時は来たれり
「鬼神のようだな。」
サーデイ様がぽつりと言った。
俺は血まみれになって、竜をしとめた。
あれから一カ月。寝る前も惜しんで剣を振った。
今まではどこか他人事だったのだ。自覚した今なら
わかる。
「良くやった。」
サーデイ様が血を綺麗にしてくれて、傷も治してくれた。
「さて、ゴーデイのところに行こう。免許皆伝がもらえるだろう。」
「テル、おめでとう。」
ゴーデイ様からオリハルコンを渡された。
「青くなっているのが鞘の上からでもわかる。
全き姿なオリハルコンはもう、神である我らには
じかには触れぬ。
さあ!抜いてみよ!!」
受け取って抜いてみた。
サファイアの様な透明な美しさ!
青く青く、輝いている!
「これで、これで、エアリー神を倒せるのですね。」
「ああ!」
オリハルコンは俺の手の中で全方位に輝き、
そのまま手のひらに吸い込まれた!
これが、勇者に選ばれたということなのか!!
「もし、俺が。」
聞いておかなくては。
「負けて殺されてしまったら、どうなるのですか?」
「その時は新たな勇者が生まれる。この場合はひかりだろう。」
じゃあ。
「ひかりさんもダメだったら。」
「その時は新しい勇者を育てるか、待つか。」
ただ。
「その時の女神は私ではないかもな。六番玉かもしれぬ。」
「勇者はティル神と交換してあちらにいける存在なんですね?」
「そうだが?」
「では、戦わずにこのまま帰るのも、アリですね。」
はああっ!?
ゴーデイ様、サーデイ様、翼さん、ベルトさん、フェンフェンさん、
みんなが信じられない顔で俺を見た。
「貴方たちも本当はそれがいいのでは?
今ならティル神は消滅する前だ、帰ってこれます。
しかし、俺が失敗したら、間に合わないかも。」
「…本気で言ってるのか。フォステイはともかくひかりの命は長くないぞ。」
サーデイ様の声が冷たい。
冷気がおそってくる。
「いいえ。いいえ!いいえ!!
あの時!ひかりさんがさらわれたとき!!
あまりの理不尽さに腹が煮えくりかえりました!!
どうして!
どうして神の気まぐれでこんな!こんな!
すべてに腹が立ってるんですよっ!!」
頭をかきむしる。
そのまま手を前方に出す。
手にオリハルコンが現れる。
青い冷たい輝きだ。
「だけど、あなたがたは確実にティル神を呼びもどすより、
ひかりさんと、フォステイ様を助けるのを選んだ。
-嬉しいです!」
「おまえ、覚悟ができてるんだな。」
ベルトさんが言った。
ええ。
その声は我ながら遠くから聞こえた。
ひかり視点
なんだろう。足元がふらつく感じがする。
ずっと雲の上にいるからかな。
「大丈夫か、痩せたのではないか。」
「フォステイ様。はい、食べてはいるのですが。」
私が弱るのと対照的にこの女神様は輝きを増している。
神気がどうのとか、私にはこの環境が合わない、とか言っている。
「おお、フォステイ。今日も輝くような美しさではないか。」
「エアリー、ひかりが弱ってる。一度神殿ごと地面におろしてくれ。
そこで、この子にあう食べ物を手に入れたい。」
「そんな小娘、ほおっておいていいではないか?
…!
あ、いや、是非そうしよう、な、怒るな。」
そこでフォステイ様は花のように笑った。
「嬉しいぞ。ついでに花で作ったワインを買おう。
今度一緒に女神たちが眠る山に行かないか?
そこで2人でワインを飲みかわそう。
私たちを姉妹たちが祝福してくれるだろう。」
「!!
あ、ああ、ああ!!
良いのか、女神の神域に!!
この私を!?」
「何、私もこの一カ月、色々とほだされてきたのよ。……おい、そんなに強く抱きしめるなよ、
私は、かよわいんだ、折れるぞ。
……なんだ、泣いているのか。…馬鹿だな。」
それをじっと2番玉様を通して皆が見ていた。
「フォステイからの、メッセージ、しかと受けとった。」
ゴーデイ様が言った。
いいな?みんな。




