コード277「黒き戦槌と光の盾」
第277話
前回、ミアリーゼが駆け出して
リュカ視点
角龍へのささやかなプレゼントが終わり、
傍観していると、悪魔が大量に街を埋め尽くしていた。
(ふーん…、そう言う感じで行くんだ。それなら…確かに、カナリー様を一時的に止められるかも?)
一方、カナリーはというと、翼持ちの悪魔の背中に乗っていたはずだったが、
その悪魔は突然、急加速しカナリーはそれにびっくりして手を放してしまい、
都市に落っこちていた。
「いたた…急に…。」
翼持ちは、レオナールによって回収されてしまっており、
もう必要ないだろうと考えていた。
「近接と魔術型二つとも消えたみたいだし、もう倉庫雲には興味ないからな。そもそも、俺が必要ってわけじゃなかったし。それより…悪魔共ぉ!今夜は暴れようぜ!」
召喚された悪魔達は、謎に弱体化してしまった。
「あ?あぁ…なるほど。結界かぁ…。」
人に憑依した今の状態なら…。
レオナールは、黒いハンマーを持ち、結界の脆弱な部分を探し始めていた。
「だが…そうだなぁ…。別の案も用意しておくか。今、ここには…たくさんの人が居るからな。」
地面に落ち、尻もちをついたカナリー。
悪魔に乗っていれば、主犯に会えるだろうと考えていたのだが、
その悪魔もどこかへと行ってしまい、迷子になってしまう。
「えぇと…。」
すると、目の前に小悪魔達が出現し、それらが人の中に入り込んでいくのが見えた。
ふと、至近距離に召喚された小悪魔が、カナリーの中に体を細くして、
入り込もうとしたその瞬間、小悪魔は何かに阻まれて、
侵入する事が出来なく、侵入できないなんて聞いた事が無かった。
小悪魔は結局、カナリーに入る事をあきらめ、別の体の方へと向かって行った。
カナリーはそれを追いかけようと、駆け出すと、
街がとんでもない事になっている事に気が付いてしまった。
「街が…!大変!何とかしないと!」
小悪魔達は、人々の体の中に入っていき、
住民たちは皆、暴れ出していた。
カナリーはそんな街の住民達にタッチしていく。
すると、カナリーにタッチされた人々は小悪魔が抜け、元に戻っていく。
「お、おい!この女やべぇぞ!」
小悪魔達は訳も分からずに、鬼ごっこが始まってしまった。
「やれるだけやってみないと。みんな…!」
カナリーの秘かな奮闘が始まる。
一方、レオナール視点。
街の結界の脆弱な部分がどこなのかを探り、
空を飛んでいた。
へイヴベルの住民達は、髪の長い山羊風の仮面を被った、
黒いハンマーを持つ不審者が空を飛んでいるのを目撃しているのだが、
今はそれどころではない。小悪魔に体を乗っ取られまいと、
各々のやり方で住民達は必死に抵抗していた。
「お~、小悪魔達、良い感じに街をかき乱してくれているな。」
空を飛びながら、結界の脆弱な部分をついに発見する。
「ここか…。」
ちょうど中心地の天井部分。
そこが、結界の一番脆弱な部分であり、
そこに対し、強力な一撃をする事で、
ハイブヘイヴンの結界に穴を開けられる。
レオナールは渾身の魔力を込め、
ハンマーで教会のとんがった部分を空に撃ち込む。
「あ?やっぱ…通じねぇのか。」
街全体を守る結界。流石に一個人の力だけでは、壊せるはずも無かった。
(どうすっかな…。角龍が起きてからにするか?うーん…。)
そこへ、光るボード、もとい光の盾に座った修道女が
レオナールの前に現れた。
「そこのあなた!いえ…。お姉様の体を乗っ取った悪魔さん!体を返してくださいまし!」
ミアリーゼが屋根の上に着地しながら、レオナールに向かう。
「あん?なんで、俺の事が分かったんだ?後ろ姿だけだし、仮面つけてるはずだっただろ。」
「そんなの…、自分の姉の後ろ姿くらい、すぐに分かります!早く、お姉様を返してください!」
(少し、空を飛び過ぎました…ここに来るまでにずっと維持は出来ませんでしたね…。でも、悪魔を見つけられたのは幸運。なんとしてでも…お姉様を取り返さなくては。)
レオナールは結界の破壊を目論んでいたが、予期せぬ予定変更となる。
(そうか…こいつ、この体の妹なのか…なるほどな。この女の精神を完全に壊す為に…妹は殺しておくか…。ははっ、それが良い。)
「返してくださいだ~?返すわけねぇだろ!こんなに良い体なんだからな。ちったぁ、遊んでやるよ。妹よぉ!」
ハンマーがミアリーゼに振り下ろされる。
「くっ…!」
光の盾で黒いハンマーを受け止め、
ミアリーゼとレオナールの戦いが始まった。
光の盾で黒きハンマーを受け止めたが、
天術と魔術は反発しあう性質により、双方弾かれる。
「ははっ!たーのしぃなぁ~!おい!もっと楽しませろよ!!」
レオナールの方は足の軸を回転させれば、対処できるのに対し、
ミアリーゼはただ弾かれるだけで建物を何重も突き抜け、
吹き飛ばされてしまった。
「きゃぁぁ~!人が降って来たわ!一体なんなのよ!!」
ここでミアリーゼは街が大変な事になっている事に気が付く。
「それ、俺がやったんだぜ。この国を落としてやるよ。今なら…可能なはずだ。」
ミアリーゼは自身に、癒光を当て回復をしながら、レオナールを分析していた。
(魔術によって作られたあの武器…、恐らく、姉様の天術がベース。魔術と天術でお互いに弾き合って…私の方が不利なんですね…。でも、防御力には自信があります。策を考えながら…対処しなくては。)
地面をえぐりながら、ハンマーを振り上げるレオナールに対し、
光の盾を上手く使って、直撃を避けるミアリーゼ。
ハンマーの風圧により、建物の天井に穴が開き、夜空が顔を見せる。
「はっ!武器だけに気ぃ取られんな!」
ハンマーの取っ手部分を上手く使い、蹴りを繰り出され、
ミアリーゼは光の盾だけじゃ、防ぎ切れず天光の鎧を纏ったが、
壁にめり込むほど吹き飛ばされてしまう。
(これ…実質、疑似お姉様と戦っているって事ですよね…。骨が折れます…。でも!ここで引くわけにはいきません!)
「ははっ…!それなら!これでも受け止めてみろよ!爆槌之魔術<スペル・黒棍爆撃>!」
レオナールが叩いた地面が明るく光ったと思うと、
叩いたその位置でミアリーゼを巻き込む大きな爆発が起こった。
「あ~…、勢い余って、殺しちまったか?術式を変えれば、効果付与させられるんだよ。って、もう聞いてねぇか?」
レオナールvsミアリーゼの戦いが始まりました。
ミアリーゼは姉(悪魔)を超える事が出来るのでしょうか。
カナリー視点では、小悪魔達が怯え、逃げ惑っています。
それぞれがそれぞれの役割を果たしていますが、
ハイブヘイヴンはどうなるんでしょうね。
第277話、読んでいただきありがとうございます。




