒼井茜


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可愛い可愛いエルフちゃんですよ!

 雑賀さんが投げた致死の短剣だと理解したのは数拍置いてからだった。

 鮮血と、そしてキラキラと砕け散る刃。

 それが視界を埋め尽くすと同時に顔面、続けて首に鈍い衝撃が来た。

 吹き飛びながら致死の短剣が砕かれたこと、しかしその一撃は短剣を砕くだけあって拳に傷を作るのに十分な威力があったことを見せつけてくれた。


「ぷはっ……はっ、はっ」


 呼吸が精いっぱいだ。

 痛いなんてもんじゃない。

 これさっさと治療しないと死ぬ。

 そう思いインベントリからHPの半分を回復してくれるエリクサーを取り出して飲む。

 名前負けと言われそうだが、ゲーム内では四肢欠損も治すし呪いや病魔も退けるというフレーバーがあり、その効果はサブクエストで王族に献上するほどの代物だ。

 つっても数百本あるけど、オンラインゲーム特有のインフレしていくHPに対して50%回復という割合で体力を癒してくれるアイテムはそれなりに重宝されている。


 ヒーラーのMPが切れている時とかはこの手の薬で回復する事も多い。

 一方で再度使用するまでに時間がかかるし、この手のアイテムを複数同時に使用すると中毒症状を起こしてなんらかのデバフ、つまりは能力低下が発生するが、それでも有益なことに変わりはなく確実に折れていた鼻や歯が戻っていくのを感じた。


「……やったんですか?」


「……いいえ」


 雑賀さんにエリクサーを渡して飲ませる。

 短剣で傷ついた拳を見ながら黒ローブは面白そうに手を握ったり開いたりしている。


「存外、やりますね」


「……確実に死ぬという効果がある武器ですが?」


 黒ローブに対して雑賀さんが疑問を投げかける。

 話が通じない相手ではないが、危険度の高いのは変わらない。


「確実な死、さて禅問答になりますが死とはなんでしょう。生命活動の停止? であれば機械の身体を用いているのは不完全な生命? 否、それは魂の剥離。肉体という器から魂というエネルギーが抜け落ちてしまい、器を動かせなくなった状態を指します。広義で言うならば人間の死後数時間は電気信号などのやり取りがありますし、意識がなく弱くとも鼓動が続く場合はまだ死亡していないと言えます。その観点で言うならば仮死状態というのは器から一度魂を抜き取り戻したと言ってもいいでしょう。古い宗教ではンザンビと呼びゾンビの語源になったそうですね。言い得て妙とはこの事だ」


 ……いや、随分べらべらしゃべるな。

 というか元気すぎやしないか?


「そういう意味ではこの砕いた短剣は器と魂を引きはがすものですが、その程度で私を止められるとは思わない事です。この程度じゃ死にはしませんよ。ちょっとだるいだけです」


「……今更だけど、あんたは何者だ」


「あぁ、申し遅れました。佐城エウレカと言います。あー、佐城梅子の孫です」


 そう言ってフードを取った人物は、耳の長い美人さんだった。


「エルフ……?」


「まぁほとんどエルフです。クォーターヒューマンと言い換えてもいいですが、実際ほとんどエルフです」


 なんだろう、ちょっとうざいな。

 テンションというか、殺し合いと呼んで差し支えない戦闘の後とは思えない。


「いやはや、地上付近の人間なんてたかが知れていると思いましたが、これはなかなかどうして強者がいるじゃないですか。私ほどじゃないですけどね! 私ほどじゃないですけど、ね!」


「うぜぇ……」


「三上さん……気持ちはわかりますがおさえてください」


 雑賀さん、それフォローになってねえ。


「しかし佐城梅子さんですか……彼女は今は?」


「腰を痛めて引退すると言い張っているので、その事を伝えに来たのですよ」


「失礼ながらご両親は?」


「両親とも生まれも育ちもダンジョンなので外に興味が無いので私が来ました! そう、この超強いエウレカちゃんが!」


 ……許されるならというか、可能なら何発かその奇麗な顔面に拳めり込ませてるぞこいつ。

 不可能だからやってないだけで。


「あ、これギルドカードって言うんでしたっけ。どぞ」


「……いいんですか?」


「これ外の身分証みたいなものなんでしょう? 私達はちょくちょく無くしますし、興味もなかったので放置してたんですけど必要だから持って行けって」


 ほぼ投げ渡されたカードを見て冷や汗が再び噴き出す。

 レベルが28万を超えている。

 それだけじゃない、スキルを見れば【弓術】【短剣術】【魔導】といった物がずらりと並んでいる。

 しかも備考欄は【アップデート中】と【進化中】の文字がある。


「……雑賀さん、どう見ます」


「……佐城梅子さんに比べたらまだ大人しいかと。あの方は御年102歳、レベルは1810万を超えていたので」


「……それ、死にますか?」


「寿命なら……ありえなくもないかなと」


「あ、祖母なら先日のアナウンス? あれでエルフになって若返ったのであと1000年は現役で行けると思いますよ」


「……雑賀さん、ダンジョンの奥地に生息する会話可能な人間の近縁種がいたってだけでも大発見だと思いますけど、俺と同じように別種族になった人いるみたいですよ」


「……確かめようがないのが悔やまれます」


 まぁ、確かめる方法ないよね。

 深層の更に深い所だろうから。


「あ、腰の痛みが引いたら帰ると言ってたので、そのうち里のみんな連れてくると思います」


「oh……」


 雑賀さんが天を仰いで目元を覆ってしまった。

 そりゃね、急にエルフと共存しましょうねと言われてできるかと言えば……まぁね。

 戸籍とかも必要だし、常識とかも教え込まなきゃいけないから。


「それと獣人の里と、鬼人族の里からも何人か来るみたいですね」


「………………」


 雑賀さんが無言で胃薬飲み始めた。

 飲むというか瓶から煽るようにして錠剤噛み砕いてる。


「あ、あと最下層に到達したから他のダンジョンに潜るとも言ってましたよ。お婆ちゃん」


「最下層……うっ……」


 今度は頭痛薬を……おいたわしや。


「というわけでまずは出口まで連れて行ってください! ここに来るのにも結構迷って、面倒になって空間ぶった切って階層登ってきたので喉が渇きました!」


「……オロロロ」


 ついに雑賀さんが吐いた!


「あー、えっと、まずその気配を抑えてくれ。俺達ですら命の覚悟して、そんで探索者なり立ての奴は腰抜かして立てない」


「おや、それは失礼。子ウサギを狩るように気配を沈めますね」


 その言葉と同時に重圧感は消えた。

 ……それでもまだやべー奴ってわかる程度の気配はあるんだけどな。

 その子ウサギ、絶対普通じゃないだろ。


「とりあえず詳しくは外で。茉莉と瑠璃は……ダメそうだな。担ぐか」


 ついでにギャルも手を貸してやる。

 インベントリからタオルも取り出してな。

 武士の情けと言ったな、あれは嘘だ。

 というかダンジョンだとよくある事故だし、気にするほどじゃない。


「さぁ、可愛い可愛いエウレカちゃんのお披露目です!」


 やっぱり殴っていいかなこいつ。


10万文字突破です、ご愛読ありがとうございます。

まだまだ続きますが、一段落して毎週の更新に戻します。

なんとかネトコンに間に合った……これ書く原因になったVtbuerは読んでないと思うけど。

あの人卒論で忙しいみたいだし、そもそも卒業できるのか問題が付きまとっているからなぁ……。

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