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ダンジョン探索者だけど猫耳美少女になった件について  作者: 蒼井茜


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呪い

「あ、そうだ。ダンジョンに一緒に行ってくれるなら三上とか妹さんのスタイル聞いておきたいんだけど」


「BWHや体重じゃないよな。俺は素手が基本だけどなんでもできるオールラウンダーと思っておいてくれ。妹、長女から順番にタンク、アタッカー、ヒーラー適正がありそうだと見ている。ただこればかりはカード取得してからじゃないとわからんからね」


「なるほど……ちなみにサイズは?」


「黙秘、今被服部とか裁縫部がギラギラした目つきで俺を見ているから」


「それも、なるほどだね」


 今俺の貞操はこの学校の生徒たちに狙われている。

 被服部、裁縫部はそれぞれこぞって俺に似合う衣装を決める会を開いている。

 そして演劇部は隙あらば俺を勧誘してくる。

 ダンジョン探索部とやらも接触の機会を計っているとまで聞いた。

 というか雑賀さん曰く、俺はこの学校における台風の目であり常に勧誘を仕掛けるタイミングを見計らった狼たちに包囲されているそうだ。

 ……まぁ、ギャルが防波堤をしてくれているから、その狼たちは近づけないんだけどね。

 最悪窓から飛び降りてでも逃げるよ俺は!

 そのままダンジョンに突撃かますよ!


「ちなみにひとつ確認してもいい?」


「なにかな」


 俺が答えると同時に胸をわしづかみにされる。


「おい」


「72のB」


「こら」


「私の制服、サイズ的にぴったりだけど着る?」


「返答は唾でいいか? 今なら唾液すら音速超えて並の探索者の額に開閉できないお口を作れるぞ」


「はははっ、まだ直接アルコールやニコチンを脳に収める年齢じゃないから遠慮しておくね」


 すたこらと逃げて行った探索科の女子、その背中に殺意を込めた視線を飛ばしているギャルたちは……こいつらもう探索者になった方がよくない?

 格上だってわかっている相手にここまで殺意向けられるの、ある種の才能だよ。


「ねぇ三上、妹さん達のライセンス取得っていつ?」


「今週の土日」


「あたしらもそれ、参加できる?」


「まだ受け付けはやってるはず。というか当日予約もできるし、勉強して3000円持って行けば誰でも受け付けてくれる」


「そっか……みんなやろう」


「「「「おぅ!」」」」


 ギャルの言葉に俺の両手足の爪を塗りたくっていた女子たちが勇ましい鬨の声を上げた。

 ……やっぱりこいつら、探索者向きだよ。


「そして勉強会は三上主導でやってもらう!」


「おれぇ!?」


「動かない、ネイルがずれる」


「あ、ごめん」


 ……玩具にされるのは慣れ始めていたが、まさか教師役とは。

 こういうのは探索科の先生にでも聞いた方が早いんじゃないだろうか。

 少なくとも俺は筆記試験という名の引っかけ問題に対する注意しか知らんぞ。

 聞けば車の免許も筆記試験は引っかけ問題だとかなんだとか。


「えーと、じゃあダンジョンに入った際探索者は常に周囲を警戒しなければならない。丸かバツか」


「「「「「丸!」」」」」


「不正解、探索者は常に周囲を傷つけぬよう警戒し、非探索者はライセンスを持っていない場合ダンジョンにはいってはいけない」


「なにそれ糞問題」


「考えた奴死ね!」


「絶対性格悪い奴が考えたでしょ」


「この手の糞問題ばっかりなんだよ、問題考えた奴の性格が悪いのは同意するが死ねとまでは思わないな。箪笥の角に小指ぶつけてもんどりうってから、箪笥が粉々になったの見て泣いてろとは思う」


 俺が感想を口にした瞬間、雑賀さんが顔を背けて口元に手をやり、肩を震わせるのを見逃さなかった。

 この人問題考えた人と接点あるな?


「というわけで雑賀さん、プロから一言」


「僭越ながら、魔法という現象について三上さんは考えたことありますか?」


「魔力と呼ばれる不可視にして観測不可能と言われているエネルギーを利用し自然現象、あるいはそれに準ずる現象を発生させる技能。カードにスキルとして記載されることが多いが、修練次第で誰でも取得できる技術。ただしそのエネルギーを感じ取るまでに長い時間と、更に運用までに長い年月が必要」


「教科書通りの答えですね。ですがその通り、では次に言霊や呪いについては」


「言霊は言葉には力が宿るというもので、魔法系探索者は迂闊に口を開かないと言われる原因。うっかり言葉にすればそれが真実になりうるし、嘘をつけば言葉が軽くなり魔法の威力低下につながるとされている。呪いは魔法と同じエネルギーを利用して他者を間接的に害する、例としては不幸を呼ぶという曖昧な結果を与えるものであり、特定の順序を踏めば探索者以外でもそれなりの効果を発揮する事ができる。探索者として魔力の運用に長けていれば順序を無視して他者を害する事も用意である」


「これまた教科書通りですね。付け加えるならば呪いは発動者が多ければ多いほど効果を増し、言霊は時に呪いへと転ずる。これを纏めて呪詛と呼ぶ。つまるところ、数多くの探索者非探索者から呪詛を受け続けた問題の制作者は毎日のように足の小指をどこかにぶつけています。今は家の中でも安全靴が欠かせないそうで、洋館に引きこもっているとか」


 おぉう、そんな事態になっていたのか。


「あと整腸剤も欠かせないそうですね。なにせ外に出れば10秒に1回は腹痛に襲われ、3歩に1階の確率で鳥の糞が頭頂部を狙い打つ。1時間に1回は不幸に見舞われるそうです」


「えげつねぇ呪いかけられてる……」


「まぁダンジョン省も国家も一個人の不幸程度ならと洋館と金銭、それと生活必需品の宅配サービスはしているそうです」


「見捨ててるじゃん……」


「あと護衛や使用人がいると刺客が紛れ込むということで、今は人工衛星を通しての監視に留めているそうです」


「監視はするんだ……」


「直近の記録ですと三上さんが呪詛吐いた瞬間に洋館の大黒柱に足をぶつけ、安全靴が砕け散り足の小指が解放骨折。洋館にも多大なダメージが入り倒壊寸前の所外に避難したら鳥の糞をダース単位で受けて、転んだ先に番犬の糞があったそうです」


「俺の呪い効きすぎじゃない?」


「故に探索者は沈黙は金より重いと、よく口にするのですよ。これ、2級試験に出てきます」


 俺2級受けてねえからなぁ……気が付いたら勝手に昇級してた弊害だ。

 ……今からでも勉強しておくか。



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