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最近疲れがたまり、文書が短めですみません。。
バタバタと足音が聞こえてきた。
バン!!と音を立てて扉が開く。
そこには息を切らしたギルベルト様が立っていた。
先ほどまで真っ青だった顔は、走ってきたからなのか逆に赤くなっている。汗が頬をつたい、床に垂れた。
「レティシアが行くならば、私も行きます」
最早どこに向かうかも分かっていないこの状況で、ギルベルト様は何を言っていのだろうか。
学園長は呆れたような表情をしてギルベルト様を見つめた。
「ムキになっても仕方がないよ、ギルベルト。すでにこれは決定事項だ。君は出られないし、平民の娘はここから出て行く」
「いいえ、決定はされていない。何故ならここの最終決定権は陛下が所有しているからだ」
「…………」
学園長は黙り込むと、じっとギルベルト様を見つめた。
よく分からないが私はまだここに残れるらしい。
というよりも、陛下が決定権を持っているってここの学園は国の管轄なんだろうか。
いくら平民とはいえ、何年もこの国で暮らしているのに知らないという事は一般的に知られていない情報なのでは……。
最近では厄介ごとにしか首を突っ込まない私を誰か注意してほしい。
ここまでくると、そういう性質かもしれないけど。
『私のせいかもしれないです』
そこまで考えたとき、レシーの声が聞こえてきた。
少し遠慮がちではあったが、何か伝えたいことがありそうだった。
『今まで会話などできた事はありませんでしたが、毎回、『運命のパートナー』と呼ばれている人の片割れに私は生まれ変わるのです』
(聖女だと言われなかったのですか)
『言われたかもしれません。しかし、毎回、私への事を恨む感情のみを聞いておりました』
(毎回、恨まれてきたのですか)
『ええ、勝手に乗っとるなと』
なるほど、魂が記憶を持ったまま生まれ変わっているだけだけれど、本人からしたらそれが乗っ取られているように感じるという事か。
例えそれが助言であったりしても、意思が消えて行くというのは恐怖でしかないだろう。
お読みいただきありがとうございます!