クリスタル・ロード 0302 遠征の記憶
繋がれてるのは、人?!
そんな事が ーーー
領主の槍が自分のをかわして伸び、風切り音がして目の前まで迫りピタリと止まった。
「一本! だよね、 決まったよねぇ?」
「そうですけど・ね」
少しずるくないか?
話しかけながらなんて・・・・・・・・・・・・・・・
「勝った~ 勝った~~! 剣士に勝ったぞ~~~!!」
領主の威厳が損なわれますよ。
他の人にはそんな態度を見せないほうが良いです。
**************
「ここは他にも仕掛けが有るんだよ~ 、水中のように泳ぐことだってできるし、飛ぶことも」
「泳ぐ? 空中を。 飛ぶことも?」
「そう。 試そうか? 」
そして、その方法というのは・・・・
「おっととと」
「なかなか面白いだろ?」
一抱えほどの丸い石板に乗って浮かび、進む、 安定したボートに乗ってるような感覚だ。
リーシャの魔法で飛んだことが有るが、あれより力強く機敏でしかも自分の思い通り動く。
どんな仕組みなのか不明だが、これは楽しい。
「この部屋でしか使えないけど、凄いだろ? 自分も暫く夢中になってね~ 」
独り占めしてたんですね、 ずるいなあ。
「そんな顔しないでくれよ、 これから好きに使っていいからさあ。 友達もね」
ケガをしないならアイリスでも安全だろうし、リーシャと一緒にならいいかな?
それに魔法が暴走する誰かさんでも思い切り放てるので、鬱憤晴らしにもなると思う。
レフ達もたまには暴れたいのでは? 彼らも誘ってみるか。
「宙返りもできるんだよ、こんなふうに!」
曲がる勢いで傾き、そのまま頭が下になっても落ちず滑りもふらつきもしない。
自分でやってみても足元がしっかりとして危なげがなく、魔法より飛びやすいのが凄く良い。
外で使えないのが実に惜しい。 これが実戦で使えたら良いのに。
「ドラゴンの話が途中だったね、 すまない。 つい夢中になって」
ああ、そうだった。 繋がれているのは人間とか、だったな。
「少し休憩しようか、 美味い飲み物が有るんだ。 向こうのテーブルで休みながら」
見ると少し離れた木の下に小さめのテーブルと椅子が4つあり、コップとポットが置いてある。
領主がポットから注ぐとシュワシュワと細かい泡が立っている。
「変わった飲み心地だが、美味いんだよ。 さあどうぞ!」
持つとカップがひんやりとして、冷えた飲み物だとわかる。
一口飲むと、喉が冷えながら細かく泡立ち甘みが広がるのが不思議な感じだ。
「おお、 これは・・美味いですね~」
「そうだろう? これも新たに見つけた物を少し変えて更に良くしたんだけどね」
「これは、売れますね。 多分外国にも」
「だよね? これだって竜王国の力に対抗する武器だよ」
武器、 貿易とそれによる財力か。 こんなのも武器になる・と。
「それにしても、人が繋がれているとは・・ どんな意味で?」
「ああ、さっきの話だね。 それは、ね」
そこまで言うとコップを一気にあおって飲み干した。
「今更離れられないのさ。 竜を失えばあの王国はどうなると思う?」
コップを置くとすぐにポットから注ぎ、またいっぱいにした。
「あの国の力は竜に依存している。 ろくに生産も貿易もせず、盗賊まがいの事で財力とする。 それは遠征で君達も感じたろう? 竜の後ろ盾があってこその国だ!」
あの王子の贅沢三昧も竜がいてこそ。
近隣の小国から簒奪して財を成す。 そうしないと・・・
「もし竜が離れたら、あの国は滅びるね。 確実に」
今度はコップを持ったまま、こちらをじっと見つめてくる。
もし離れたら・か、 そんな事がありうるだろうか。
一息置いて、またグビグビと飲み干し満足そうにコップを置いた。
「ふう~~っ 、 美味い!」
こちらも飲む。 冷たくて喉越しよく体を満たしていくのが本当に心地よい。
椅子の背に寄りかかり、今の言葉をよく考えようとした。
「離れたら・・か、 離す方法なんて有るんですかね? 後のことは別として」
「そこだね、 まだ考慮中なんだが、君等が調べてきたことにヒントが有ると思うんだ」
「あの遠征の報告に? ヒントがですか」
竜が来たのはあったし、この目で確認したがアレのどこに?
森が焼かれたこと? 他の魔物がドラゴンに怯えて逃げたこと? 違うか。
作物を奪ったとかなんとか?
う~~~~~む、 わからんぞ。
「水の国でのお祭り、そこにも竜が現れたそうだね。 なぜだと思う?」
水の・・国?
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