クリスタル・ロード 0298 遠征任務・成功
領主が帰ってきてグロフたちからの報告を受けた結果、領主はたいそう満足したらしい。
あちらの国の協力者と良い関係を構築できたとのこと。
あの貴族の兄妹警護に協力したことで、信頼の強化が得られたと伝えられた。
あの兄弟はあの後ずっといかに楽しめたかを、とうとうと両親に語ったそうだ。
宝物探しもずいぶん役に立ったらしいし、あの魔道具が本物と分かればなおさらだろう。
「それにしてもあちらの国、聖剣帝国ですか? ずいぶん被害が出たはずなのに向こうでは盗賊程度と思っているようですね。 本格開戦したのは別の国へだとか」
領民さえ、毎年の事と慣れているようだったしなんだかギャップを感じたんだが・・
「随分前からあるらしいね。 情報が入ったのは密約があってのことだし、今までは伝わって来なかったせいなんだ」
「東の国への開戦はそれ以上とのことですが、被害がかなり出たようですね」
「あれは末の王子の暴走で、本人も負傷して撤退したとのことだが。 長引きそうだよ」
後ろ盾の大国が動けばそれこそ大戦となって被害が拡大するのに、末っ子の独断で良いのか?
王は療養中らしいが、兄達が見張っていないのだろうか。
暴走に付き合ってやるつもりなんだか、 いっそ幽閉したらどうだろうかと思う。
「戦のことはともかく、報告にあった変わった魔物やら、お祭りの不思議な現象、食物など大変有用だよ。 君等は実に良い仕事をしてくれた」
「些細な事かとは思いましたが、なるべく詳しくと言われていたので書きましたが恐縮です」
「些細に思えることが時には非常に重要なんだ。 お疲れ様だよ」
領主はたいそうご機嫌なようにつぶやく。 あれが役に立つらしい・・ どんなことにだかわからないけど満足してもらえたなら良いことだ。
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「もう効果が出てるような気がする」
うちの畑で例の魔道具? 豊穣の杖だかを四隅に指した畑でリーシャが作物をじっと見つめている。
始めて一週間ほどだが微妙に成長が早く、葉に艶が出てハリがあるような感じがするのだ。
そして種を蒔いたところは小さな葉が出てきて生き生きと輝く。
「気のせい・・ではなさそうだな。 これは本物? だとすると凄い魔道具?」
「豊穣の女神が付いてるもんね、 魔道具というより、神具?」
本物の神具なら、教会の秘宝レベルだがそれはどうだろう。
どちらにしても成長を促すなら、かなりの価値に違いない。
領主に渡すのさえ惜しいし、噂になるとまずい気がしてくる。
欲しがる人が多いのでは?
「外国の作物も植えたけど、もう芽が出てるよ。 これは・・どれほど育つかな」
「そうだな。 普通なら育たないはずだし期待できそうだ」
数カ月後には豊作と思えるほどになるが、このときは微妙な予感だけだった。
「へ~~、 もう実がなってるんだ。 熟したら食べさせてね」
2ヶ月ほどで、ミミィが目ざとく狙うようになった。
どの果物も実を付け始め、野菜類も健やかに育って良い出来になりそうな気配がする。
リーシャが出来を記録するためスケッチをして色々書き込んでいる。
畑の一角には薬草もあるが、そちらもよく育ち収穫がアップするだろう。
「あら、よく育ってるわね。 ご近所にお裾分けしようかしら、リーシャの所は多めにね」
母さんがそんな事を言うほどだ。
3ヶ月後には豊作となった。
普通なら半年ほどかかるのに、期間は半分で収穫は数倍。 いわゆる「売るほどある」状態。
ご近所にお裾分けでは済まない。
「どうしようか、この量。 自分達だけだと食べきれないよ」
「領主様のところに持っていく? それと市場に卸そうか、ギルドに寄付?」
リーシャと悩んでいるとグロフが寄ってきた。
「いきなり卸に流すと相場が崩れんか? それに商人以外が入ると角が立つのではないかな」
「あ~~ 、商売の慣行を乱しますかね? それはまずいな」
「領主やギルドに寄付が無難ではないか? もしかすると金をくれるやも・な」
「それが無難そうですね」
どちらも少し金を出してくれて、職員用に使うそうだ。
そのお金で、肉と菓子類、酒を買っておくことになった。 パーティ準備である。
魔道具が本物であることが証明され、リーシャの記録も完成でお祝いだ。
「かんぱ~~い! 遠征の成功を祝って!!」
あの遠征に参加したメンバーと、うちの両親+久しぶりにアイリスとギルド長が参加した。
ジャンヌさんも出てくれて寡黙ながら楽しんでくれているようである。
「アイリス、少し見ないうちに大きくなったね~ 」
「子供が成長するのは早いもんだ」
「私も遠征に参加したかった。 すごく残念・・・」
「もう少し大きくならないとね~~ 、きっとすぐだよ」
成長するのはともかく、ギルド長が許可するかどうかだがいずれは飛び出しそうだ。
魔力はあふれるほどだし強くなるだろう。
「そう言えば、ネビィ聞いたか?」
レフが焼肉を咥え、酒のジョッキを持ってやってきた。
「なんですか?」
「あのドラゴン、実は秘密があるらしいぞ。 運用上の秘密とかな」




