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裸転生~あなた、それは犯罪です!~  作者: ハル
エピローグ
4/15

3話 思い

「ちなみに、どうやって頂上まで登ったんですか?」


「いや、ただ普通に」


「普通に? まさかそんな。あそこには強力な結界と魔術の組み込まれた防壁で、絶対に登ることができないようになってるんですよ?」


「へ? いやでも、普通に」


「……まさか。そんなことができるなら、何故こんなところにいるんですか」


「そんなこと言われても……」


「とにかく、塔を攻略したのはあなたなんですから、契約に従って下さいね」


「契約って……。俺は別にそんなことしなくてもいいんだが」


「それでも、契約は契約です。サインもしていただきましたしね」


「あーあ。考えて書けばよかった」

———————————————————

 塔の頂上でのなんやかんやを終え、二人は森へと降りてきていた。


「ちなみに、君何歳なの? 1200年前とか言ってたけど、もしかして見た目は子ども頭脳はおばちゃん?」


「おばちゃんて……。否定はしませんが、おばちゃんはやめて下さい。なんかそれは女心を傷つけます」


「そんなこと言うなら、俺もご主人様はやめてくれよ。そういう本も見たことあるけどさ、いざ言われると気持ち悪いっていうかなんていうか」


「しかし、それは契約によって受理されています」


「そこをなんとか……」


「ダメです。契約は破ることのできない絶対の掟なんですから」


 塔を降りるときは、彼女が魔法的な力を使って、一瞬のうちに下まで降りてきていた。初めて見る魔法だったが、どちらかというとちょっと前に見た龍の方が強く印象に残っている。


「ってか、契約にはなんて書いてあるんだ?

結局、俺はその内容を全然知らないぞ」


「そうですね……。では、あなたの脳内に直接送り届けます。じっとしてて下さい」


「脳内って、そんな非科学的なこと……うおっ!」


「静かにして下さい。失敗することは無いと思いますが、もし失敗すると記憶が消し飛びますよ」


 そんな脅し文句とともに、彼女の手が淡く光り輝く。


「……呪文はいらないのか?」


「————」


 どうやら集中しているらしい。俺の言葉に、眉一つ動かさなかった。


 数秒後、その光も収まり、彼女が目を開ける。


「……はい、終わりました。確認してみて下さい」


「あー……たしかに。なんかその契約ってやつの内容が全部分かるわ」


 契約の内容は、大まかに二つ。

 一つは、最初に塔へ登りついたものに、彼女が仲間としてついて行くというもの。

 もう一つは、契約したものは、彼女を自由に扱っていいというものだった。


「……見たけどさ、いいのか?」


「はい、なんなりとお申し付けください」


「いや違う、そうじゃなくて……あんたはそれを受け付けてるのか、ってこと」


「というと?」


「そうだな……。あんたは、その人生を受け入れているのか? こんなのなんか可哀想だろ」


「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です。それが私の運命ですから」


 そう言って微笑む少女。俺は、少なからずとも何かしらの理由があると考えた。


 俺自信、たくさんの過去がある。そして、それは楽しい思い出よりも悲しい思い出の方が圧倒的に多い。1200年も生きてきた彼女には、それ相応の何かしらがあるのだろう。


 ただ、


「ま、いいか。あんたがそういうのならそれでいいんだろ」


「はい。優しいんですね」


「言ってろ」


 そうして、再び歩き出す。


「そういや、名前聞いてなかったな。俺は八尋運河。そうだ、このさいご主人様命令で、俺のことをカナルって呼んでくれよ」


「困りましたね。ご主人様の命令と契約が対立してしまいました。では、ご主人様はどちらがよろしいですか?」


「そりゃ、俺の命令で」


 振り向きざまにそう言うと、彼女は薄く微笑んでいた。


「承知いたしました。ただ、カナルではなくカナルさんと呼ばせていただきます。よろしいでしょうか」


「ええ、よろしくてよ」


 そう言って、二人で笑う。


 笑っている彼女は、俺にとってのあの人のように、何故か親近感を湧かせていた。


「私の名前はリアナです。今後ともよろしくお願いします」


「ああ、よろしく」


 二人はどちらからともなく手を差し出し、握手を交わす。相手の温かみを感じ、今後のことについて思いを馳せる。


「楽しみですね」


 見透かしたようにリアナがそう言ってくる。


 思えば、いきなり裸で転生させられた身だ。いつのまにかこんなに早く仲間ができ、もうパートナーとして認める自分がいる。どんなにおかしなことが起ころうと、今日この日よりも退屈することは二度とないだろう。




「ああ、そうだな」





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