コード284「天龍―」
第284話
前回、エルナがレオナールと飛渦龍を倒して
エルナが結界ごとレオナールと飛渦龍を癒光でぶち抜いた後、
レオナールの欠片を包み、仮面に移す事に成功した。
ハイブヘイヴンの結界ごとぶち抜いたエルナには考えがあった。
(ルクス、この国の結界、だいぶ昔の結界だよね。それなら、私達で張り直そうよ。もっと強固な結界でさ。)
"肯定します。マスターが破壊した結界には脆弱性がいくつかあり、それらの問題点を全て解決できる結界が必要となりますね。今、仮の保護結界を張って住民の人体保護を実行中です。この結界の上から、張り直しましょう。"
エルナに抱きかかえられるレオノーラ。
もうレオナールの残滓も残っていないが、
精神への負荷が見られたため、今レオノーラは眠っている。
「さて、まだ仕事は残っているよ。竜災嵐がまだ、ね。どうする?結界で守り続けるか、もしくは、蹴散らすか…。」
"マスター、私から一つ提案があります。"
ルクスからの提案は少し意外なものだった。
「それ、私は平気だけど、本当に良いの?みんなびっくりしちゃわない?」
"問題ありません。それに、現状を鑑みた結果、これが最適だと判断しました。許可をお願い致します。"
「分かった。いいよ。私は止めないから。やっちゃってよ。ルクス。」
"承知致しました。マスター。"
竜達の群れがハイブヘイヴンのすぐそこまで来ており、
それは全方位から。その数、軽く千を超える。
「もう…おしまいだ…!」
「諦めるな!全員でやれば、何とでもなるはずだ!」
そんな中、街の中央で一羽の天使が浮いていた。
エルナの頭上には二輪の光輪が存在している。
これはひとつはエルナ個人のもの。そして、もう一つはルクスのもの。
その日、ハイブヘイヴンでは、神秘的な光景が目撃される事となった。
誰もが見た事もないが、その存在を、誰もが知っていた。
「キュォォーーーーン……」
ハイブヘイヴンを支配しようとしていた絶望『竜災嵐』、それはある咆哮により、
全ての竜が止まった。
ハイブヘイヴンへ降臨せし、伝説の龍が一体その名は、
天龍―ルーンクリスタ。
半透明で顕現した彼女の大きさは計り知れず、国の全てを覆っていた。
ワイバーン達、全ては彼女の周りで整列し、空中で首を前にし、
まるで帰りを待っていたかのように、首を垂れる。
"皆の者、自分たちの居場所に帰りなさい。ここは貴方達の来るべき場所ではありません"
ルクスが天光を溜め、放つと、
周りに残っていた雲、リュカの術式が全て吹き飛ばされた。
ワイバーン達はそれを確認すると、皆雄叫びを上げ、
その後ハイブヘイヴンを背に向け、全個体、霧散していった。
「天龍…海龍と並ぶとされる伝説の一体。居るのは知っていたけど、この目で見れるとは思わなかったな。」
龍眼ノ魔女リュカは、天龍を見た後、満足しハイブヘイヴンを後にした。
ルクスの半透明の姿が弱くなっていき、ハイブヘイヴンの住民達は
その姿を目に焼き付けていた。
―――
「……報告は以上です。現在、市街地の混乱は収束に向かっております」
ハイブヘイヴンの女王、マヤリースは帰って来て早々、
提出された報告書に目を通しながら、椅子に深く腰掛けていた。
窓の外には、かつて見たこともないほど澄み渡った青空が広がっている。
いや、空が変わったのではない。街を包む『結界』そのものが、別の何者かに書き換えられたのだ。
「教皇クラウディオスが、自ら極悪人であったと証言、か……。天守評議会は全貌を調査中……ね。」
レオノーラを操っていた悪魔レオナールの件もさることながら、
教皇自らが「自分こそが元凶である」と断罪を求めるなど、
教会始まって以来の不祥事だ。あまりに衝撃が大きすぎるため、教皇の処遇は一時保留中。
一方で、レオノーラに関しては、悪魔に憑依されていたという明確な証拠があった。
現場にて、顔面が発光している謎の女性がレオノーラを抱きかかえており、
その者は言葉を話すことなく、禍々しい仮面と手紙を置いて行ったとの事。
その内容としては、
『全ての原因は、凶悪な悪魔による犯行であり、レオノーラは利用されてしまっただけ。彼女は全く関係ない。』
その最後に、五天柱、一柱。と書かれてあり、マヤリースの元に届けられたのだった。
「はぁ……直接渡しに来ればいいのに。まったく。でもまあ、今度直接聞かないといけなさそうね」
その頃、ソリナのメンバーたちはレオノーラの見舞いに訪れていた。
病室には、悪魔レオナールの塵のような残りかすが厳重に保管された容器が置かれている。
これが彼女の潔白を証明する証拠だ。
仮面の方は評議会側に提出されている。
行方不明のリュカの捜索は続いているが、肝心のカナリーとは会えず仕舞いだった。
「結局はエルナちゃんが解決か…カナリーちゃん……」
モニカは青空に照らされ、かつての友人の姿を思い出し、ため息をついていた。
へイヴベル王立図書館
その最奥の席に、丸メガネを掛けたセレスティアの制服を着た一人の少女がいた。
「……ふぅ。やっと落ち着けた」
エルナは、本の中に顔を埋めるようにして呟く。
彼女の肩には、先ほどまでの巨龍の面影など微塵もない、
手のひらサイズの白い赤ちゃん龍がちょこんと座っている。
そのドラゴンの名前は、『ヴェル』
エルナの癒光を受けた飛渦龍は、邪気が祓われたが、
元々、純粋な性格だったのが功を奏したのか、消滅する事なく弱体化した。
今では、可愛らしく、図書館の机を甘噛みしている。
「ヴェル。甘噛みしちゃダメだよ。ルクス、結界の方は順調?」
"旧式の術式は、私の天光との親和性が皆無でした。今回の十層結界への更新は、ハイブヘイヴンの防衛機能を数世紀分先取りした合理的判断です"
「そっか。ありがとう。引き続き、管理よろしくね」
エルナは微笑しながら、ヴェルの小さな頭を指先で撫でた。
窓の外では、新しくなった『天光十層結界』が、昼間のような明るさで街を包んでいる。
認識阻害を最小限に抑えたことで、街の外が鮮明に見えるようになった。
空に浮かぶ新しい天空都市が生まれたのだった
エルナはヴェルを横目にルクスに意識を向ける
「ところでさ、ルクス。そろそろ教えてよ。私と出会う前の話」
天龍―ルーンクリスタ。通称ルクス
現在、エルナの脳内システムのような立ち位置である存在。
だが、その正体は伝説の天龍である。
マヤリースが帰って来て早々、報告を受けていました。
クラウディオスの処遇は保留中となっていますね。
レオノーラは減刑されつつもエルナの手紙により救われました。
エルナとルクスが何をしていたのかというと
簡単に言えば、結界の張り直しです。
古い結界から新しい結界へ。
飛渦龍はヴェルに変わりました。
最後に、エルナがルクスと出会う前の話を聞いていましたね。
第284話、読んでいただきありがとうございます。




