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第26話 ゴミ掃除完了! あとは推しとイチャイチャするだけ

 ルミナス伯爵家への断罪が、あの愚かな父母の極寒鉱山送りをもって正式に完結してから、三日後。


 私は、クロード様の私邸の広大な中庭にある、白亜の東屋で、信じられないほど穏やかな午後を過ごしていた。


 風は絹のようになめらかで、やわらかい。

 日差しはぽかぽかとあたたかい。

 一流の侍女さんが淹れてくださったお茶は、香水のように香り高い。

 添えられた色鮮やかな焼き菓子は、ほっぺたが落ちるほど甘い。

 私の膝に掛けられたブランケットは、雲のようにふかふかだ。


 しかも隣には、山積みの書類仕事の合間だというのに、当然の権利みたいな顔をして私を愛でに来た、王国最強の婚約者様までいる。


 完璧だった。


 完璧すぎて、逆に命の危機を感じるくらいだった。


「……平和ですねぇ」


 ぽつり、と。

 青い空を見上げながら呟くと、向かいの席で私をじっと見ていたクロード様が顔を上げた。


「不満か」

「いえ、まったく! むしろ現在の幸福度が高すぎて、天罰が下るのではと怖いくらいです!」

「ならいい」

「はい。今までが常に怒号と過労にまみれたブラック環境でしたので、あまりにもホワイトが続くと、そろそろ“この後、とんでもない理不尽な追加業務がくるのでは?”と身構える社畜の悪癖が出てしまうだけで」

「来るぞ」

「はい!?」

「俺が、お前を甘やかすという業務がな」

「そちらはすでに常時発生している永続イベントですよね!?」


 私は思わず、限界オタクの語彙力で突っ込んだ。


 だが、クロード様は微動だにしない。

 今日も今日とて、彫刻のような国宝級の真顔である。

 それなのに、たまにこういうとんでもない糖度の台詞を、天気の話でもするみたいに当然の顔で差し込んでくるから心臓に悪い。

 いや、困るのだけれど、嬉しい。とても。


 私は温かいティーカップを両手で包み込みながら、ふうっと深く息を吐いた。


 そう。

 平和なのだ。


 偽聖女だったセレフィナは神殿の最下層で見習い以下の肉体労働に放り込まれ、両親は極寒の鉱山で一生無給の掃除刑に服している。

 爵位も失い、特権も失い、あの家はもうこの世に存在しない。

 もう二度と、彼らが私へ理不尽な命令を下せる日は来ない。


 つまり。


(ゴミ掃除、完全に完了です……!)


 私は思わず、カップの陰で小さくガッツポーズをした。


 ようやく、全部終わったのだ。

 実家という名の、息の詰まるブラック環境も。

 前世の社畜時代から骨の髄まで染みついていた、「私が耐えなきゃ回らない」という呪いも。

 全部きれいさっぱりとは言わないまでも、過去の精算はかなりのところまで片づいた。


 だったら、もうあとは――。


(ただひたすらに、最愛の推しとイチャイチャするだけなのでは……?)


 そこに思い至った瞬間、自分で考えておいて、ぼんっと顔が沸騰するように熱くなった。


 イチャイチャ。

 何という直球で破廉恥なワードだろう。

 でも、今の私の状況を客観的にリストアップすれば、だいぶそういう段階に近い気もする。


 王家公認で婚約済み。

 夜の添い寝(強制)が常態化。

 屋敷内の移動はお姫様抱っこが標準装備。

 毎日「何が食べたい」「疲れていないか」「俺がいないと不安だろう」と息をするように確認される。

 しかもたまに、真顔でとんでもない独占欲と愛情表現の塊を投げつけられる。


 ……うん。

 十分、というかオーバーキル気味にイチャイチャ寄りである。


「ルシエラ」


 低く、甘い声で名前を呼ばれ、私はぴくっと肩を揺らした。


「は、はいっ」

「何を一人で、林檎のように赤くなっている」

「い、いえ、その……これからの人生が急にホワイトすぎて、少し眩暈がしただけで……」

「それだけか」

「そ、それだけです!」

「嘘だな」

「なぜ分かるのですか」

「俺はお前のすべてを見ている。顔に出ているぞ」


 うっ。

 さすが推し。私に対する観察眼が異常に鋭すぎる。


 クロード様はしばらく、逃げ場のない熱を帯びた瞳で私を見つめていたが、やがてひどく静かに言った。


「……ようやく、目障りな邪魔者がいなくなった」

「……え?」

「お前を煩わせ、その小さな心を削るゴミどもが、すべて片づいた」

「…………」

「これで、やっと誰の目も気にせず、心置きなくお前を甘やかし、俺の色に染められる」

「目的の終着点がそこなんですか!?」

「違うのか」

「違わなくはないですが、国家の筆頭騎士様としての優先順位がバグっています!」


 だが、クロード様の顔はひどく真面目で、狂気的なほどの一途さがあった。


 ああ、もう。

 本当にこの人は。

 私の実家が断罪されようが、国家規模の魔物の危機が起きようが、彼の中で最後に行き着く先(絶対の正解)が、全部「私のルシエラを守る」「俺のルシエラを甘やかす」なのだから、困ったことに愛が激重すぎる。


 でも、その重さが、不器用さが、今の私にはどうしようもなく愛おしい。


 ◇ ◇ ◇


 その日の午後、私は久しぶりに屋敷の厨房へ立っていた。


 もちろん、誰かに命じられた過酷な労働としてではない。

 純粋な『趣味』である。自発的なやつだ。

 重要なので心のメモ帳に二回赤字で書いておきたい。


「ほ、本当に、ルシエラ様ご自身で作業なさるのですか?」


 料理長さんが、ちょっぴり、いやかなり緊張した面持ちで尋ねてくる。


 そりゃそうだろう。

 現在のこの屋敷では、私が果物ナイフを持っただけでも「旦那様に確認を!」「いや先に治癒魔法の準備を!」と空気が戦場のように走るのだ。

 クロード様の過保護の管理範囲が、屋敷の隅々にまで浸透しすぎている。


 私はにこやかに、彼らを安心させるように頷いた。


「はい。今日は、ただのささやかなお礼とお祝いですので」

「お祝い、でございますか?」

「ええ。過去のゴミ掃除が完了したお祝いです」

「……はい?」


 料理長さんが、明らかに物騒なものを想像して困惑した。

 いけない。限界オタクの語彙が素直に出すぎた。

 慌ててこほんと咳払いする。


「ええと、実家の厄介な件が正式に片づいたので、その……これまでご心配をおかけし、お世話になった屋敷の皆さんへ、感謝のお茶菓子でもと思いまして」

「ああ……なるほど。そういうことでしたら」

「あと、もちろんクロード様にも」

「旦那様にも、ですか」

「はい。一番大事なので」


 そこはしっかりと言い切っておく。

 推しの福利厚生は最優先である。これはもう私の中の絶対の確定事項だ。


 本日作るのは、私が屋敷に来た初日に飲んで感動した、あの最高級の蜂蜜と、香ばしい木の実を使った小さなタルトだ。

 焼き菓子系なら皆で仕事の合間に分けやすいし、クロード様も執務室で食べやすい。

 あと、私は推しに甘やかされた後に甘いものを食べると幸福度が物理的にカンストするので、非常に理にかなっている。


 粉をふるい、上質なバターを混ぜ、木の実を丁寧に刻む。

 こうして誰かのために無心で何かを作っている時間は、やっぱり落ち着く。


 しかも今は、自分の意思でやっているのだ。

「やらなきゃ怒られるから」ではなく、「この人に食べてほしいから」作っている。


 それだけのことが、少し前の私には、泣きたくなるほど新鮮だった。


「ルシエラ様、本当に楽しそうですね」

「えっ」

「お顔が、この屋敷にいらした初日の頃より、ずっと……柔らかくて、明るくなられました」

「…………」


 若い料理人さんのそのぽつりとしたひとことに、私は一瞬だけ手を止めた。


 楽しい。

 そうか。今の私は、ちゃんと『楽しい顔』をしているのか。


 前世の徹夜明けでも、今世の実家の厨房でも、たぶん私は“怒られないよう効率よく作業している死んだ顔”はしていても、“楽しくて作っている顔”は一度もしていなかった気がする。


 だって、それどころじゃなかったから。心を殺さなければ、生きていけなかったから。


 でも今は、違う。


「……そうですね。とても、楽しいです」

「それは何よりでございます」


 料理長さんが、まるで娘を見るように穏やかに笑う。

 その何気ないやりとりに、胸の奥がじんわりと温かくなった。


 ◇ ◇ ◇


「――何をしている」


 予想通りというべきか。タルトが甘い匂いを立ててオーブンから焼き上がるより先に、地を這うような低い声が厨房の入口から落ちてきた。


 私は思わず振り返る。


「クロード様!」

「厨房にいると聞いたが」

「はい、皆さんに感謝のお茶菓子を少し」

「刃物は」

「料理長さんの厳重管理下です!」

「火は」

「そちらも完璧に!」

「疲れていないか。無理はしていないか」

「まだ作業開始から三十分しか経っていません!?」


 現場の安全確認が早すぎる。

 だが、そのやりとりも、もうすっかりいつものことだった。


 クロード様はゆっくりとこちらへ歩いてきて、私の目の前へ立つ。

 その氷の視線が、作業台の上で冷ましている甘い匂いのタルト生地へ落ちる。


「これか」

「はい。お世話になった皆さんへのお礼と……クロード様への分も」

「俺への」

「はい。特大サイズで最優先でございます」

「そうか」


 ほんの少しだけ、クロード様の纏う空気が機嫌よく緩んだ気配がした。

 分かりやすい。

 いや、王国最強の死神なのに、私のことになると分かりやすすぎて可愛いまである。

 でも口には出さない。命と心臓が惜しい。


 クロード様は少しだけ長身を屈め、私の顔を至近距離で覗き込んだ。


「本当に、無理はしていないな?」

「していません。楽しいくらいです」

「腕を見せろ」

「えっ」

「お前は自分の限界に鈍い。疲労はまず手先から出る」

「どこを見ているんですか、この方は……!」


 ぶつぶつ言いながら粉のついた手を差し出すと、クロード様はその私の指を、そっと両手で包み込んで撫でた。

 大きな、剣ダコのある手。

 骨張っているのに、私に触れる力加減だけはやたらと丁寧で、甘い。


「……震えもない。魔力の乱れもない。問題ないな」

「診断終了ですか?」

「ああ」

「お医者様ですか……?」

「お前を誰よりも愛している婚約者だ」

「言葉の威力がつよい」


 そうして私のコンディションに納得したらしいクロード様は、今度は焼き上がり待ちの休憩用の椅子を、当然のように引き寄せた。


「座れ」

「え、まだ途中で」

「焼き上がるまでの待ち時間だろう」

「そうですが」

「なら、一秒でも多く休め」

「工程と体力の管理まで完璧……!」


 私は半ば流されるように椅子へ座らされる。

 その間にも、クロード様は料理長さんへ「ルシエラには熱すぎない、胃に優しい茶を」「甘すぎるとこの後のお菓子が食べにくいから茶葉を変えろ」と、小姑のように細かく的確な指示を出していた。


 この方、本当に何なのだろう。

 筆頭騎士なのに、私の健康管理と厨房での気配りスキルまで高すぎる。

 もはや、神企業の優秀な経営者適性がある気がする。


「クロード様」

「何だ」

「ずっと思っていたのですが」

「言え」

「私を甘やかすことや、体調管理に関して、妙に手慣れていませんか?」

「当然だ」

「どうしてですか。以前はそんなこと、誰にもしていなかったでしょうに」

「お前のことだけを、ずっと観察しているからだ」

「ひゃっ」

「何を食えば機嫌がいいか、どの温度なら飲みやすいか、どのくらいの作業で息が上がるか、全部俺が見ている」

「それをそんな平然と、国宝級の真顔で……!」

「問題あるか。俺には必要な情報だ」

「私の羞恥心に大いに問題があります! とても照れます!」


 だが、クロード様は少しも怯まなかった。


「お前のことは、過去の分まで全部知っておきたい」

「……っ」


 駄目だ。

 そういうの。

 そういう、執着とも愛情ともつかない激重な感情を、低い声で、さらっと言うのは反則ではないだろうか。


 私は両手で真っ赤になった頬を押さえた。

 熱い。確実に沸騰している。


 すると、クロード様が私の耳元へ顔を寄せ、静かに言った。


「ルシエラ」

「は、はいっ」

「お前が呼吸をするたびに、幸せになれる魔法をかけていいか」

「…………はい?」


 思考が、完全に停止した。


 えっ。

 何ですか今の。どういうファンタジーな提案ですか。

 怖い。いや甘い。いや怖い。でもやっぱり甘い。


「え、ええと、その……それは、何かの比喩でしょうか」

「半分はな」

「半分」

「残り半分は本気だ。俺の魔力で、お前を一生縛り付けてもいい」

「本気なんですか!?」

「お前が俺の腕の中で、ただ穏やかに息をしているだけで、俺は十分幸せだからだ」

「…………っ!」


 無理です。

 無理すぎる。


 私はその場で、両手で顔を覆ってテーブルに突っ伏した。

 だめだ。今日の供給、殺傷力が高すぎる。

 実家の両親断罪完了の余韻で少し気が緩んでいる時に、このレベルの愛情表現をノーモーションで投げ込まれると、オタクの心臓が物理的にもたない。


「顔を隠すな。返事は」

「で、できません……! 処理落ちしています!」

「なぜだ」

「クロード様の破壊力が高すぎるからです!」

「そうか」

「そうなんです!」


 料理長さんたちが、壁と同化するレベルで完璧に気配を消しているのが分かる。

 ありがとうございます。でも、この甘ったるい会話、全部聞こえていますよね。

 知っています。穴があったら入りたい。


 ◇ ◇ ◇


 結局、その日の中庭での優雅なお茶会は、半分以上が「クロード様に作ったつもりだったタルトを、結局ほぼクロード様が子どもみたいに独占する会」になった。


「あの、騎士団の皆さんへの分も……」

「後で厨房に追加を大量に焼かせる」

「お世話になった使用人さんたちにも」

「十分な量を、俺の金で別に用意する」

「では、今目の前にあるその一皿のタルトを、私も」

「駄目だ」

「なぜですか!?」

「これは、ルシエラが『俺のため』に焼いた分だ。誰にも渡さん」

「大人げないです!」


 クロード様は真顔だった。

 本当に、微塵の揺るぎもない真顔だった。

 だが、私がひとつ摘もうとするたびに、さりげなくスッと皿を遠ざけるあたり、やっていることは大型犬みたいでだいぶ可愛げがある。

 でも口には出さない。二回目である。言えば食われる気がする。


「では、最初から二皿に分けておけばよかったですね……」

「次から必ずそうしろ」

「次もある前提なんですね?」

「当然だ。俺の分は多めにしろ」

「はいはい、そうですね」


 私は呆れ半分、笑い半分で小さく肩を竦めた。


 東屋へ戻ってからも、おいしいお茶と焼き菓子と、穏やかな風と、たまに飛んでくる重すぎる愛の台詞と。

 ただ、それだけの穏やかな時間が流れていく。


 でも、それがたまらなく、泣きたいほど幸せだった。


 ざまぁは終わった。

 私の人生にこびりついていたゴミ掃除も完了した。

 だったら、もうあとはこうして、一番好きな人と、好きなものを食べて、好きなように笑っていればいい。


 それって、私がずっと手の届かないと思っていた、すごく贅沢なことだ。


「……クロード様」

「何だ」

「私、今、すごく幸せです」

「そうか」

「はい」

「なら、もっと幸せにする」

「えっ」

「まだ足りないかもしれん」

「いえ、だいぶ! 胃もたれするほど足りています!」

「いや、まだだ。俺には分かる」

「まだなんですか!?」

「お前の『幸せの基準』は、低すぎる」

「ブラック環境の底辺出身なので……」

「それを、俺が力技で上書きする」

「物理的ですね!?」

「手っ取り早くて効率がいい」

「その軍事的な理屈で愛を重ねないでください!」


 文句を言いながら、でも、どうしても笑ってしまう。

 だって、本当にそうなのだ。

 この人は、私の過去の悲惨な“当たり前”を、ひとつずつ、圧倒的な愛と力技で塗り替えていく。


 寒いなら温める。

 怖いなら守る。

 疲れたなら抱き上げて休ませる。

 足りない愛情は、私が「もう十分」と泣いて懇願するまで、無限に上乗せする。


 強い。とても強い。

 しかも、その全部に一切の嘘がなく、本気なのだ。


「ルシエラ」

「はい?」

「こっちへ来い」

「え?」


 次の瞬間、当然のように腕を引かれ、彼の胸の中へ抱き寄せられる。


「ひゃっ」

「……落ち着く」

「そ、それはよかったです……?」

「お前は?」

「…………」

「言え。俺の腕の中は、どうだ」

「……とても、落ち着きます。一番好きな場所です」

「そうか」

「はい」


 私は小さく、でも正直に、彼の目を見て答えた。


 すると、頭上からすごく、ひどく満足そうな、雄の気配が降ってくる。

 ああ、この方、こういうふうに私から“頼られる”“落ち着くと言われる”のが、自分の存在意義を満たされるようで本当に好きなのだな、と、最近ようやく分かってきた。


 私はそっと、クロード様の温かい胸元へ額を預ける。


 外では風がやさしく木々を揺らし、遠くで平和を告げる鳥が鳴いている。

 誰も私を怒鳴らない。

 誰も理不尽な命令をしない。

 誰も、私を都合のいい道具として使おうとしない。


 ただ、あたたかくて、やさしくて、ひどく甘い時間だけがある。


「……あとは本当に、推しと心ゆくまでイチャイチャするだけですねぇ」

「何か言ったか」

「いえ、私の未来はとても明るいなと」

「当然だ。俺がそうする」

「またそれですか」

「そういうものだ。諦めろ」


 私は彼の腕の中で、くすくすと笑った。


 そうだ。

 たぶん、これから先も色々あるのだろう。

 王家や神殿との面倒なやりとりもあるし、真聖女としての公的な役目だって完全にゼロではない。

 きっと、まだまだ騒がしい、波乱万丈な未来が待っている。


 でも、少なくとも今は。

 今だけは、過去の全部を忘れて、この甘すぎる幸せに浸っていていい気がした。


 そしてもちろん。


 そんな穏やかな“イチャイチャ強化期間”が、いつまでも長く続くはずもなく――数日後、国王陛下からのとんでもない打診(爆弾)が飛んできて、私たちの甘い日常は別の意味で激しくざわつくことになるのだけれど。


 この時の私はまだ、次に来るのが

「ルシエラ嬢を、次期国母(王太子妃)に」

 などという、国の根幹を揺るがす規模の大きすぎる話だとは、夢にも思っていなかったのである。



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