王子様からのお誘い
「……お兄様」
「レイさん……」
公爵邸に帰宅した俺たちは、二人に謝罪することになった。
「すまない。イザベラ」
「ごめんなさい……」
土下座は人生二回目である。本当に申し訳ない。
「だって……! マリーさんを悪く言うなんてできなくて!」
「イザベラが大切にしていると伝えたら、殿下はお前が信頼しているなら良い女性だろうと……」
俺たちの言い訳を聞いて、イザベラ様は深く溜息を吐いた。
そりゃそうだ。
まさか、友人と兄に自分を売られるとは思わない。でも誤解しないでほしかった。俺たちは、本当にそんなつもりはなかったのだ。
「……仕方ありません」
イザベラ様は長い沈黙の後に、俺たちを許してくれた。
「私たちの関係を表に出さないなら、お兄様はそう言うしかなかったでしょう。貴方も、理解できない言動は多くとも、私たちへの悪意がないことは理解しているわ」
「イザベラ様……!」
俺は感動した。
なんという優しさ。心の広さ! やはりマリーさんに相応しいのは、イザベラ様しかありえない!
だが、俺がイザベラ様を前に目を輝かせていると、何やら外が騒がしいことに気がついた。
窓の外を見ると、立派な馬車が見えた。あれは――。
「王家の紋章?」
俺が呟いたその瞬間、扉が開かれて、金髪青目の王子様が花束を手にやってきた。
「エドワード・クラウン第一王子がいらっしゃいました!」
彼はマリーさんを見つけると、その場で跪いて花を差し出した。
黄色やオレンジのマリーゴールド。それは、王子様の髪の色とも似ている。
「マリー・ステラ嬢。どうか君の一日を、私にくれないだろうか?」




