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#36 やおいちん、ぴんち

 麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。

 生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。

 その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。


 この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹の1週間に最低1回は輸血パックを飲んでる姉、麗美と、

 1週間に最低1回は輸血パックを飲んでるはずの妹、蘭子と、

 1週間に最低1回は輸血パックを飲ませてるはずの対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。


「そういえば最近、蘭子見ないな」

「部屋から出てないのよ、何か新作のやおいゲーやるとか何とかで」

「1週間くらいか? 少なくとも先週輸血パックを持ってきたはずだし」

「いいえ、それより前からだと思うわ」

「ふ~ん……不健康だな……」

「…………」

 何かに気付いた麗美が、急に立ち上がって冷蔵庫を開ける。

「……蘭子、先週分の輸血パック飲んでない」

「……」

「……」

 2人は蘭子の部屋の引き戸に向かってダッシュ。そして扉を開けながら、2人同時に叫んだ。

「「やばいっ!!!!!!!」」

 蘭子の部屋には、やおいゲーを映したディスプレイの前で干からびちゃってる少女がおりましたとさ。



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