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クリスタル・ロード 0301  繋がれているのは ?

 「きみも思ってるよね~ 消えてほしいと」


領主が微笑みながらこちらの顔を覗(うかが)うが、どう言ったらよいのやら引きつってしまう。


「そ、それは・・」


槍を持った彼は自分のように両手でしっかりと掴み、振り始めた。


「でもね~~ 、あの国が消えたら竜はどうなると思う?  竜も消えてくれるかな」


視線を外し、槍先を見てこんどは突きの構えから鋭く踏み込んだ。

意外にしっかりとした動きで、これはかなり研鑽(けんさん)していると見える。


「竜も消えるなら良いけど、残ったら? 自分の意思で動いたら? 意思さえ無く好き勝手を始めたらどうなるかな、他の国は無事で済むだろうか」


・・・ それもそうか、竜のその後まで考えていなかった。   

竜が気ままに動き始めたら、それこそ他の国まで滅びるか荒廃するのではないか。


「無茶苦茶になりそうですね」

「自分もそう思うよ。  それじゃまずいよねぇ」


そう言いながらまた槍を鋭く突き、数歩進みつつ突きを繰り返した。

体が弱いと言いながら、これはなかなかの練度だ。  思ったよりずっと良い。

しかもどんどん早くなっていく。



 「じゃあどうしたら良いと思う? 」


動作がピタリと止まり、ゆっくりの振り向いた領主は笑顔ながらも真剣味がある。



 言葉が出てこない。

なんと言ったらいいのか、 適当な言葉ではこの場にふさわしくないような。   

口を開こうとしても言うべきことが思いつかない。


「そうだよね~、 きみなら悩んでくれると思ったよ」


あの鋭い動作で息を乱さず、槍を担ぐように持ち振り返った領主は心底嬉しそうだった。


「あの問いに即答するならよほどの自信家か、ろくに考えていないか・だよね」




 そう言われてホッとする。

すぐに答えられないのは申し訳がないように感じたから。



 「じゃあ準備運動は終わったし、 鍛錬を始めようか~~」



            ・・・・・・まだできるとは、この人本当に体が弱い?



 その部屋は外のように見えるし青空で、風もあり程々の気温で運動しやすく空気も美味くて凄く良い鍛錬場だと感じる。  二人だけなのはもったいないほどに。   


「ここは屋外を模(も)しているだけじゃなく、色々演出ができる仕掛けがあってね」

「演出?」


 鋭い突きを放ってくるのをいなしながら、隙(すき)を覗(うかが)うが崩れない。

普段机に向かっているとは思えない足腰に、少し感心する。


「風を強くしたり雨を降らせたり、雪だってね。 池を凍らせたり自然環境での訓練ができる!」

「本当に?」

「他には魔物や魔法の模擬戦で自動で攻撃が来るとか、もちろん安全だし。 魔法をこちらが使うのも可能だ。 魔法を使えなくとも模擬攻撃ができる!!」


 自分も使えるとは・・ それは楽しそう、大魔法で爆発なんて良いかも。

お手軽に魔法使い気分を味わえる。   

凄く楽しい遊び場になりそうな予感! ぜひ通わせて戴きたいところだが領主様の館なのが・・


「好きに使っていいよ、友達を呼んでもね」

「えっ 本当に? ですか」


 また顔を読まれてしまったらしいが、今更構わないと思う。


「僕も使うし一人でするより楽しいだろ?  ついでに色々話そうよ、今後の事とか」

「そうですよね~」


と、嬉しくなって気が緩んだところに鋭い突きが喉を狙ってきて、危うくかわした。


「おお?! 今のは決まると思ったんだけどな、さすがだね~ お父さん直伝(じきでん)かな」

「そう、ですね。  ふう」

「それでは今度はあの上でやろうか」   


 そう言って指さした先には丸太を組んだ橋のような櫓(やぐら)があり、高さは2階程度で途中が一部吊り橋となり、ぐらつく足場との仕様だ。

自分はともかくこの人は大丈夫だろうか。


 「落ちたってケガしないから、僕だって平気だよ。 気兼ね無く・ね」


そうだった。  遠慮なく戦える場所、それなら思う存分。

リーシャ達を連れてきても問題ないはず。  それならテストを兼ねてこの人と、だ。


「そうそう、本気でやっていいよ。 どんと来い!」


そう言うとすぐにヤグラを駆け上がり槍を構え、本気を交えて繰り出すこちらの槍を弾く。

連撃を放っても落ち着いて捌(さば)き、ベテラン剣士のようだ。


 「それでね~ 竜王国の話の続きなんだけど、人が竜を従えてるなんて力関係からすると変だよね。 竜が鎖に繋がれてるなんてさ、そう思わないかい?」

「そ、そうですね」


この人は話し方はのんびりだが、動きが鋭く槍が目まぐるしく繰り出される。

さばくのが大変なほどに。


「でも、繋がれてるのは人間だとしたらどうだろう?」




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