#42 レイトショーのよるに
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹の当然夜しか外に遊びに行けない姉、麗美と、
そもそも夜でも外に出ることがあまり無い妹、蘭子と、
夜型生活が板についてきた対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
映画のレイトショーを見終えた麗美とジローが、映画館から出てくる。
「今気が付いたのだけれど、これってデートよね?」
「いや、違うし」
夕食がまだだった2人は、適当な飲食店に入って食事をとる。
「やっぱりさ、これってデートよね?」
「いや、違うし」
食事を終えた2人は、まだ終電までちょっと時間があったのでゲームセンターで遊ぶ。
「どう考えてもさ、これってデートよね?」
「いや、違うし」
遊び倒した2人は、暗い帰り道を並んで歩いて行く。
「傍目から見ても、これってデートよね?」
「いや、違うし」
麗美と蘭子の部屋に戻った2人は、だらーっとする。
「ふに~、楽しいデートだったわ」
「いや、違うし」
それを聞いた麗美が、立ち上がって蘭子の部屋へと入る。
「ねぇ蘭子、一緒に映画見て食事してゲーセン行って夜道を歩いたんだけど、これってデートよね?」
「え……まぁ、デートだと、思う……」
「いや、違うし」
飽くまでも否定するジロー。クッションに頭を載せてだら~っとしてます。
「……デートじゃないとしたら、ただの隣人相手に、ここまで図太い態度取ってるってことだよね」
「そう考えると凄い漢ね……」
「カッコイイだろう?」
ジローが親指を立てる。
「最低」
「私はジローのそういうとこも好きよ♪」
「……」
面倒臭い姉妹と、面倒臭い男だった。




