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クリスタル・ロード 0294  罠の中に

 石棺の周りの地面が急に動き出し、懐が熱くなり背筋が反対に寒くなる。

異様な気配が全身を包み、災いが目の前で溢れ出すのを感じた。


「止まれ!!」


驚いて歩みが止まったレフとそのすぐ後ろのミミィが振り向くと地面が吸い込まれるようにくぼんですり鉢のようになっていく。

とっさにミミィの手を掴み引っ張り、レフへと反対の手を伸ばすとかろうじて届いた。


 ミミィは穴の縁でしゃがみ込み、レフは片手でぶら下がる事になったが落ちずに済む。

廊下にあったのとは違い、大きく反応の早い穴で下には多くの槍と小さな魔物が蠢き、おそらく有毒種と思える禍々しい色の模様がある。


「ひいい・・・」   


ミミィが穴を見下ろし後ずさり、レフが急いで這い上がった。



 「あ、あせったな。  こっちは当たりじゃなかったのかよ」

「そのはずなんだけど・・ お、おかしいな。 間違った?  あれ?」


マップを開いて見直すが要領を得ず、周りは黙って見ているだけだ。


 しかし改めて穴の中を見ると金色に光るものがあり、ゆっくりと体をのり出すと穴の底には金貨と宝物が見えている。


「宝はある・・・  でも、なぜだ?」

「え?! あるの?」

「ホントかよ!」


レフ達も他のメンバーも、恐る恐るながら穴を見下ろして確かめている。   


「「あった~~ !!」」

「やったな!」

「本当にあったんですね?」

「やりぃ!」


歓声が上がり、笑顔が広がっていく。 自分以外は・だが。


 「魔物と罠を片付ければ終わりだな」

「では魔物を凍らせるか、雷で始末を・・・ 」

「槍は、切るか? 抜くかだな」


皆、後は宝を回収して終わりと思っているが本当にそうだろうか。

ではなぜ直前に罠があるのだ?   宝を渡す気がなければ罠だけで良いはず。   

罠が発動するまで宝は見えなかったのだ。  つまり罠に誘うためではない、では何のためか?


 「ネビィ、どうかした?」


リーシャが話しかけてくるが、なんと言ったらいいのやら。

この違和感をどう伝えたらいい?


 「まだなにかあるのか?」


落ちかけたレフが、少し心配そうに聞いてくる。  さらなる罠を警戒したのだろう。


「その、なんというか・・ 変じゃないかな?」

「変? なにがだ」

「最後に罠を仕掛けるなら宝を入れとくのは何の為なのか、当てつけか? でも生き残りがいれば持ち去られてしまう。  なぜ入れておいた?」   


皆が顔を見合わせて沈黙している。


 「それも・・・そうだな。 ならまだ有るのか、罠が」

「あわわ」


ミミィがまた後ずさって顔色が青くなった。


「それも有りうるけど、他にも有るんじゃないかと・・思う」


 また沈黙が訪れた。 皆に注目されているが言葉が出てこず困った。


「何だよ他って、 勿体つけんなよ」

「他に何が有るというんだ?」


 そこまで話したところでミミィがマップを見、それから地面の穴と辺りを見つめる。


「そうか。 このタイミングで宝を見せる意味、生き残りに宝を渡し帰らせる為だ!」   

「は?!  そりゃ見つけりゃ持ち帰るだろ?」

「それが何だ?」

「そうじゃなくて・ だね!」


 ミミィが頭を掻きむしって言うが、表情は逆のように明るくなる。


「他に隠したい物が有るんだよ、真のお宝が! それを隠すための囮(オトリ)がこれさ」


 レフ達がぽかんとしてミミィを見つめる。

そうだ、自分の違和感はそれが原因だった。 ただ自分には説明できなかったけれど。



 場が静まり返り、誰も動かず口を開かない。

それぞれが言葉の意味を考えているかのように。


 他に隠したいものとはなんだろう?  金銀ではなく真の宝とは、いったいなんだというのか。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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