13 タワーディフェンス
今更ですけどスマホとvitaじゃやっぱりいろいろと違くて、変わることもあります。すいません!
「そうか、丘だ!」
俺はさっきから、この弓矢がどこから飛んできているかを考えていた。
矢はある程度の高さがあり、あまり遠くではないと推測した。そして、1方向からしか飛んでこないので、一ヵ所に纏まっているだろう、とも。
その答えが丘だ。
北へ1キロほど離れた所に、結構盛り上がった丘がある。
あの丘なら、矢の高度も稼げるし、アーチャーをそこだけに集めたのだろう。
「マトルさん、ミテリーさん、北の丘まで何分かかりますか?」
「北の……ああ、あれなら、1分弱」
「なめないでよ? 10秒で着くね」
そうしたら、だいたいの作戦が決まってくる。
「すいません。俺に案があります」
俺が声をかければ、カズさんはすぐに反応してくれた。
「どうせ行き詰まってる。任せるさ」
「それじゃあ。まずマトルさん、丘まで全力で走って、アーチャーを殲滅してください。多分あそこに集まっています。アーチャーなら1人でもいけるでしょう? その後は外周にいるホブの相手を。」
「あい分かった!」
「次にカズさんとミテリーさん、マトルさんの後を追って丘へ向かって。丘からこちらを援護してください。カズさんはミテリーさんを送ったあとマトルさんに加わってくれますか?」
「おう!」
「了」
「そしたらキリアさんとレータさんは、引き続きここの守護を。俺はこれを集めながら、攻撃用アイテムで援護します」
「は~い」
「ああ!」
「行くぞ!」
「おう!」「ああ」「よし!」「うん!」「はい!」
カズの掛け声と揃わない応答で、作戦はスタートした。
「超スピード!?」
「ビビるわぁ!」
いやガチでビビった。
高速で駆けるマトルは、ゴブリンを置き去りに加速していく。20秒程で飛んでくる弓矢は数えられる程になった。
その後、倒したゴブリンがまた襲ってくるようなことも少なくなり、マトルとカズの戦果が目に見えてくる。
「人間がゴミのようだ!」
その恐ろしいミテリーの声が聞こえれば、辺りのキリアとレータが相手しているゴブリンが倒れていく。ホブゴブリンも数少なく、俺を狙った矢も消えた。
っつかミテリーさんキャラ変わってるじゃない。怖いわ。目潰ししたろか。
『畏怖!』
俺もスキルで相手の隙を作ることならできる。快調だ。
その後は、華麗な逆転劇だった。
ミテリーが丘に立ったあと、ゴブリン達は2,3分で蹴散らせた。
岡本航は、ただの凡人じゃない。
ただのアニメ好きなんかじゃ、あの変人の巣窟には入れないのだ。
航が暇潰しと雅也の勧めでパソコンの前に座り、ただ好物だったというだけの理由からつけたネーム、キノコの街。
それは、負けなしの黄金時代を飾る雅也、カシミ屋にタワーディフェンスという限定されたジャンルで唯一敗北を刻ませた名前であった。