変化
「殿下に何を言ったんだ。私がいない間に問題を起こしたのか?」
休み明け、ノクス先輩に呼び出された俺は、不機嫌な顔をした彼にお叱りの言葉を頂戴した。
「だって! 殿下が、イザベラ様を傷つけようとするから。マリーさんが『欲しい』から、マリーさんの想い人は誰なのかと聞かれたから……」
あれは明らかに、イザベラ様に対する悪意だった。
「イザベラ様の名前は出していません」
「わかっている。だが、お前はこれ以上この件に関わるな」
彼はどうやら、俺を心配してくれているらしかった。
「あの方は、お前が思っている以上に怖い方なんだから」
■
学校の雰囲気は、いつもと少し違っていた。いつも特別明るいってわけでもないけれど、誰もがひそひそと噂話をしていた。
パーティーでの求婚に加え、城下でのデート、そして二度目の告白からの玉砕。一国の王子が、平民に拒まれたとなれば、仕方のないことなのかもしれない。
「雰囲気悪いな」
マリーさん達は大丈夫だろうか。
ただ、俺たちとマリーさんたちの一般クラスは、そもそも校内でも校舎から別れて授業が行われる。
話をしようにも、昼休みまで待つしかない。
「今日はノクス先輩と俺も一緒だし、たぶん大丈夫だよな……?」
呟きながら、妙に胸がざわついた。
そして昼休み――約束の場所に向かった俺が聞いたのは、マリーさんを非難するイザベラ様の『ご友人』の方々だった。
「ただの平民のくせに、イザベラ様から殿下を奪い、更にはその殿下の求婚を断ったというのは本当なの!?」




