コード278「龍眼を記憶する者」
第278話
前回、レオナールとミアリーゼが戦いを始めて
「おーい、生きってるか?」
(死んだのか?まあ、いい。この爆槌、割と魔力使うが、破壊力が良い。他も試してみたかったが…仕方ねぇか。)
私に出来る事は……誰かを守る事、それから…
煙の中から、うっすらと影が出て来る。
その姿は、怒ったミアリーゼであり、
レオナールの方を目を細めて見据えていた。
額から、血が流れていたが、腕で血を拭う。
「…早く、お姉様の体を返してください。」
私に出来る事、それは耐える事。
セリンとの冒険の中でも、私はタンクを担ってきた。
天術が発現する前でも後でもそれは同じだった。
あの黒い狼に比べれば、この攻撃はなんてことはない。
レオナールは目を見開いた。まさか、まだ生きていたなんて。
「そうだよなぁ…そうでは無きゃ、面白くねーもんなぁ!」
まずは、さっきの爆槌がどれだけ連発出来るのかを試してみたかった。
「ははっ!行くぜ!耐えろよ~!爆槌之魔術<スペル・黒棍爆撃>!」
またも、地面が爆発するのだが、爆風が少し逸れた。
(相手のミス…!?いえ、違います…気を引き締めて…はっ!)
ハンマーが横薙ぎされ、直接ぶっ叩かれる。
だが、光の盾が辛うじて、間に合い、それを何とか防ぐ。
レオナールは光の盾ごと爆破させ、別の建物へミアリーゼは吹き飛ばされる。
(いたた…、直撃を受けずに済んで良かった…。まさか、爆発の煙で目くらまししてから攻撃してくるなんて。)
ミアリーゼは背中に盾を生成し、衝撃を体に受けつつ背骨を守った。
その場は悪魔騒動により、別の意味で阿鼻叫喚が起こっており、
現場は大パニックだった。
「お姉様の体と…この悪魔達を…。」
そこまで続けたが流石のミアリーゼも言っても無駄だと分かった。
「言っても無駄ですし、気絶させてから考えます!」
(この悪魔はお姉様の体を乗っ取っている。圧殺は出来ない。でも、制圧し、意識を失っている状態で悪魔祓いをする…。私に出来るでしょうか。いえ、出来るかじゃない!やるんですよ!ミアリーゼ!)
ミアリーゼは立ち上がり、二枚の光の盾を出現させながら、
レオナールに再び、立ち向かった。
街中では人々が小悪魔に憑依され、その小悪魔が別の子悪魔を一体ずつ召喚していき、
どんどんと倍々に小悪魔の数が増えていく。
セレスティア視点
「こっちダメー!結界がもう保たないよ~!!あ!先生!!みんな!」
街の住民らはセレスティア天術学園に避難していたのだが、
小悪魔達は学園内に入ろうとしてくるのを、
生徒ら先生らの天光の結界で何とか食い止めている状況にあった。
「ここを突破されるわけにはいきませんからね!リアーリ、気張りますよ!」
シスターの先生が皆に指揮を出し、天術による結界を出し、
生徒達はそれに天光を集め、強度を高めている。
「分かってますって!避難所を襲撃してくるとか趣味悪すぎ!」
(エルナ…どこに行ったのさ…、あなたが居れば、こんなの、すぐに解決できるのに…!)
だが、数が想像以上に多く、結界にヒビが入り…
「も、もう…ダメ…!限界!」
結界が割れてしまい、悪魔達が入って来たその時、
一人の女性がそこへ駆けつけ、魔術を使用し、皆を救い助けた。
「あ!!アルニラク先生!!!ありがとうございます…!でも、どうして、ここに?」
アルニラク先生と呼ばれたその人は、病院で入院していたという人物であり、
声がか細いがなんとなく聞こえはした。
「…院…を……。」
「えぇ!?病院を抜け出してきた!?そんな!大丈夫なんですか!?無茶しすぎですよ…。」
アルニラクと呼ばれた先生は皆から慕われているらしく、
信頼され、その身を案じられている。
「はぁ…、全く、アルニラク。今は緊急事態ですので、病院を抜け出してきたというのは一旦置いておきますが、後で引きずってでも、再入院させますからそのつもりでいてください。」
他の先生にそう言われてしまい、包帯の内側で乾いた笑みを浮かべる。
「み…、んな…にお願いしたい事…が、あって。」
アルニラクはか細いながらも必死に言葉を紡いだ。
街では、淡い白色の髪の少女が駆け抜け、悪魔に憑依された人々を救っていた。
その姿はまるで、突然、白い風が吹き抜けたかのように見え、
その風を受けた者は悪魔が抜けていく。
「やはり…カナリー様は素晴らしいですね。見ていて、気持ちが良い。しかし、あの時…、計算は合っていたはずなのに。」
リュカの計算では月にカナリー届ける事が出来たはず。
それなのに、大魔女が介入してきたのは一体なぜなのか。
シャーリー様…、私にお任せください。
必ずや、あなた様のお役に立ってみせますから。
でも、今はその時じゃない。準備も何も全く出来ていなく、
ハイブヘイヴンに来たのも、天龍を目指すという竜が気になったから。
まさか、悪魔と組んでいたとは思わなかったけど、
ここにカナリー様も居るとは知らなかった。
「カナリー様は悪魔達を浄化して回っている。今はまだ、小悪魔の増殖スピードの方が速いから…、あの龍の方へ行くのは時間がかかりそうだけど…。」
だが、カナリーのスピードがどんどん速くなっていく。
「はは…、規格外すぎ。」
リュカは何かするかと言う訳でもなく、屋根の上で角龍の繭を見上げている。
(ま、今回は敵対する理由もないし、傍観していよう。)
だが、そんなリュカの背後を取る人物がいた。
「みっ…見つけましたよ…。やっと…」
リュカは驚く。まさか、この人物がこの国に居るなんて。
「驚いた。あの時、この国に飛ばされてたんだ?無理しない方が良いんじゃない?」
その人物はアルニラクであり、リュカにゆっくりと歩き、包帯を取っていく。
「ふぅ…、やっと喉が戻ってきた。無理?別に無理はしてないわ。それに、あなたのその目、尻尾。聞いた話と一致するし、記憶にもある。龍眼ノ魔女さんね。」
リュカは不思議に思う。
「あの時…、大噴海が起こる時、あなたは…ほとんど動けていなかった。でも、他の皆と一緒に飛ばされていた。私の事をちらっとは見ていたとしても、私の素性は教えてなかった。そうでしょ?違う?」
あの時、一瞬しか見られていなかったはず。
「そうね…、確かに、あの時の私はあなたをちらっとしか見てなかったし、何より傷の状態が酷かった。一瞬しか見てない。でも…、一瞬でも十分。だって、全部覚えてるから。」
包帯を取ったその人物は、かつて、カナリー達と共に行動をしていた人物。
「覚えてる…か。あなたの事はあの後で調べたわ。あなたの情報はどこにも無かったけど、ロードベルトのオービットにはあった。それも…、学園長のほぼ秘書的な扱い。そうよね?
モニカ・アルニラク。」
モニカは包帯を取りながらリュカを見つめる。
ミアリーゼはレオナールに苦戦しているようです。
それもそのはず、実質レオノーラと戦っているようなものですからね。
実力差がかなり離れていますが、そこはレオナールが100%を引き出せていないからになります。
モニカ・アルニラク
モニカのファミリーネームがずっと明かされていませんでしたが、
ここでついに判明しましたね。
大噴海にて、ハイブヘイヴンに飛ばされていたようです。
モニカは一度見聞きした記憶は完全に覚えている為、
リュカの特徴を覚えていたが、名前までは聞いていなかった。
何故、彼女は龍眼ノ魔女の名を知っているのだろうか。
第278話、読んでいただきありがとうございます。




