表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
48/51

『XLVI :論争』

スーツを着た男達は薄暗い部屋で四角いテーブルを囲んでいる。


「これは緊急事態です!早急に手を打たなければ」


小太りの男はテーブルに手を着くと、慌てた様子で立ち上がった。


「ヴィクテマに任しとけって…アイツらがどうにかしてくれるから」


もう一人の男は興味なさそうに彼を一瞥すると、背もたれに寄り掛かった。


君嶌きみしまさん…!これは凶獣ランデルがどうこうではなく、マリサントラが攻撃されてるんですよ!あの化け物集団に一任するべきではないと私は考えます!」


「じゃあ〜、取りあえす桐王に早く連絡しろよ?」


「だから!桐王さんは今任務に出ていてですね…」


「あ〜、わかった、わかった。じゃあ、誰でもいいから早く連絡しろよ」


君嶌きみしまは目の下の傷を触りながら不満そうな表情を浮かべた。


池太いけた幹部!ヴィクテマの副隊長と電話が繋がりました」


そう言いながら部下らしき男性が急いで部屋へと入ってくる。


「やっと繋がりましたか…!」


池田は安堵の表情を浮かべた。


「それが、繋がったには繋がったのですが…、なかなか会話が噛み合わなくて…」


彼は難しい表情を浮かべながら携帯を差し出す。


「わかりました、私が直接話します」


池田は携帯を受け取ると、スピーカー機能をオンにした。


「もしもし、北密きたみつさんですか?」


「そうだけど…。あんた誰?」


高圧的な態度で電話越しの彼女は聞き返した。


「マリサントラ幹部の池田です。以前お会いしたと思いますが…」


「あ〜〜〜〜……、うん」


しばらくの沈黙の後、彼女は素っ気なくそう返答した。


「失礼ですが、北蜜さんはこの都市の幹部の名前も覚えてないんですか?」


「うちイケメンの名前しか覚えないから」


間髪入れずそう返答した彼女に、池太は大きな溜め息を漏らす。


「まぁ、今はそんなことはどうでもいいんです。それより、ヴィクテマのこれからの作戦について教えてください。このままではこの都市が崩壊してしまう!」


「作戦?何それ...。それよりさ〜、さっきから揺れてね?今何が外で起こってんの?」


「は?…………。」


彼女の予想だにしなかったその一言に、全員が顔を見合わせる。


「いや〜さっきからなんか外騒がしいなと思ってたんだよね」


「き、き、北蜜さん…。あなた今何処にいるんですか?」


「風呂入ってる」


「は?……………。」


「おい、頼むから私の裸の姿とか想像すんなよ」


あまりにも陽気な彼女の返事に、池田は痺れを切らし声を上げた。


「あなた…!!今マリサントラがどうなってるか分かってるんですか!外では第4区域級の凶獣ランデルが大量に暴れているんですよ…!」


「だって私今日休みだもん」


「では、お風呂を出たら早急に出動してください!」


池田はもう一度大きな溜め息を漏らすと、呆れたように頭を抱えた。


「え〜、あと30分は風呂に入ってるけど、その後でいい?今、一昨日おととい胸元に入れ直した死神のタトゥーを拝んでるんだよ」


「さ、さんじゅっぷん!あなたねー、もっと早く出ようとは思わないんですか?!」


「レディーの風呂を急かすのは紳士じゃないっすよ。これだから童貞は…」


まるで自分に非はないと言わんばかりの口調で、彼女は溜め息混じりに吐き捨てる。


「あ〜もういいですよ!」


我慢の限界を迎えた池田はそう怒鳴りつけると、電話を投げ捨てた。


ピー、ピー、ピー。


「あ〜あ、電話切っちゃたってよかったの?」


横から見ていた君嶌の表情はどこか楽しそうである。


「これだからあの化け物達は…理解できないんです!」


地面に転がる電話を睨みながら、池田は勢いよく椅子に腰を下ろした。


「おいおい、一応聞いとくけど、その『化け物』には俺は入ってないよな?」


「君嶌さんに関しては、もともと理解できません!そもそも、何故あなたはこんな状況でヘラヘラしていられんですか!?マリサントラのトップであれば、もう少し都市のことを考えるべきでは?」


「そう言われてもね〜……」


植物軍器フランザに脳みそでも喰われたんじゃないですか?」


「池太くん…!それ以上のヴィクテマの侮辱はいくらなんでも看過出来ませんよ」


すると一番奥で静かに座っていた白髪の老人が遂に口を開いた。


「すみません…つい感情的になってしまいました」


池田は申し訳なさそうに視線を下げる。


「ヴィクテマの肩を持つわけではないけど、彼らは選ばれし優秀な団員の集まりだ。副隊長が休んでいても他の団員が手を打っているに違いないでしょう。凶獣ランデルの処理は彼らに任せて、私たちは他にやるべきことがあるのではないのかね」


二人を見つめる老人の瞳は冷徹ながら、何処か力強い何かを宿していた。


「そうですね…鏑木かぶらぎさん。とにかく今は私達に出来ることを考えましょう」


池田と君嶌は椅子に深く座り直す。


「じゃあ、真面目な会議始めますか〜」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ