クリスタル・ロード 0300 二人での鍛錬
遅くなってすみません。
体調不良です。 インフルエンザが流行っています、皆さんお気をつけて。
今日は領主の館に自分だけが招かれた。
なんだろう、何か怒られることでもしただろうか・・ 心当たりは無いんだけど。
・・・・・・・ 無いよな? ・・・・・・・・・・ 無いはずだ。
などと応接室で座り、思っているうちに領主がやってきた。
「おまたせしてすまないね、色々やることが有ってね~ 走り回ってるよ」
「いえいえ、国王就任のこともお有りでしょうから無理もないかと」
「その件はともかく、君も聞いてるだろ? 竜王国の開戦」
その件でよばれたかな、 怒られることでなくて良かった。
「いつかやるだろうとは思ったけど、思ったより早くてね。 対応を急がないと」
「あれは末の王子が暴走したと聞きましたが」
「そうそう! でも国王が伏せっていて抑えられないそうでね。 内部も問題だがそれでも開戦だから仕方ない、兄達も動くことになったというわけだ」
その辺りは領主も聞いてるだろうが、どうするつもりなのか。
「それでそのへんも話したいし、報告は読んだけど色々きみに聞きたいことが有るんで少し付き合ってくれないか。 体を動かしながら話そう」
は? 体を動かしながらとは ?
領主は椅子から立ち上がり、手を腰に当ててから伸びをしてほぐしている。
「僕は元々体が弱いのにデスクワークばかりじゃ鈍ってしまうから、鍛えたいんだ。 ひ弱な国王など頼りないだろ?」
国王というより、この人は優雅に暮らす貴族様の方が合いそうだと思う。
そうは言えないが。
「わかりました。 ぜひ、お相手させていただきます」
「すまないね~ よろしく頼むよ」
怒られることでなければ、なんてことはない。 体を動かすのは自分も好ましいので。
「今日はきみも楽しめると思うよ。 新しいトレーニング場所ができてね~」
言うが早いか部屋の外へと導かれ廊下を歩いて行き、いくつものドアを通り過ぎていく。
今日は行ったことの無い場所なようだ。
そして目立たないドアの鍵を開けると奥に転移陣があり、それに乗ると急に明るくなった。
「屋外のようだろう? でも実際は運動場程度の部屋でね。 縦横500mほどだよ」
言われたように芝生や土、木々や池が見えるし風もあるが・・これが屋内とは。
「遺跡の技術ですか」
「そう、ここも遺跡の一部でね、新たに見つかった部屋なんだ。 訓練用にしてみた」
領主の指さした方を見ると丸太を組んだ遊具らしきモノや、トロッコ? もある。
あれも鍛錬の道具なのか?
「しかもここは魔法がかかっていてケガをしない。 武器は一応木製だが当たっても大丈夫、少し痺れる程度だから遠慮いらないよ」
それは・・竜王国の王子が使っていた不死の部屋よりずっと良い。
あれはケガあり痛みありの、ひどい場所だった。
ここは、そんなにいい場所なのに・・・・ 他に人がいないな。 二人だけとは。
「訓練だけじゃなくてきみと話したいことがあるからね、 ここなら気兼ね無くできるんだ」
心を読んだようにそう言われた。 やはり自分は顔に出やすいらしい。
「まず、君等の遠征で色々収穫があった。 あちらの協力者である貴族から信頼を得たし、情報も持ち帰ったから上等だよ、お疲れ様!」
笑顔でそう言われたが、あの程度でそんなに良いことだろうか。
子供二人の護衛を手伝ったのと、少し見てきただけと思ったが・・ ?
「前にも話したろう? 些細なことと思っても重要な場合が有ると。 よく考えるんだ」
重要なこと? あれがなのか。
「僕はね 体が弱い分、子供の時から慎重に考えるようにしている。 それが生き残ること、領民を守れる方法だと思っている、 力押しができないからなおさらだ」
そうか、自分は逆だな。 力がある分、考え無しで動く。
だからわからないのだろう。
「報告書にあった水の国でのお祭り、あれも重要なんだよ。 変わった魔物のこともだ」
「あれが、ですか」
ドラゴンの戦い方を見ることが仕事と思ったし、貴族の警護ならともかく あれが?
「それに宝探しの事もある。 子供の遊びに付き合ったようでも収穫があったね、豊穣の魔道具。 偶然とはいえ素晴らしい幸運だね、子供達は君らのことをずっと話しているそうだ」
宝探しは楽しめたが、あれも? お宝ではあるが。
「あれがあの国にどれほどの益をもたらすか・・ この国への信頼にもなった。 人脈の強化でもある」
う~~ん、 なるほどそうとも言えるか。
繋がりの重要性とは、 自分が考えないことだとは思う。
「まあ話はこの辺にして、鍛錬をしようか。 武器は何が良い? 槍かな、剣がいいかい?」
トロッコに載せられた大きめの箱に、槍や剣など木製の武器が色々入っていてそこから取り出した。
模造武器とはいえ、しっかりした作りのものだ。
「では、槍を」
「では僕も槍にしよう、 お手合わせよろしく!」
ケガをしないなら気楽で良い。 そう感じて思い切り素振りをし、風切り音を立てる。
「できれば竜王国には消えてもらいたい。 きみもそう思うだろ?」
ぎくりとして手が止まった。




