取り返さないと
神殿に戻った。なんとフェンフェンさんは生きていた。
「申し訳ありません。」
「勝てる相手ではないから。」
ゴーデイ様にも全て伝わっていた。
「フォステイには何か考えがあるのだろう。」
「私たちがティルクス以外を愛することはない。」
「ひかりさんはどうなるの。」
俺は腹の中が煮えくりかえっていた。
目の前でさらわれたんだ。気になってた女の子を。
「取り戻さねばならないな。」
「オリハルコンで。」
伝説の剣はアメジストの色をしていた。
その後。お猫様を呼び出した。
「そうか。」
2番玉様が水晶玉を大きくした。
「ご覧なさい。玉を通して私達は繋がっている。」
水色の髪をしたエアリー神。
まわりに青い髪の乙女たち。
そして膝を抱えてるのは。
「ひかりさん!」
しっ!お猫様に口を押さえられた。
ターコイズブルーの髪の乙女が、
「エアリー様。この少女に何か与えなくては。
神水だけでは。」
「人間は水だけではダメなのか?なんと手がかかる。」
「その通りだ。」
画面が揺れるという事はえーっときっと、胸元に下がっているんだな。
あの胸。軟らかったなあ。
「私も空腹だ、何か食べねばもたない。
手のかかる人間ですまぬなあ。」
「おお、フォステイ。それはすまなかった。
おい、山海の珍味を用意せよ。」
「あとな。私と娘の部屋は寒い、もう少し毛布をくれ。
…か弱い人間ですまぬな?」
「何をいう、コチラこそ悪かった。何でも言ってくれ。」
眉を下げて困った顔のエアリー神がうつる。
しかし、その表情は幸せそうだ。
そこで画像がきれた。
「大丈夫そうだな。フォステイは精一杯ひかりを守っておる。」
本当だ。彼女がいる限りひかりさんは大丈夫だろう。
「まあ、力かげんやちょっとした過失で人間は
怪我をするからな。そのあたりが心配か。」
「どうすらばいいんだ。」
「とりあえずオリハルコンを使える様にすることだな。」
「ベルトさん。」
「エアリー神はゆるせない。早く勇者になってくれ。あの神殺しの剣を使える人間はおまえしかいないんだ。」
ひかり視点
目が覚めたら一面、白い世界だった。
「おい、大丈夫か。」
黒髪の女神様が覗きこんでいた。
「フォステイ様?」
「ここはエアリー神の神殿だ。高い空の雲の上にある。」
ごほっ、ごほっ。
「アイツから首をしめられたりしたからな。」
ふかふかのベッドの上だ。
「少し寒いな。後から毛布を持ってこよう。」
その時ドアが開いた。
ターコイズブルーの髪と目をした乙女がいた。
「ライデンと言ったか?
以前、サーデイを逃してくれたのはそなたか?」
「ええ、あの、エアリー様が。お呼びです。」
「そうか。せいぜいしおらしくしておくか。
三ヶ月の間はな。」
「三ヶ月たてば、ひかり、そなたは解放される。
神が誓いをたてたのだ。おろそかにはするまいよ。」
「ひかりさん、フォステイ様は貴女をかばったのですよ。貴女は、そのままでは殺されていたのです。」
「余計なことは言わなくて良い。」
それから。広間にいったらエアリー神がいた。
あまりの圧?迫力に座り込んで動けない。
ここは人間が来るところではないんだ。
「おお、フォステイ、そちらへ。」
女神さまは優雅に動いて豪華な椅子に座り、
チラリとエアリー神を見る。
見ていてわかる。
エアリー神はフォステイ様しか見ていない。
満面の笑み。
おぞましくて吐きそうだ。
ライデンさんも、その他お付きの乙女のことも
まったく目に入ってない。
私のことなんか少しも意識にない。
気分が悪い。寒い。
ふわり。暖かい。
フォステイ様にだき抱えられた。
「おい。エアリー、人質ならもう少し大事にせい。
もっと暖かな部屋、それから神気を抑えろ。
この娘が健やかに過ごせるようにな。」
「だっておまえは平気ではないか。」
「元女神と一緒にするな。わたしに嫌われたいのか?」
それから、快適な部屋に通された。
美しい調度品。
「なんとか、3ヶ月持ってくれよ。
私はアイツが欲しくてたまらなかった人形だ。
そのうち飽きられてしまうかもしれん。
なんとか、上手くやりたいが。立場はまだあやふやだ。」
そして。
「竪琴はあるか?ライデン。」
「は、ございますが。」
「私は。女神のチカラが弱まってから歌うたいとして、人間の中で生きてきた。」
ぽろろん。音をつまびく。
「私の歌は心を落ち着けるという。」
フォステイ様は、美しい声で歌い始めた。
神殿で聞いたことがある。
女神様を讃える歌だ。
細い銀の系の様な調べが。からだの中から癒していく。
すぐに眠りに落ちた。
次の日からエアリー神が女神様の歌を独り占めした。
自室に呼びつけ歌わせる。
フォステイ様の膝の上に頭を置いて、うっとりと聞き入っている。
その姿は毒気を抜かれた赤子の様だった。




