コード282「天の使いの光る羽」
第282話
前回、エルナがハイブヘイヴンに帰って来て
少しだけハイブヘイヴンを空けていたら、大変な事になっていた。
ミアリーゼを救う少し前。
エルナ・イリデセントは、シィルトレイルにてソリナメンバーを救った後、
シィルトレイルからハイブヘイヴンの異常を検知していた。
「ルクス、上で何か起こってる。女王様は居る?」
"観測中。完了。いえ、どうやら別の場所に居るようです。急いで戻った方が良いかもしれません。"
あぁ、緊急姉妹会議をした後に、
地上で大暴れしていたシャーリーを止めて……
それから、ハイブヘイヴンで事件?
事件、重なりすぎでしょ!
もう!シャーリーめ!次会ったら絶対に連れ戻す!
"マスター。天光全解放補助致します。全力で向かわれた方がよろしいかと。"
「分かった。結構面倒な事が起こってるって事だね。はぁ……行くよ。」
天光全解放
天虹之天術<シャイン・天彩羽>
"スキル発動<スキル・シャイニリング>×10"
天光を爆発的に放出し、まるでジェット機のようなスピードで移動する。
砂煙が大爆発したかのように舞い、雲が割ける。
空気抵抗も重力も無に帰す。その推進力はもはや
「移動」ではなく、「跳躍」に迫るものだった。
エルナが音速を超え、空を飛ぶ。
"マスター。ハイブヘイヴンが近づいてきました。このままマッハで突っ込めば都市の壊滅を招きますのでスキル<スキル・ポイントワープ>を使います。3、2、1……"
そして、現在。
「ルクス、そっち、止めれた?」
"イエス、マスター。こちらの被害は0でございます。止めた後はどうされますか?"
悪魔は、倒したらすぐに逃げそうだし……、どうしようかな。
そっちの龍は何か話してくれるだろうか。
「止めた後、拘束しておいて。こっち終わらせたらすぐに行くから。」
"かしこまりました。では、制圧した後、拘束のみに留めておきます。ご武運を。"
さて……、私のやるべき事。
「レオノーラさん。今、助けるね。」
レオナールは不快そうに天使を見る。
(こいつ……頭に輪がある。まさか、天龍の仲間か……?くそ、分かんねぇ。それにあの娘が一瞬言っていた。一柱様って。そうか、こいつが…なるほどな。)
「俺は、レオナールって言う名前を持ってんだよ。そっちで呼んでくれ……る゛!?」
(なんだ、何が起こった!?って、俺、こんなに移動したのか……?って、屋根の上…)
エルナは天光を纏い、ただ、翼を羽ばたかせただけ。
(くそっ!いきなり現れやがって……)
「俺の邪魔をするなぁ!!!」
「私の邪魔もしないで?」
指をひょいと動かすと、虹色の羽が無数に動きまわり、
まるで生き物のように動き蠢く。
その時、背後の方で、光の柱が空に向かって放たれる。
「あ、ルクス、上手くやってくれたかな。」
飛渦龍が翼を貫かれ、撃墜される。
よく見ると、小さな光の球に翼が生え、その上に光輪がある謎の物体が
巨大な龍を圧倒していた。
「あり……えねぇ……」
レオナールはその光景を見て、信じられない様子だった。
そんな……進化した僕が……負ける……?
いや!!!負けるわけにはいかない!!!
飛渦龍が雄叫びを上げる。
レオナールがそれを聞くと、飛渦龍の考えがレオナールの頭の中に入ってきた。
レオナールと飛渦龍の2人はお互いに飛び、近付く。
"マスター、何か仕掛けて来るようです。追撃を"
「待って。今はこっちの子の手当てが先。少し待ってて。」
エルナはミアリーゼに近付き、癒光を放った。
彼女の繰り出す癒光は常人のそれではなく、
この国の中で彼女を凌ぐ癒光を放つ者は居ない。
「これ……は、温かい……」
ミアリーゼはみるみるうちに傷が塞がっていった。
「これで大丈夫。だけど……、精神的な部分は私でも治せない……ごめんね。」
飛渦龍は渦を作り、レオナールと共に、
その渦の中で何かをしている。
そして、そこに現れたのは、白く変化した飛渦龍、
黒い光を放つハンマーを持つレオナール。
エルナはそれを観察しながら、光を放っていた。
一方、その頃、ドグマの司教者達が何やら天術の準備を進めていた。
「おーい!こっち手伝って~!」
広範囲天術を放つ為の楽器であるらしく、
それが合計6台それぞれの方向に向けて放たれる仕組みのようだ。
"ここは私達にお任せくださいませ。"
モニカに向けてそう話しかけられた声がどこか、
マナの声に似ていた気がして、モニカは懐かしい気持ちになっていた。
「……エルナちゃんが帰って来たんだね。良かった。それじゃ、ここはお任せします。私達は、下の手伝いを。お二人とも!行きましょう!」
モニカはヴィオレータとダニエールの2人に声をかける。
2人は不思議そうな顔をしていたが、飛渦龍が撃墜された事により、
他に手を回す事が可能となっていた。
「分かりました。ヴィオレータ行くよ。」
「は~い。今行きますわ。」
モニカ達はヴェラーリオと合流する。
「ん?五天柱のお二人ですね。こちらです。広範囲天術にて、悪魔達を範囲浄化致します。お手伝いの程よろしくお願いします。」
口の悪いヴェラーリオは五天柱の前では敬語を使っていた。
「では!これより、広範囲天術を使う!皆の者、詠唱を!」
天守評議会連中が天光を集め、詠唱する。
彼らの周りだけ、光の粒子が舞い上がっており、
なにやら大きな術が発動されようとしていた。
「広範囲浄化高等天術<ハイシャイン・広域願光>!」
放たれた天術は楽器のベル部分を抜けると拡散し、広がっていった。
その光はへイヴベルの街を全て包み込むほどの光であり、
低級悪魔らの全ては浄化された。
「ぐっ…!?、ふぅ、今のは危なかったぜ。」
レオナールも例外でない為、それを食らったのだが、
レオナールは魔力を纏い、それをギリギリ防ぐことに成功した。
そのまま、翼の生えた頭に輪っかが浮いている謎の女性を見つめる。
(くそ……俺が出した悪魔共、ほとんど残らずに浄化されちまった。それにこいつ……俺が会った中では一番強いな。別格だ。さて…どうするか。今の俺達の勝利条件。とにかく、この女から逃げる事だ。だが、それも今や無駄のような気がする。そもそも逃げられる気がしないな。)
いや……何故、俺が逃げる必要がある?
勘違いも甚だしいな。
それに今は、1人じゃない。2人だ。
飛渦龍とレオナールが居る。
「このまま、ぶち殺す!テメェ、覚悟しろよ。」
そうだ。それでこそ、俺の生きざまだ。
エルナはそんな言葉を無視もしくは、聞き流している。
(下は…、もう大丈夫そうだね。悪魔もほとんど居なくなってるし。)
エルナはレオナールの言葉を完全にスルーしていた。
エルナが帰って来たことにより、形勢が逆転する。
ちなみにエルナがシィルトレイルからハイブヘイヴンに行くまで数十分で移動しています。
まるで船上でカナリー達を救いに来た時のミナリーのようですね。まあ速さは違いますが。
エルナは天術、天彩羽を纏い、天光を噴出しながらシャイニリング、
加速スキルを使い、マッハで飛び、短距離ワープでハイブヘイヴンに到着しました。
そうしないと、エルナが通っただけでハイブヘイヴンが壊滅しますからね。
広範囲浄化高等天術<ハイシャイン・広域願光>
大人数で展開する広範囲天術。
魔のものを一気に一網打尽にする術であり、
天守評議会側、ヴェラーリオも少々焦っていました。
もし、これで祓えなければどうなっていたのか。
その時はまた別の案を考えていたことでしょう。
第282話、読んでいただきありがとうございます。




