コード281「飛天と黒天、そして」
第281話
前回、リュカが逃げ出してから
飛渦龍の相手をしているのは
モニカ、天守評議会の司教者数名、
「くっ!風がかなり強い…。こんな街中で暴れられたら大変な事に。あの魔女…。覚えてなさいよ。」
モニカは司教者らと協力しながら、飛渦龍に攻撃を与えていた。
「ふん、効かないよ。今の僕は無敵さ。どんな攻撃も…、む?」
そこへ颯爽と現れるのは、2人。
「行くよ。ヴィッタ。」
「は~い。ダニエール。合わせてくださいまし!ふん!」
女性が天光を纏い、それをサポートする形で男性も天光を女性に追加して纏わせた。
光球がいくつも飛渦龍に向かって射出される。
だが、飛渦龍にダメージはあまりなさそうだった。
「助太刀します。アルニラク先生。お久しぶりですね。というか…、全身怪我をしていたような…。大丈夫ですか?」
ダニエール・モンタナス。
五天柱の一柱であり、第五柱。
セレスティア天術学園の男性教員である。
「ダニエール。相手を困らせる言い方はよくありませんよ。女性に秘密の一つくらいありますからね。」
ヴィオレータ・ローサリオス。
同じく五天柱の一柱。第四柱。
セレスティア天術学園の治療員兼、宝石店の商人もしている。
「そんな事、分かってるよ。事実を聞いているだけで……。てか、敵に集中して、ヴィッタ。」
「というか、以前から人前ではヴィオレータと呼んでくださいとあれほど…!」
「分かったってば。ヴィオレータ様。サポートするから。」
「様は要りませんとあれほど!!」
モニカは2人の掛け合いを見て、本当に助けに来たのだろうかと
どこか不安になってしまいそうだった。
飛渦龍からの攻撃が3名に襲う。
「お二人とも、来ますよ!構えて!」
一方、その頃、レオナールの相手をしているミアリーゼ視点。
(くっ…、やはり、私じゃ…、疑似お姉様を相手に…なんとか死なないように食らいついているだけ。攻撃力も、防御力も全てにおいて、劣っています。どうすれば…。)
レオナールの攻撃は苛烈さを増していく。
このままじゃ、攻撃を防ぎ切れなくなる。
レオナールの攻撃により、空を舞う。
街の方を見ると、大きな黒くて
頭に円のようなものがある龍が暴れている。
あぁ…、私の好きなハイブヘイブンが…。
「オラァ!よそ見すんな!」
蹴り上げられ、黒きハンマーでぶっ飛ばされるが、
光の盾を張っていたおかげで、致命傷は避けられている。
幾重にも吹き飛ばされ瓦礫が空に舞って行く。
「お?角龍のやつ、進化出来たみたいだなぁ。そろそろ、戻るか。つーか、こいつしぶとすぎるんだよ。」
レオナールはハンマーでミアリーゼの腹部を思いきりぶっ叩いて、
ミアリーゼは建物を貫通しながらぶっ飛ばされる。
口元を切ったのでしょうか、血の味がします。
「うぅ……お姉様を……。」
体が上手く動かせません……、
今までだと、セリンが居たから……セリンが何とかしてくれていたから……
こんなにも、集中攻撃をされた事もありませんでしたし……
何より、戦いづらいです……。
相手が相手だからなのでしょうか。
それとも、単純に私の実力不足。
ミアリーゼは昔を思い出していた。
まだ、小さかった頃。
お姉様は私の事を大事に大切にしてくれた。
あの笑顔で私はどれだけ救われていたことか。
今は…、そのお姉様が悪魔に意識と体を奪われている。
優しかったお姉様を……取り返すには……
「はぁ……、はぁ……、私も覚悟を決めないといけませんね。」
盾の強度を上げ、天光の鎧を再び身に纏う。
「お姉様の姿をしていますが、お姉様じゃないけど肉体がお姉様。ふぅ……」
本気で戦える状況ではなかったが、本気で戦わなくては、姉に太刀打ちは不可能。
「覚悟……しなくてはいけませんね。」
(こいつ……雰囲気が変わったな。だが、今はまだ……!)
ミアリーゼは天光を全身にではなく、部分的に纏い、
そして、ジャンプをし、ある事をしてレオナールを驚かせた。
「なっ、何故!?」
ミアリーゼは空中で二段ジャンプをする。
盾を使わずにレオナールの上を取った。
小さな、盾が一瞬見えた気がした。
「やぁぁぁぁ!」
(くっ!シールドバッシュか、だが……!ん!?)
ミアリーゼは空中で体をひねり、ひねった状態から一気に光の盾を蹴り飛ばした。
その盾は、壁という壁を跳ね返り、まるでピンボールのように跳弾し始める。
(軌道が読みづらい!なんだ……!くそっ!)
直前に来た盾を防ぎ、弾き返す。
「もう一つです!」
今度は蹴らずに、それを投げた。
天光で筋力をカバーする事によって、
蹴りと同じくらいの威力を出していた。
(くそ、はぇぇ!)
レオナールは魔力を身に纏い、その盾を何とか弾き飛ばす。
だが、その隙に、ミアリーゼ本人が盾を一つ持ち、
それを使ってレオナールを殴った。
今度は届いた。
レオナールも反撃をする、のだが、ミアリーゼは弾かれた2枚目の盾を、
ギロチンを落とすように、レオナールの持っていたハンマーに当てる事に成功した。
そこへ追撃する形で、ミアリーゼは天光を足に思いきり溜め、
レオナールの顔面へと蹴りを繰り出そうとしていた。
(……意識を飛ばす為に!思いっきり!)
「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「くそっ!あんま舐めんなよ。」
ハンマーでの防御が間に合い、蹴りは止められてしまった。
「確かに、あの盾の天術は驚いた。だが、天光なら話は別だ。それは、俺には効かない。ただの天光なら、魔術には敵わない。お前の天光がもっと硬ければ、話は変わっていたかもしれないが、この至近距離で盾を使った蹴りを出されていれば、食らってたかもしれないな。」
もう片方の手には黒きハンマーが握られていた。
「歯ぁ……食いしばれよ!
黒天之戦槌魔術<スペル・黒天閃撃>!!!」
「ぐっ……うぅっ……!」
ミアリーゼの腹部に思いきり本気の衝撃が伝わり、
建物をいくつも貫通して、吹き飛ばされた。
「うぅ……お腹を何度も……。」
盾と天光がなんとかギリギリ間に合いましたが……
受け身……取ったのに、骨に響いてます……。
いやこれは……頭を打ったのですか……
視界がぐるぐるして……
視界が赤くなる。
頭を打って、血が出ているのでしょうか。
「はぁ……はぁ……」
飛渦龍視点。
「ダーニィ!もっと力を!これじゃ足りないどころか、本体に届きませんわ!」
「分かってる!今考えてる。てか、僕に対して愛称がダメって言っておきながら君が僕を愛称で呼ぶのはどうなんだ!?」
「お二人とも!今はそんな事を言っている場合では!はっ!?」
モニカは飛渦龍を見て、魔力を高め、防御系術式を行使する。
レオナールは瓦礫を押しどかしながらミアリーゼの前に立つ。
「最後は、姉の顔を見せながらぶっ殺してやるよ。感謝しろよ。ん?」
腕が動かしづらい……だと。
まさか、ここに来て、レオノーラが邪魔をしているとでもいうのか
無意識に、いや、これは体から魂で拒絶している。
自身の妹を殺すまいと。か。
「俺の邪魔をするな。お前はそこで見ていろ!」
力を込め、魔力を高め、レオノーラの意識を更に奥深くに押し込んだ。
み……ミア……
お姉様……
「じゃあな。シスター姉妹。」
「飛天之渦龍魔術<スペル・収渦龍波>!!!」
「黒天之戦槌魔術<スペル・黒天閃撃>!!!」
ハイブヘイヴンが光に包まれる。
ごめんなさい……お姉様……皆様……
「……良かった。間に合った。もう、大丈夫だからね。」
レオナールの攻撃が寸前のところで止まっており、
謎の透明な壁に阻まれているような光景であった。
また、遠くで炸裂した飛渦龍の魔術の光も謎の力で止められたようだ。
目の前に現れたのは、薄い金髪にロングヘア。
セレスティア天術学園の制服を着ている……
「……カナリーさん?どうしてここに……」
雰囲気も声も似ている。咄嗟に口に出た言葉としては間違っていない。
だけど、本人はそれを否定し、口元に指を置き、彼女は微笑む。
レオナールからは顔が見えず、ミアリーゼから見ると、
顔部分が少しぼやけて、見えなかったけど、雰囲気からして
その人物はまんまカナリーさんだった。
「私の事は内緒にしてくれると嬉しいな。」
目の前に居るカナリーに似た人物の背中から翼が生え、
頭上に光る輪が出現した。その輪は、虹色の輪でとても綺麗だった。
「目の前の人……は、私の姉で……悪魔に取り憑かれて……うぐっ……」
「分かった。ありがとう。多分そうなんじゃないかって思ってた。レオノーラさんがこんな事するわけないもん。」
あぁ……、助かった……のでしょうか。
「あとは、私に全部任せて。」
セレスティア天術学園の制服が変わり、その服は、
五天柱を象徴とする服装であるが、誰なのか分からなかった。
この方が……、一柱様なのでしょうか。
ミアリーゼから見て、天の使いが舞い降りて来たかのように見えていた。
ミアリーゼでは流石にレオナール、(レオノーラ)には勝てなかったようです。
ですが、ミアリーゼもかなり善戦しましたね。
そして、そんなミアリーゼのピンチに現れたのは、
カナリーによく似た人物であり、背中に翼があり、
頭上に光る輪が浮かんでいる人物。
もうお分かりですね?そうです、彼女がやってきました。
第281話、読んでいただきありがとうございます。




