コード99「準決勝。そして決勝」
第99話
前回、決勝ブロックが始まってから
準決勝
ココロ vs スライス仮面
「ふぇ…よろしくおねがいしまひゅ…!舌噛んだぁ…!」
ココロとスライス仮面は向き合い、
その時を待つ。
「…。あなたのその魔術、少し気になるかも。」
ココロが何かに興味を持った。
「では!準決勝、ココロ選手 vs スライス仮面選手。始め!」
ブザーが鳴り響く。
と同時に、ココロの目に光が集まる。
「…。ふぅん、なるほど。」
スライス仮面の魔術の仕組みを理解したらしい。
「え!?そんな!でも、分かってても、避けられませんよ!」
ココロの両腕が透明な何かに縛られ、
地面に叩きつけられる。
だが、ココロは平然と埃を払う動作をする。
「…。それもっと見せて?」
スライス仮面が指を一瞬動かした。
その瞬間、ココロの足元のレンガが切り刻まれた。
「…?」
「これで…!終わりです!」
マナは注意深くその試合を観測し、解析する。
「スライス仮面様の魔術が判明しました。あれは、」
ココロの体が持ち上げられ、そのまま場外へ飛ばされ、
そうになるが、ココロが途中で止まった。
いや、すり抜けたが正しい。
「スライス仮面さん、あなたの魔術は…糸だね。」
ココロはスライス仮面の耳元で小さく囁いた。
「それは私には真似できそうに無いかも。終わらせるね。」
ココロがスライス仮面のマントを掴み、場外に投げ飛ばした。
スライス仮面は糸で戻ろうとしたが、ココロの追撃を食らい、
成す術なく、場外に飛ばされてしまった。
「勝者~!ココロ選手だぁ~!決勝進出です!」
歓声が上がる。
ココロは指をくねくね動かしながら何かを呟いていた。
「…。でも、練習すれば…。やっぱり難しそうだ。」
ココロはスライス仮面に手を差し伸べ、立ち上がらせた。
「良いもの見せて貰った。ありがとう。また会おうね。」
準決勝
カナリー vs エリナ
注目の一戦。
2人がアリーナ中央へと向かい立つ。
「カナリーさん、あなたと戦えるだなんて、光栄です。手加減しません!」
エリナからは雷が漏れ出ている。
やる気充電完了と言った感じだ。
エリナさんはとても強い。
雷か…。対策はあるけど、上手く行く保証はない。
でも、やるしかない!頑張るぞ!
準決勝、エリナ vs カナリーの戦いのブザーが鳴った。
「先手必勝!魔力帯電、解放!」
試合開始よりも前から溜めていた為、即座に雷魔術が発動する。
「飛雷纏魔術<スペル・飛雷放>!」
雷鳴が轟き、爆音が響く。
一直線に、カナリーに向け突進する。
エリナは両手をクロスさせ、ガードの体勢のまま突進してくる。
「魔力…性質変化…」
魔素之魔術<スペル・魔空針>
+
魔力之魔術<スペル・魔破片>
「避雷針に!」
カナリーはエリナの背後に、魔空針を生成し、
それを覆うように魔破片で補強した。
魔空針を避雷針の代わりとする事で
エリナの雷エネルギーを吸い取った。
「…!?な、どうして!?しかし、残ってます!」
全ては吸い取れていなかった。エリナは残りの魔力を全開にする。
魔力で…ゴムボールを作るみたいに…マナが居なくなった時の
私のように…あれを思い出しながら…!
魔力之魔術<スペル・魔破片>
魔破片で丸い結界を作り出し、エリナを閉じ込めた。
エリナは何度も雷を放出しようとするが、結界を破壊できそうに無かった。
「このまま!」
カナリーはエリナをボールごと場外に出した。
ボール状態のまま出しても場外判定にならなかったので、
魔破片を解除。エリナを地面に降ろした。
「勝負あり~!勝者は、カナリー・アステライト~~!!決勝進出です!」
歓声が上がり、エリナに手を差し伸べ、皆に手を振った。
その後、カナリーはエリナと分かれ、控室に戻っていった。
決勝戦は時間を置き、その日の夜に行われることになった。
「マスター、決勝進出おめでとうございます。」
「カナリーさん、おめでとうです。本当にすごいです。」
「カナリーさんなら、やれるって信じてたよ…?次も勝ってね。」
「カナリーさん!本当に凄いですわ!決勝、絶対に勝ってくださいまし!」
「カナリーさん、完敗でした。あそこまで雷を抑えられるとは。頑張ってください。」
「我が妹よ!よくぞそこまで…!あぁ!かわいい!」
その他の皆にも祝われている。嬉しい。
カナリーはココロとすれ違う。
どこか懐かしい気持ちになる。
「あ!あの、ココロさん!良い決勝にしましょうね!」
ココロは一言だけ、もちろん。とだけ言い残し、どこかに行ってしまった。
緊張するな…。
休憩も終わり、決勝の時間が迫る。
皆は応援席に戻る。が、マナだけ残った。
「マスター、決勝のお相手、ココロ様。かなりの強敵になると思います。事前に魔力出力を上げておきます。」
だが、カナリーはそれを断った。
「これ、多分ルール違反だからさ、いつも嬉しいけど、今回マナの助けは大丈夫。ありがたいけど、その気持ちだけ受け取っておくね。いつも魔力ありがとう。」
マスター…もしかして…勘違いされていますか…?
口に出しては言わなかった。
しかし、今説明しても、きっと納得されないのでしょう。
カナリーは盛大な勘違いをしていた。
いつもの”魔力制御”というのは、マナからの”供給”だと思っていたのだ。
カナリーにとって、魔力を上げる。というのはお世辞で、
実際カナリーが全力を出したとして、それよりも明らかに多い魔力をマナが
プレゼントしている。ように、カナリーには見えていたからだ。
つまり、カナリーは今でもずっと勘違いをしている。
魔剣ノ魔女と対峙した時も、マナの制御が”暴走”して
魔力が流れ込んでいたのだと。
魔弾の大悪魔と対峙した時も、
マナからの魔力の”供給”があったから、
超強力な魔空針を撃てたのだと。
マナが過去に行ったときも、
マナが供給し、制御していた魔力がボールになったのだと。
カナリーは今までずっと自分の力ではなく、
マナによるものなのだと、勘違いをしている。
それもそのはずだった。ドラゴンを倒した時から、
マナが魔力制御をした時から、カナリーの勘違いが始まっていたのだから。
「マスター!それは間違いにございます!貴方様の魔力は絶大で膨大です!それは本当です!お世辞ではありません!今、その魔力を底上げしなくては、ココロ様には勝てません!どうか!調整及び、制御の解除をさせてください!」
しかし、カナリーは断固としてルール違反だからと気持ちだけ受け取っていた。
外部の者が選手に対しての付与魔術は禁止行為及び受けた選手は失格。
だって、それがサマーデュエル本選のルールだから。
マナはそれが付与魔術等ではない、と説明をしても
カナリーは大丈夫!と笑顔で言った。
時間になり、カナリーは試合に向かう。
最後まで、魔力制御%を上げさせてもらえなかった。
「このままでは…マスターが…しかし私が勝手に上げるなど…AIの理念に…。マスター…負けないでください。」
見送り、祈る事しかできなかった。
最初は賑やかだった控室は今は2人だけとなっている。
カナリーは話したそうにうずうずしていたが、
ココロが静かに座っていた為、お互いに精神統一している。
そして、ついに、サマーデュエル本選決勝戦。
カナリー・アステライト vs 謎の少女ココロ
2人の戦いが始まろうとしている。
会場は、熱気に包まれ、大盛況。
様々な企業や、魔術警察、その他多くの者達が2人の戦いを見守っている。
アンフィテアリーナ中央、大アリーナ
スタジアムの全てがバトルフィールド。
今までの予選やトーナメントとは違う。
頂上決戦である。
戦いが始まる前、ココロがカナリーに向けて問う。
「ねえ、カナリーさん…私は今のあなたの事、たーっくさん知りたいな。」
カナリーは笑顔で答える。
「私も!あなたの事たーっくさん教えて!」
「良い試合になりそうだね。本当に。」
マナは観客席から祈る。どうか、マスターが
死にませんようにと。
ブザーが鳴り響いた。
99話、長くなってしまい、申し訳ございません。
100話を目前に、詰め込んでしまいました。
カナリーは勘違いをしていましたね。
魔力出力が上がるのはマナのおかげなのだと。
本当はカナリーの実力なのに、マナのおかげなのだと。
抑え込んでいたものを引き出すという認識が無く
マナから貰い受けていた、もしくは、
増幅させてもらっていたのだと勘違いをしているわけですね。
99話、読んでいただきありがとうございます。
次話、ついに100話です。




