コード95「透明な錯覚」
第95話
前回、フェニとケーシィの戦いが終わってから
「も、もう…限界…です…わ…足が…」
ケーシィの足がプルプルと震え、今にも倒れそうになっている。
地面に向け、白目になり、膝から崩れ落ちていく。
だが地面に倒れるところで、医術師が駆けつけ間に合った。
「まったく、オービット魔術学園の子らは元気いっぱいだな。お疲れ様だ。」
ケーシィは気を失った。フェニが目を覚まし、手を上げゆらゆらと振っている。
「お~~い…こっちにも頼む~~…。みぞおちにモロに入った…骨が何本か折れた…」
2人とも担架で運ばれていく。
そんな2人に向けて、盛大な拍手が送られた。
「と~ってもアツい戦いでしたね!身も心も震えちゃいました!まだまだサマーデュエルは続きます!解説は~?ラフィー・ルンルーナと、ほら先輩!名乗りを!」
レイラはため息をつき、別に良いと言う。
「ラフィー・ルンルーナとレイラ・ティアハートがお送りします~~!」
ラフィーが代わりに勝手にレイラの名前を使った。
レイラはラフィーを一目見たのち、試合の方に目を向けた。
アリーナ医術室にて
「い、いだだだ!いったいですわ~~!もっと…優しく…。」
オービット魔術学園在籍の医術師の先生
アスク・リサルス女医。彼女は金色の瞳を持つダークエルフ。
「ほ~ら、動かないの♡ダメでしょう?激しいのはダメよ?」
動かなくてもかなり痛い。
というより、回復用ポーションを原液で
火傷部位に垂らされている。
「ひぃ~~!い、いったいですわ~~!!!!」
「もう、激しい子ねぇ。そっちの子は~。」
フェニはもう慣れている。
何度も、アスク先生に治療という名の何かを受けている。
「はは…ケーシィ…慣れないとやっていけないぞ。」
目が死んでいる。天井の一点のみを見つめながら。
「はい。おしまいよ。その火傷も跡にはならないし、あとは自然治癒できるわ。フェニちゃんの方も、骨が、じっくり結合…されるまでは安静にね♡すぐにくっ付けられるけど、君たちは若いんだから、自然治癒力を存分に使いなさい。」
足を組みながら、アスクは若い2人を見ながら治療を終えた。
他ブロックも終盤へと向かって行く。
カナリー 第8ブロック 決勝ブロックへ進出。
ノーマン 第5ブロック 決勝 善戦するが惜しくも敗退。
リルフ 第4ブロック 辛勝。決勝ブロックへ進出。
エリナ 第2ブロック 雷魔術で他参加者を蹴散らし、第2ブロック決勝へ進出。
ケーシィ 決勝への進出を果たしたが、怪我の具合や
魔力等、本気を出せないこともあり、決勝を辞退。棄権することになった。
「エリナさん、本当に申し訳ないですわ…。でもいつか必ず、戦いましょう!その時はよろしくお願いしますわ!」
ケーシィは本当に悔しそうだった。
エリナは胸に手を置き、
「はい。私もその時を楽しみに待っています。」
松葉杖をついたケーシィとエリナは第2ブロックの闘技場の真ん中にて握手をした。
そして、第1ブロック 決勝戦。
リーナ・カミンタフ vs ココロ
お互いにフードを被っており、リーナの手には、
マスケット銃が握られていた。
「決勝はやっぱこれでしょ。ボウガンも良かったけどこっちが落ち着く。」
(久しぶりだなそれ。リーナ、今の状態だと魔弾は1日に、3発が限界だ。それだけは覚えて、気を付けて。)
リーナは静かに頷き、マスケット銃を構える。
リーナはココロの方を見る。
ココロは、ぼーっと体を揺らしていた。
もう他のブロックの決勝戦が終えられており、
第1ブロックのみとなった。
ココロは第8ブロックの方はもう見ずに、
リーナの方を真っすぐと見つめる。
「…。貴方は確か…。そっか。ねえ、お姉さん。耐えてね?」
リーナは何かを感じ取った。
これはただのお遊びでは済まないかもしれない。
そう感じとる。
「では!第1ブロック決勝戦、スタート!」
ブザーが鳴り響く。
リーナの短期予報が頭の中で警告を発した。
【-Warning!-】【-Warning!-】【-Warning!-】【-Warning!-】【-Warning!-】
【確定確率、98.8%】
前、上、下、左、右
リーナの目には、数秒先の未来が見えていた。
こ、これは…っ!?
リーナは咄嗟に後方へ飛ぶ。
ココロは掌を地面に向けて肩と並行に伸ばしている。
仮面越しにココロが笑ったような気がした。
ココロの掌から、一つの光が地面に向け落ちていく。
落ちた瞬間、透明な粒子を出す針が地面から一気に全方位へ放たれる。
それは棘の山のように何十メートルにも大きく見えた。
観客の全員がその光景を見て、驚愕した。
学生が出せる魔術の威力を超えていた。
リーナは棘の合間を華麗に躱していく。
短期予報のおかげである。だが、
その短期予報が無ければ、躱しきれない。
(あの人、何!?あんな魔術を連続で放てるわけがない…!躱し続けて、機会を待たなきゃ…!)
「へぇ…耐えてる。すごいすごい!じゃあ、これなら、どう?」
ココロが再度、粒子を地面に落とす。
空中に居るリーナの直下、足元から、透明な柱がリーナに向けて、
突き上がる。
「…くっ!防護魔弾魔術<スペル・魔弾Ⅰ>!」
柱に向かって第1の魔弾が放たれた。
それは空中で壁に当たったかのように、結界を展開し、
柱を防いだ。だが、
「…なら、もっとだね。」
いくつもの、棘が更に生成。
そしてリーナを追いかける。
「も~!粒子うざい!こうなったら…。」
リーナはマスケット銃に魔力玉を込める。
「短期予報があれば…。」
リーナは棘に向かって、魔力玉を発射した。
それは、針のような棘のようなものの中で跳弾し、
ココロへ一直線に向かって放たれる。
「…コル、お願い。」
(…)
ココロは誰かと話すように独り言をつぶやくと
結界がノーモーションで展開された。
マナが客席からその光景を見る。
(あれは…!!!ココロ様…まさか…貴方の中に…)
ココロが飛び上がり、リーナに顔を近づける。
「あは…やあ、こんにちは。リーナさん。」
リーナは身震いをしてしまう。
(リーナ!魔弾を!!!)
そんなザミエルの声は間に合わない。
「コル…出力上げて。」
(…)
「すっごく楽しかったよ。」
ココロはリーナに向けてそう言う。
リーナは、ココロの立ち振る舞いが、
今、対峙しているのが、カナリーだと錯覚した。
ココロの掌から、透明な粒子の棘のような針が伸びた。
リーナはマスケット銃でガードをするが、
マスケット銃が砕かれた。
針はリーナに刺さることはなく、そのまま先端が丸くなり、
リーナを押し出す形になった。
リーナは地面に叩きつけられ、気絶した。
「勝者!ココロ選手~~!!!素晴らしい戦いでした!最後のはヒヤッとしましたが、ルールを守り、殺傷せずに戦ってくれましたね!」
レイラは、驚愕している。他の観客とは別の意味で。
(そんな…あの…粒子は…まるで…)
「レイラ先輩?またですか~!?まったくもう。」
ラフィーは今度はマイクに声を乗せずに、レイラに向かって言った。
様子のおかしいレイラを見て、ラフィーは勝手に推理をする。
(あのココロって選手とレイラ先輩、何か関係があるんでしょうか?七魔席と何か関係が?これは…面白くなりそうですね~!)
「リーナさん!大丈夫ですか!?」
ココロはアリーナから出る際、カナリーとすれ違う。
すれ違ったカナリーがココロの方を見る。
(今…なんだか…懐かしい匂いがしたような…)
気のせいだろうかと思いつつも、カナリーはリーナの方へ向かった。
ココロは1人でカナリーの方のみを見つめていた。
ケーシィは準決勝で死力を尽くしてしまったので
第2ブロックの決勝には出れませんでしたね。
怪我などの治療は完全回復させてもらえないので
全力は出せませんね。
アスク・リサルス
ダークエルフ種。エルフ種の亜種であり、
ちょっと大人っぽいセクシーな女医さん。
普段はオービット魔術学園の保険医をしている。
ココロとリーナがぶつかりましたね。
ココロの正体が少しずつ明かされていきます。
リーナから見てココロがカナリーに錯覚した理由は一体…。
そして、コルとは…。マナが驚いた理由とは。
第95話、読んでいただきありがとうございます。




