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クリスタル・ロード 0291  岩場の主?

 「わ~~ 親が来たよ、まずい!」

「早く下りようや、おいおい」

「慌てず、足元気をつけて」


追い立てられるように岩場を下り始めると、鷹のような鳥はどんどん近づき大きくなっていく。

背中がひやりとしてくるが、それが翼を広げて降り立つときには少し離れている事ができた。


 「気づかれなかったかな、なんとも無い?」

「追って来ないよ。 静かだし」


その時には岩の影になっていてこちらは見えないはずで、恐る恐る上を覗(うかが)うが来ていない。

大丈夫そうだ。


「あとは静かに降りよう、慎重に」   

「おう、静かにな」

「はいはい~」


そこからはなるべく音を立てないようにゆっくりと歩き、時々振り返って仰(あお)ぎ見るが追って来る気配は無かった。


「ふう、冷や汗が出たね~~」

「全くだわい」


 下に着いたときは焚き火が起こされ、夕食の準備ができていた。

他の皆にはあの大鷹(おおたか)?が見えなかったらしい。


「おかえり~~ 、上はどうだった?」


リーシャ達はのんびりとしているが、すぐに上でのことを話すと緊張が走った。   


「どうする? すぐにここを離れるか?」

「そのほうがよろしいのでは有りません?」

「そうだな」


 レフ達と兵士が岩場を仰ぎ見ながら言うが、同様に見ていたジャンヌが遮った。


「いえ、焚き火の煙が逆に流れてますし上までは離れてますから、ここの方が良いかと。 今馬車を動かすとかえって目立ちそうですから、明け方移動するのがよろしいのでは」

「明け方では明るいし、見つかるんじゃないか?」

「岩場の上が先に日が当たるので、日差しでごまかせるかと。 こちらが暗いうちに動けば距離を取れます」


なるほど、こちらは影を通っていけばいいか。   


「私が朝まで見張りますから、移動は明け方にしませんか」

「なら、我々も見張るよ。 交代でやろう、1時間ずつだ」


兵隊長が言ってくれてここにとどまることで話がまとまった。 皆少し不安げではあるが。

貴族の兄妹は念のため馬車に乗ったままだ。


 「ふう」


 一息ついて、背負っていた荷物から摘んできた花を取り出した。

慌てて突っ込んだので少し傷(いた)んでしまったがそれなりの数がある。


「あれ? ネビィ、その花って・・」

「あら、リーシャに贈り物? あらあら」 

  

リーシャが言うとその母がからかうように寄ってきて見た。   


「お茶用ですよ、これ」

「これ美味しいのよ。 花びらは香り付けになるし、お茶に浮かせるの」

「トワイユの花ですわね、すぐにでも飲めますが葉を乾燥させるとなお美味ですよ」


フレアはさすがに知っているのは元貴族故なんだろう。


 鷹はここから姿が見えず、ようやく皆少し落ち着いて夕食にありつくことができた。

試しに数人で飲んだ花のお茶は少し変わっているが良い香りがする。

ジャンヌさんも見張りをしながらくつろいで飲んでいる。


 貴族の兄妹が寝た頃、皆が小さい声で話を続け竜王国の話題になった。


「開戦したのはやはり竜王国から仕掛けてなのかな」


グロフが槍を磨きながら考え深げにつぶやくと、レフが剣を見つめながら応じた。   


「そうだろう? あそこが一番喧嘩っ早い。 特に末の王子か? 」

「今この国に来とるのは長男だがな、あれは慎重な方だが」


 え? 長男? あのドラゴンが、長男のなのか? 


「わかるのかよ?」

「おう、 だいぶ前から見とるからな。 あれは長男用だ、ワシは目がいいんだ」

「開戦時に長男が戦場から離れていたとは・・ 変な話だな。 これから向かうとしてもだ」

「それじゃ、やはりあの王子が独断でやらかしたのでは?」


 あの王子の威勢の良さは自分が一番わかっているが、皆に話したこともあるのでそれなりに伝わっているはずである。


 「「「有り得るな」」」   


理解してもらえて何よりだ。



 翌朝、兵士や馬車を含む一行は日が昇り始めた頃静かに岩場を離れることにして影の中を進みつつ、上を見つめる。

大鷹の姿は見えず距離が開いていくので、ようやく息がつけた。


 「ここまでくれば大丈夫だな」

「そうそう、後はお宝探しにまっしぐら・よね」

「お宝?」


道案内のおじさんから怪訝(けげん)な顔をされて、ミミィがしまったという顔をした。

宝のことはこの人に秘密のはずなのだ。


 「ああ、薬草のことよ。 珍しくて貴重だからね、なんとか見つけたいの」   

「そうか、薬草ならワシにわからんしな」


なんとかごまかせたらしい。


「それじゃ後はあの目印に向かうだけだし、ワシはもう帰って良いかな? 早く石を加工したくてな」


そうか、案内はあの目印までだし。 そこはもう確認できている。


「そう・だな? もう良いかな?」

「だね。 私だけで、もう分かるから・・ 良いよね?」


グロフとミミィが顔を合わせたその時、離れた岩場からあの鷹が飛び立つのが見えた。


 


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