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#30 本当の仕事と向き合えますか?
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹の昔はバリバリ働いていた姉、麗美と、
昔はサポート役に徹していた妹、蘭子と、
現役のはずな対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
「ジローって本当に働いているの?」
他人の家のパソコンを占拠しているジローに対し、麗美が唐突に尋ねて来た。
「何言ってるんだ? 働いているに決まっているだろうが」
「でもほぼ毎日、人の部屋でだらだらしてるじゃない」
「日中はちゃんと刑事として捜査や訓練に参加しているぞ」
「だけど、吸血鬼相手の事件って減ってるんでしょ」
「ああ」
「それじゃあ、どんな事件の捜査しているの?」
ジローはしばし考え込み、言った。
「殺人もあるし、窃盗、詐欺、薬物……他にも色々だな」
麗美は感心したように「はぁ~……」と頷いた。
「そんなに色んな現場に呼ばれてるの?」
「ああ。捜査資料の入った重いダンボールを運べる奴が俺しかいないらしくてな」
ただの脳筋だった。




