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305/307

クリスタル・ロード 0305  実験

  水?、 水の国の祭りで採取した光る水を・・ どうしたっけ?


「水? あれならお母さんが調べるって調剤室に持っていったよ。 まだ分析中なの」

「そうか、 あの事が分かれば竜の謎解きに役立つかなと思ったけど、難しいかな」

「じゃあお母さんに聞いておくね」


リーシャの母さんなら魔術に詳しいからいずれは解明するかと思うが、間に合うかどうか。


「今の話、水の国の祭りのときのか?」


グロフが畑仕事でそばにいたので、聞こえている。


「あの水のことがわかればと思ったけど、時間がかかりそうで」

「ドラゴンに試すわけにはいかんが、魔物相手に使うのはどうだ? 街の外で」


試す? 分析ではなく、あの水で効果を試すと?   


「自分は魔法のことなんかわからんが、魔物相手に体を張るならできるぞ。 行かないか?」

「なんだ、狩りの話か? それなら俺も行くぞ、暫(しばら)く行ってないからな」


レフも近くにいたので話が聞こえていて、早速反応があった。


「あの水なら自分も少し持ってきたからな、狩りをしながら試すのはどうだ?」


それも調べる方法ではある。  リーシャの母さんに任せるだけでは申し訳ないか。

畑仕事が一段落してるならいいな。



 とのことで、いつものメンバーで街の外へ馬車でやってきた。

ジョーイやフレア、そしてリーシャも参加である。


「体の痛みが収まったし、ほぐすためによろしいですわね」

「そろそろ肉が食べたくなったから、普通の獣を狩るのも良いよね~」

「魔法の練習にもなるし、母さんに任せっぱなしになんてしないよ」   


 森に入って半時ほど歩くとグロフが立ち止まった。


「このへんでいいかな、少し試すか」


懐から布切れを出して水筒の水を少し含ませた。


 「それが水の国から持ってきたあの光る水?」


ジョーイが聞くが、もう光っているようには見えない。  時間が経ってしまったからなのか?


「矢を一本貸してくれ」


ジョーイから渡された矢に、布切れを巻き付けて縛った。


「これを木の高いところに刺してくれ、なるべく目立つところがいい」

「じゃあ、あのへんかな?」


すぐに矢を放つとそれはひときわ高い木の幹に当たった。   

そして皆で離れ、藪に隠れて暫く待つと・・・


ウサギが現れて木に近づいて行く。

ジョーイが身振りで「弓で狙う?」 と、聞くがグロフが止めてそのまま見ていることになった。

ウサギはそのまま進み木の下で止まり、見上げて不思議そうな様子である。

すると別のウサギも現れ、近寄っていく。


 しかし、特に惹かれている感じではなく何か妙な物を見たような顔だ。

木に登ろうとするでなく、ただ伸び上がって見つめている。

グロフ達も意味がわからなそうな表情だ。


 するとウサギが急に動いた。 気配に反応したように横を向いている。

一瞬遅れてこちらにもそれが伝わった。   

自分が剣を抜くとグロフ達も構えに入る。

大きめの獣か、魔物が近づく気配。


 すぐに藪を掻き分けながら姿を表したのは、角がある狼。 普通より大きく逞(たくま)しい小型の熊ほどの魔獣、山岳狼とか聞いたことがある。

この辺にはいないはずの魔獣。


 ウサギは既に走り去っているが、狼は追おうとせずそのまま木に向かってゆっくり歩いている。

そしてウサギのように矢を見上げた。

獲物を見る目とも違うが、なぜか気になるといった様子だ。  

あれは、匂いに反応しているのか?  


 その時、鳥の声が聞こえ辺りを見るといつの間にか数羽? 離れたところに大きめの鳥が止まってさえずり始め、少し経つと十羽以上が飛んできて矢を見つめている。

なぜかあの水に惹かれているように見えるが、それ以上近づかない。

なんだか皆で様子見でもしているかのようだ。


 こちらもどうしたら良いかわからず、グロフ達も顔を見合わせて考えあぐねている。

が、そこへまた別の気配がした。

今度は重そうな足音と、灌木を折りながら進む音。 紛(まぎ)れも無き大型の気配で。

鳥たちが一斉に飛び立ち、逃げていき、狼も渋々ながらその場を後にするがやはりゆっくりと現れた。

サイのような角のある大型獣で、この辺にはいないはずのがそこには居る。


 グロフやレフも驚き目を剥(む)いて今度は仕留めようと身振りで伝えると、ジョーイが弓を構え、フレアが詠唱を始めている。   

しかし矢を放つ前にそれは気配に気づき、振り返った。

矢を飛ばしたが当たる寸前で首を捻って躱(かわ)され、フレアの雷鎚(いかずち)が落ちたが飛び退って避け、リーシャの氷の矢も当たらない。


 大型の割には早いが、そのときにはグロフやレフも反応していた。 そして自分もだ。

初撃が当たらないのはよくあることで、陽動になれば十分。

3人で一斉に飛びかかり死角からの攻撃を狙うと、決着がすぐについた。


 「ふう、 久しぶりの大物だな」

「なんでこんなのが街に近い場所にいるの?」

「あの水に惹かれたとしても、ずいぶん早いな。 一時(いっとき)と少々か? 驚きだ」


 眼の前には大型の魔獣が倒れている。   

運ぶのは解体したとしても重くて一度には無理と思える。  馬車でも使わないと・・。


 「あの矢、回収しないとまずくない? もっと大きいのが来たらどうするの」

「だな、ジョーイ登れるか」


しかし言い終わる前にジョーイが登り始め、すぐに抜いて降りて来るとフレアがその矢を焼いた。


 「これで良いですわね?」

「多分、な」

「さっさと解体して馬車に積んじまおう、 これ以上来られると大変だ」


あまりに大物なので御者役のリーシャ以外は馬車について走ることになった。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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