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クリスタル・ロード 0287  砂の波を越えて

 ギルドの館の外は砂嵐で荒れている音が響き、窓の外はきつね色の霧のようでよく見えない。


「あ~~あ、 こりゃ外の掃除が大変だねぇ」

「畑の野菜が砂まみれだよ、 せっかくよく育ったのに」


 ギルドの売店の人がぼやき合っている。 

慣れているようで笑いながらだが、それなりに後が面倒なようだ。

他の人も出入りすること無く、嵐が収まるまでここで過ごす気のようで退屈そうに座っている。


 トイレに行くついでにグロフの所へ寄って話を聞いておこう。


「竜王国が開戦した国がだいたいわかったぞ、 エンテーとか言ったのは円庭のことらしい。 丸い庭を城の周りに造って道が放射状の国だとか、町並みに凝っているそうで国名でなく通称だ」

「ああ、 だから円庭国と・・」   

「小さいながらも比較的豊かな国らしいが、軍事面は今一つで狙われたんだろうけどな」


 小さいとはいえその国にも後ろ盾の大国があると思うが、承知の上なのか?

竜王国なら大国相手も可能では有るが、王の考えなのか・あるいは短気な王子の暴走?

それなら王は何をしている? 見ているだけか?


「ここで俺達が想像してたって始まらんさ、 全てはアイツラの思惑だ」

「そうですけどね」


それでも気になる。 一体どんな考えがあってなのか、聞きに行きたいぐらいに。


 「宝探しの方は進展があったのか」


グロフの言葉で考えを中断させられた。 彼は宝探しが気になるかな。


「道案内をしてくれる人が見つかりましたよ。 砂嵐で道がわかりにくくなるそうで」   

「そうか、 砂でな。  俺達だけで嵐に巻き込まれたら危なかったか」

「迷う人もいるそうですよ」


 貴族の兄妹はギルドの部屋を借りてお昼寝中で、兵士達が護衛をしているそうだ。 

道理で姿が見えないと思った。

馬車の長旅で疲れてしまったか?


 それから二時間ほどで嵐は収まってきた。 


「今回は早そうだな、あんた達本当に運が良いぞ」


石細工士の言葉通りのようで、辺りの人達が動き出した。 

立ち上がって伸びをする人や、外を確認する人が出始めるとギルドに活気が広がる。

しかし外はもう暗くなっている。   


「それでは明日の朝、またここで落ち合うことに」


自分達は馬車とテントで寝ることになっている。

兵士達と貴族兄妹はギルドの館でなので問題なし。  出発は明朝だ。

リーシャ達はお菓子を食べながらテーブルで色々話し込んで、ずいぶん楽しそうだ。


 

「あの人の話、面白かったよ。 石細工、見に行きたいな」

「ねえ、 良いのがありそうだし買いたいよね」


ミミィさんまでそんな事を言っている。



 そして朝になった。 

外は道や屋根の上が砂にまみれて薄く茶色になり、ホウキで掃いている人があちこちにいる。

家の陰には砂が溜まってそれなりの量がある。 片付けがしんどそうだ。   


 「思ったより大所帯だな、あんた達は商隊なのか」


貴族の馬車と護衛を見て案内人が少し驚いているが、無理もない。 冒険者ではないのはすぐわかるだろう。


「ああ、今回は商売とは別だがな。 大商人のお子様達と一緒だ」

「ほお」


 グロフが答えるととそれ以上は聞いてこなかった。

大商人としておいて正解のようだ。 兵士達もそれで話を合わせることになっている。

全員が揃って列になった。 


「では出発!」



 天気は良く風が弱い。 砂嵐の翌日はたいていそうなるとのことだが、上空は薄く茶色い。   

砂がまだ舞っているからだそうで、太陽が黄色く見える。

鳥がいつもより低く飛んでいるように見えるのは砂のせいだろうか。


「見て見て、ネビィ。  あのおじさんからアクセサリー 買っちゃった。 お母さんの分も」

「私も買ったよ、 良いでしょこれ」


 リーシャとミミィが馬を寄せてきてアクセサリーを取り出し見せた。

宝石と言うほどではないが磨かれた石が使われているオシャレな物だ。


「へえ、綺麗なものだな」

「でしょう、 店にはもっとあるんだって。  見に行きたいなあ」


あの人、なかなか商売上手のようだ。 既にお得意候補を確保している。

貴族の兄妹にも売り込みを掛けそうだがバレないだろうか。 一応お忍びなのに。  


 街から離れるほど砂の小山、というより風に形どられ波のようになって道をところどころ覆っているのが見える。

いずれは雨や風で崩れるだろうが、不思議な景色だ。


「あの砂で道がわかりにくくなるが、ワシなら慣れてるから平気だ。 任せとけ」


 頼もしい案内人に導かれ隊列が進んでいく。 

これなら明日中にとりあえず目当ての場所へ行けるだろうか、そう思ったときだった。

辺りが急に薄暗くなった気がして見回すと、空に大きな物が見えた。


 「ドラゴンだ!!」


それも普段より低く飛んでいるのか、大きく見え細かいところまでわかり、乗っている人の表情まで見えそうなほどだ。   

それが後ろから近づいてくる。 ゆっくりと羽ばたきながら。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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