コード94「熱い意思よ。その手に乗せて。」
第94話
前回、ケーシィとフェニの戦いが始まった後から
フェニが剣でケーシィを攻撃、
ケーシィはそれを魔力膜で防御、
フェニは右手で剣を振りながら、
合間に左手から火球を連弾してくる。
攻撃の手を止めなかった。
(このままでは…!くっ!こうなったら!)
「ライジェル流!鈍回脚~~!!!」
ケーシィは空中へ回転し、
火球ごと、足で絡めとった。その勢いのまま、
フェニへ向け、回転エネルギーを持つ回し蹴りを放とうとしていた。
フェニは剣でガードをする。
「ケーシィさん、コースがバレバレだ。もっと頭以外も狙わないと。」
右手の剣でガードをされ、左手で火球をチャージする。
「これは、避けれないだろう。」
咄嗟にケーシィは全身を硬直させ、ガードをするが、
かなり後ろへ飛ばされてしまった。
(ここは…ステージの端…!こんなところまで…。)
すぐさま起き上がり、フェニの姿を探すが、どこにも見当たらない。
「はっ!上ですわ!」
剣で追撃を受ける。躱し、一度体勢を立て直す為に回避を徹底した。
(剣での攻撃は…リーチが長いですし…避け切れなければ魔力膜がどんどんと剥がされていきますわ…!)
フェニは顔面すれすれに剣を横に攻撃する。
ケーシィは紙一重で躱そうとするが、
「ふふっ、それは甘い。後退するような避け方じゃ…。」
火炎付与魔術<スペル・火炎剣>
フェニの持つ剣の剣身が炎にて若干伸びた。
「くっ…!熱っ…!」
ケーシィの頬が少し切られ、少量の血が流れる。
(あの、剣身どこまで伸びるのか分かりませんわ…!ギリギリじゃ躱せない…!しかし、フェニさんの攻撃スピードを計算して避けるなんてできない…!このままでは…!)
「これで…終わり!」
フェニは剣の刃部分に炎を纏わせ、斬れないようにし、
思いきり、ケーシィの横顔へ、斬るというより、殴ろうとした。
マナとケーシィの訓練にて
「ケーシィ様の持つ魔術は、旋脚、鈍脚、魔力速脚、それから掌底系でしたね。」
マナは考える。ケーシィの持つ魔術はどれも、超近接系の魔術。
またそれを補助するような魔術だと気が付いた。
カナリーは後ろで蝶々を追いかけている。
「わ~!綺麗~!待って~あはは!」
「ふふっ、カナリーさんは無邪気で元気いっぱいですわね。」
マナは一旦思考を停止させ、カナリーの方を見つめた。
(マスターは無邪気に蝶々を追いかけております。)
ケーシィは汗をぬぐった。
「今日も暑いですわね…。汗がたくさん出てしまいますわね…。」
暑い。汗がたくさん…。
マナは閃いた。
「ケーシィ様、良い事を思い付きました。」
ケーシィはマナの言葉に耳を傾ける。
フェニの剣がケーシィの横顔へ当たろうとしている。
「これで…!」
だが、剣が止まった。
「え!?なにそれ!?!?」
新設、ライジェル流補助魔術<スペル・魔網目帯>
魔力で編まれた、タオルのような大きめの魔力のマフラーのようなもの。
戦闘が開始された時からずっと、
秘かに集中し、編んでいた。
魔力で編みこんでいる為、魔力を高めると剣なども防ぐことが可能である。
実はずっと服の下にずっと忍ばせていた。
ケーシィ様、あなたなら、それを使いこなせます。
マナが魔術式と理論を考案し、それを魔術に変える。
ケーシィは魔網目帯をフェニの剣の持つ手首へ巻き付け、
手繰り寄せる。だが、フェニは踏ん張り、綱引きの状態になった。
「そうするのは、分かりますわ。わたくしでもそうしますもの。なので…!」
ケーシィは力を弱め、逆にフェニが引っ張る形となってしまう。
フェニの懐へ潜り込んだ。
この位置では、フェニは剣をふるうことが出来ない。
「このまま!」
背負い投げをし、フェニの体が宙を舞う。
だが
「火炎複合線魔術<スペル・炎光線>」
3本の火のレーザーが1本へと収束する。
フェニが逆さまの状態で、簡易高火力魔術を放つ。
ケーシィは咄嗟に魔網目帯で防御をするが、
あまりの火力で、貫通してしまう。
両腕で防御をするが、腕に纏った魔力が全て剥がれてしまった。
ケーシィは腕を火傷し、場外寸前のところまで吹き飛ばされる。
フェニは着地に失敗し、背中を強打してしまう。
「くっ……!」
ケーシィは火傷と吹っ飛びによる苦痛の表情を見せる。
審判のエルフ種が試合を止めるか悩んだ。
「まだですわ!!!!」
「まだだ!!!!!」
2人はこんなところで試合を止められてたまるかと
熱い闘志を燃やし、お互いに笑みを向ける。
第2ブロック準決勝を誰もが目を離せないで居た。
客席にいる女の子が手を合わせて願う。
「…頑張って。」
「頑張れ~~~~~!!!!フレー!フレー!」
応援団が熱い声援を送る。
会場がそれに合わせて声援を重ねる。
(魔力的にも体力的にも…これが最後の攻撃になるな…)
(もう…体力が…ですが、ここで諦められませんわ…!)
お互いに満身創痍だが、最後に決めてやるという熱い意思を感じる。
「散れ…我が華麗なる焔達よ。舞え火炎よ。巻き上がれ熱風よ。我が道を、火先を示せ!!!」
フェニは詠唱を始める。
ケーシィは、深呼吸をし、クラウチングスタートの姿勢を取る。
「火炎詠唱複合魔術<スペル・火焔灼光剣>!!!」
極太火炎レーザーが剣からケーシィに向け放たれる。
「ライジェル流!魔力速脚!」
上に飛んだ。
「また上か!!そうはさせない!!!」
フェニは火焔灼光剣を上に持ち上げる。
「引っかかりましたわね…!」
フェニの視点から見て、急に上に上がったもの、
更に、先ほどケーシィが飛び上がった戦略から
飛び上がったのは、ケーシィだと思い込んでいた。
上にあるのは、編み直した短めの魔網目帯だった。
ケーシィはブラフをかました。
口で、口頭で魔力速脚を言うことにより、
発動したものだと思い込ませた。
ケーシィは姿勢を低くし、全速力で疾走する。
「ライジェル流格闘魔術<スペル・魔力速脚>!」
ケーシィの額から汗が、後ろへ流れる。
風景が、後ろへ流れていく。
風が気持ちいい。
「ここで決めますわ!」
「させるか!!!」
フェニが火焔灼光剣を最後の力で振り下ろそうとする。
「もう遅いですわ!!!ここ!!!」
ライジェル流格闘魔術・改<スペル・双掌魔底>
今度は…ちゃんと…打てましたわ。マナさん。カナリーさん。
ありがとう。
掌底を、二つ合わせ、指は真っすぐに、
手がまるで蝶のような形となり、
フェニのお腹に、みぞおちにモロに入った。
骨が軋む。
フェニは場外まで吹き飛ばされ、気絶した。
「…はっ!私まで魅入ってしまっていました!第2ブロック、準決勝は~!」
「ケイト・ライジェルさんの勝利~!!!!」
「はぁ…はぁ…。ん~~~~~…はぁ…。疲れました…でも、勝ちましたわ!!」
ケーシィvsフェニの戦い、終結しました。
最後はケーシィが勝つことが出来ました。
魔網目帯
魔力で編んだタオルのようなスカーフ。
応用がかなり利くものとなっている。
炎光線
後述する火焔灼光剣の下位互換。
炎のレーザーの魔術。こちらは貫通力に優れているが、
剣のように動かすことは出来ない。
火焔灼光剣
炎属性の灼熱の剣。
一見ビームのように見えるが炎の剣。
詠唱をすることで威力を底上げしている。
本来は、切れ味に優れているが、殺傷禁止なため、
非殺傷魔術に切り替え、放った。
熱い戦いでしたね。
第94話、読んでいただきありがとうございます。




