コード100「心魂の輝き」
第100話
前回、準決勝が終わってから
「私は、あなたが好きだ。」
ココロがカナリーに向けてそう言った。
仮面をゆっくりと取る。他の者達からココロの顔は、
まるでモヤがかかっているかのように、光の粒子のせいではっきりと見えない。
だが、カナリーにだけはその顔を見えるようにした。
ココロはカナリーと瓜二つの顔だった。まるで双子のように
髪は青く白いような銀髪に、目は青っぽく、彗星のような色。
そして、ココロの目の中に十字架のような瞳孔があった。
マナのようなひし形の瞳孔に当てはめられそうな。
「ねえ、カナリー、教えて?今のあなたを。コル、お願い。」
(…了解。スキル発動<スキル・アナライズスキャン>。対象カナリー・アステライト。対象をスキャンします。)
ココロの目が輝き出し、彼女の周りにタブがたくさん現れ、カナリーの情報を得ていく。
「ふぅん、なるほどなるほど…。」
カナリーは何が何だか分からなかった。体が動かない。
体が動かないのは、驚きから来るものだった。
「精錬解放。」
ココロの体から粒子が溢れ、両手がまるで彗星のように輝きを放つ。
粒子之精術<スピリチュア・精壊枚>
ココロの掌から、粒子が羽のようにガラスのように大量に舞う。
それはまるで、カナリーの魔破片に似ていた。
地面から、空中から全方位にガラスが大量に突き出した。
「マスター!!!避けて!!!」
カナリーはマナの声を感じ取り、はっとした。
魔力之魔術<スペル・魔破片>
魔破片は精壊枚と
スタジアム全てに粉雪が降るように、相殺した。
お互いのガラスが砕け散る音が会場に響き渡る。
「すごいすごい!あなたは…やっぱり…。」
粒状之精術<スピリチュア・精宙尾>
光の尾のようなものが生成され、
その尾の先端が針のような棘のようなものに変わる。
リーナに向けて放たれた技と同じもの、それが精宙尾だった。
「まだまだ~!いっくよ~!」
ガラスや、針がカナリーに襲い掛かる。
「くっ!」
魔流之魔術<スペル・魔衣風>
カナリーは風のスカーフを、ドレスを纏い、スタジアムを駆け巡った。
精壊枚と精宙尾がカナリーを追いかけ、スタジアムがボロボロになっていく。
「これは…まるで…あの人みたい。」
誰かが言った。
「こんな戦い…見たことない…」
(ん…?結界の様子が…)
アミルダは遠隔結界を維持していたが、異常を感じとる。
コル。お願い。
(了解。スキル発動<スキル・ロザリオ>)
4つのロザリオがカナリーの周りに差し込まれ、5つ目が蓋をする。
それがまるでマナのボックス結界のように、カナリーが閉じ込められてしまう。
これを受け止められたら、私は棄権しよう。
それほどの技だ。
でも、受け止めきれなければあなたは…。
だから、受け止めてね。
粒彗之精術<スピリチュア・彗散落小>
カナリーは魔力を限界まで噴出させ、ロザリオの結界を内側から破壊した。
はるか上空が青白く光っている。
それはどんどんと大きくなり、近付いてくる。
(マスターがあの攻撃を避ければ…スタジアムが…!マスター…!)
今出せる魔力…魔術…その全てを使って…
魔力完全解放!
魔力球!
魔力之魔術<スペル・魔破片>!
魔素之魔術<スペル・魔空針>!
魔流之魔術<スペル・魔衣風>!
ココロが発動した、粒子の透明な光の小さな彗星の技は
アミルダの結界をいとも簡単に粉砕し、
限界まで引き出されたカナリーの魔力壁を突破し、
魔力壁の内側に作った魔力球を穿ち、
魔破片を何重にも展開。だがガラスのように割れていき、
魔空針で迎撃。しかし針そのものも弾かれ壊される。
最後に、カナリーが全力で全ての魔力を注いだ魔衣風を纏い、
直径10メートルほどの光の小さな彗星を両手で受け止める。
「うぅぅぅぅぅん~~~!!」
地面が割れる。
痛い。
服の袖が破れる。
スカートに切れ込みが入る。
服が破けていく。
でも…
楽しい!
(マスター…!!どうか…!)
アミルダは危険を判断し、会場の客席に向けて何重にも結界を張った。
「くぅ…!あなた…ココロさんだっけ…。本当にすごいよ…うぅ…!こんなものを落とせるなんて!でも…それでも…!私は!!!」
両手で小さな彗星を必死に止める。
魔力と精錬がぶつかり合う。
カナリーはココロの心魂の輝きを見た。
その時、カナリーはある事に気が付く。
「ふふっ…そっか、なるほど…。」
手で止めていたものを、両手を広げ、胸で受け止める。
小さな彗星を止めるのではなく、取り込んだ。
カナリーの中に、粒子が入り込んでいく。
「合格だよ。正解。」
入りきらなかった光は弾け飛んだ。
「良いものが見れた。渡したいものも渡せた。帰って来て本当に良かった。また会おうね。お姉ちゃん。」
ココロの記憶の一部がカナリーに入り込んでいく。
ココロはどこかへと飛んで行ってしまった。
まるで、彗星の光のように。
「え、えっと…終わった…?のでしょうか…?」
解説役のラフィーがレイラへと目線を移す。
レイラは静かに頷いた。
みんなの額に汗が流れ、見守っていた人たちが動き出す。
「輝鳥歴224年!サマースペルフェス、サマーデュエル!学生の部!優勝者は~!
カナリー・アステライトだぁぁ~~~~!!!!」
大きな花火が打ちあがる。
大歓声が響く。
マスター…!
「へへ…魔力不足だよ…もう…」
その姿はボロボロだった。
だが、血は一つも流れていない。
カナリーはその場に倒れ込んだ。
だが、マナが全速力でカナリーを抱き、受け止めた。
「お疲れさまです。マスター。そして優勝おめでとうございます。」
カナリーは安心したかのように眠った。
第100話目到達です。
本当にありがとうございます。
ココロはカナリーよりも強く見えましたよね。
しかし、ココロの実力はカナリーとほぼ同じなのです。
カナリーの魔力制御が完全解放されていれば。
今回は本当に危なかったと言えます。
ちなみに、もし仮にカナリーが受け止めきれなかった場合、
客席への被害はゼロです。それはココロが被害を出さないようにしていました。
カナリーはココロから記憶を受け取りましたね。
ココロとは、コルとは、精術とは。
カナリーは何を思うのか。
ここまで長かったようで短かったような。
100話まで続けられたのは読者の皆様あってこそです。
本当にありがとうございます。
100話目以降も長く続けていきたいと思っていますので、
皆様何卒よろしくお願いいたします。
第100話目、読んでいただきありがとうございます。




