氷の山
次の日。村からそう遠くないところに神殿が降りた。
エアリー神の神殿に恐れ、戸惑う人達。
風の乙女たちが降りてきた。
「私はこの村の村長、ヴォルト。
こちらは日本人コロニーまとめ役の山本です。」
「我はライデンだ。
エアリー神の使いだ。我が主は自ら姿を現すと
その方たちが怯えるであろう、と
御遠慮なさっておる。
ひかりなる娘が良く食べていたものと、
花で出来たワインを所望である。」
「ははっ。」
「そなたがライデンか。サーデイが世話になったそうだな。」
ふわりと女神が降りてきた。
「ゴーデイ様。」
「フォステイはどうしてる?」
「ご健勝にございます。」
「あの子が黒髪になってから。意思の疎通ができないのだ。無事なのだな?」
「エアリー神が大切にしておられますゆえ。」
「ひかりは?」
「…こちらの食べ物を食されれば元気を取り戻すかと。」
「あの子は米が好物だ。炊いてやってくれ。」
米俵が運ばれてきた。フルーツと台車にのっている。
「どれ、念入りに女神の祝福をかけてやろう。」
「ゴーデイ様。ワインもここに。」
もうひとつの台車のうえに美しい布に覆われた、ワイン樽が運び込まれた。
軽くめくって確認をするゴーデイ様。
「なるほど、フォスがこれを所望か。
大変貴重なものだ。女神の花で作られていてな。
あの子は覚悟を決めたのか。」
「その様かと。」
それでは、と。ワインにも盛大な祝福がかけられた。
「エアリー様。只今戻りました。」
「ご苦労だな。ああ、これが米か?」
台車の上に各種フルーツと米俵が乗っている。
かけてある布を乱暴にはぐと、
エアリー神は米俵に剣を突き刺した。
そこから、米粒が流れだす。
「何をなさいます!」
「何、女神の加護とやらで中身がみれぬのてな。
ネズミでも入り込んでいたら行けないからな。
あい、わかった。拾っておけ。」
酒樽から少しワインを注いで飲むエアリー神。
「コレは素晴らしい。」
上機嫌で出て行った。
「大丈夫か?」
「はい。」
俺はカーテンの中からそっと顔を出した。
タネあかしはこうだ。
俺は台車のなかに隠れていた。
ライデンさんがカーテンのところピッタリにおく。
カーテンには切れ目が入れてある。
布にも女神の加護と一応俺自身にもかけてある。
奴が布をまくって米に剣を刺している間、カーテンの奥に移動して、隣りの部屋に忍びこんだ。
ライデンさんは全面的に協力してくれた。
(エアリーは、気が付かないが玉を通して打ち合わせられてる。)
外での会話はわざとだ。
そのまま、ひかりさんのところへ、
「テルくん!」
抱きついてきた。震えてるひかりさんの背中を
軽く叩いて落ち着かせる。
「大丈夫?」
「うん。ライデンさんに聞いていたけど、忍びこむのに
成功するなんて。」
「私たちももう疲れたのです。
12人いた宮殿の乙女も、今は6人。気まぐれで潰されました。
それに罪のない人間の子供をさらうなんて。」
あの方の癇性にはもうとても、付き合いきれません、と呟いた。
「すぐお米たいてきます。それまで果物を食べていてください。
チカラをつけて下さいね。
これから寒いところに行くのだから。」
「はい。」
「フォステイ様が引きつけて下さってますから、
エアリー神はこちらには来ないと思いますが、
テルさんはさっきの布をかぶっていて下さい。」
氷の山についた。
「本当に神殿をここに下ろしていいのか。
女神の神域にわたしは受け入れられているのか。」
「ああ。」
「ワインをここへ。」
「はい。」
ひかりさんがワゴンを押して樽とグラスを運ぶ。
「どうしてこの小娘が?」
「この子はここに来た事があるそうだ。」
「そう、女神の祝福がないと入れない。」
「サーデイか?」
「よう、エアリー。フォステイがオマエをここに招待したらしいな。
今回は新たに入れるのはオマエだけさ。
ライデンも無理だ。」
「それで君は何しに?」
「ご挨拶だな。フォステイが聖地で盃を交わすんだ。見届けなくてはな。」
「ゴーデイ、君もか!」
「あら、よりルイフェリナに近いほうに目移りかしら。」
「フォステイ、そんな。」
ひかりさんがワインをグラスにそそぐ。
「美しいグラスだな。花びらの模様だ。」
「うちの神殿に奉納されていたものさ。好きなのを選ぶとよい。」
女神様三人とエアリー神が各々ワインが入ったグラスをとる。
「ひかり、あなたはワゴンの後ろにいなさい。
聖域でチカラは戻ってきた?」
「はい、寒いですが。ゴーデイさま。」
「これから私とエアリーは、運命の契りを結ぶ。
姉妹たちよ、見届けたまえ。」
フォステイ様の声が響きわたる。
「是。」
「是。」
「さあ、皆で飲み干そう。」
神たちがワインをあける。
鮮烈な花の香があたりに満ちる。
「?く、、かはっっ。」
エアリー神がグラスを落とす。
喉をかきむしり吐いているようだ。
「我ら女神の祝福がはいったワインが口にあわなんだか。」
「私たちの聖域でチカラも弱っておろうしな。」
毒味したときは大丈夫だったから油断したね。
ひかりさんが仕込んだんだ。
オリハルコンのかけらを。
あの時、ひかりさんの部屋で。
オリハルコンを出現させた。
「オリハルコン!完成したのね!」
「うん、しかもこれは神殺しだ。人間には効果ない。ゴーデイ様の指輪、もってるよね?」
「ええ、でもエアリー神には効かなくて。」
「ただの金剛石になっちゃってる。僕のもだ。
いいかい、これで少しオリハルコンを削るんだ。一緒に。時間がないんだ。
少しでいい、そしてグラスにいれておく。」
「それぞれ花びらの枚数がちがうのね。」
「多分、エアリー神はこの四枚の花のグラスをとる。フォステイ様とペアだ。このペアのグラスに両方とも。」
「そしたらフォステイ様もオリハルコンを体内に。」
「大丈夫だ、オリハルコンは人間には無害だ。」
「…。」
苦しむエアリー神。
「う、う、う、何故だ、フォステイ??」
「大丈夫だ、我は近くにおる。その為の誓いじゃ。」
フォステイ様がエアリー神に後ろから抱きつく。
彼女の表情も苦悶に満ちている。
「フォス、、」
「今だ!1番玉よ、復活せよ!!
首を締め付けてやれ!」
ゴーデイ様がさけぶ!
「な、何を、ぐぐぐあっ。」
エアリー神の三連のネックレス。
それは以前、1番玉様だったものだ。
ゴーデイ様の呼びかけに答えて、
蛇のように締め付ける!神域だからこその、なせるわざだ。
「や、やめ。。!フォス、取ってくれ!」
「テル!今だ!神殺しのオリハルコンで、
コイツを貫け!私が抑えているうちに!」
フォステイ様の呼びかけに応じて、
俺はワゴンのかげから飛び出した。
手にオリハルコンを出現させる!
「おい、やめろっ!フォスまで貫いてしまうぞっっ!!!」
「大丈夫だ!やれ!人間なら殺されはしない!」
「やめろっ!やめてくれーっ、、!!」
「…なあ、運命は結ばれたんだ、私だけは付き合ってやるよ。」
あああああああああああああ嗚呼ああ嗚呼あっ!
その時、そこに、青い光が満ちた。
次回最終回です




