クリスタル・ロード 0285 次の街で
その夕食、新鮮な魚介類を腹いっぱい食べて苦しくなった貴族兄妹は早々に寝ることになった。
自分達も同様ではあるが、寝るわけにいかない懸念がある。
「東の国、どこかわからないですよね」
「そうだな、 東と言ってもいくつもあるからな」
「明日から少し噂を集めるか、街道を進みながらでも」
子供等が起きないように小さな声でグロフ達と打ち合わせをしておく。
「宝探しを中止すべきかな? 」
「しかし気を紛らわせておかないと、あの二人が帰ると言い出しかねない。 それでは領主の指示を守れないことになる」
「そうだな、 あの二人を危険から遠ざけるのが目的。 仕事は果たさないと」
隊長が言うのも尤もで、ここで心配して戻るようでは意味がない。
この国が戦になるかは不明だし、まずは言われた仕事が優先だ。
「二人には宝探しを続けると話して、道中さり気なく情報収集だな」
「さり気なくと言ってもすぐバレそうですですわね」
「だね~~、 でも なるべく緊張感を出さずにということで」
兵士達は馬車から離れられないので自分達が聞いて回ることになった。
翌朝、出発し予定のルートを進んでいく。
ここは冒険者のグロフ達が手慣れた所で、街道ですれ違う人等に声を掛けながら竜王国の動向を探るが他国の事となると今ひとつはっきりしない。
「とりあえずこの国へは攻めて来てない、と言っても盗賊的なのは続いているが」
「皆巻き添え食わないようにするのが精一杯ですものね、 他国の事まで聞いてられませんわよ」
「大きめの街なら連絡が入っていると思うがな、 今日中に着けるかな」
少し急げば夜までには着きそうとのことで、休憩を少なめにし今日の昼は昨日焼いておいたエビや貝をさっさと食べる。
「これお弁当にすれば売れそうだね、冷めても美味しいし」
「それ良いな、材料はどっさりあるし次の街で試すか」
ジョーイが言い出しレフが応じている。
食料は十分あるし街に入っても買い物の予定は無いので、売るための時間はあるかな。
情報収集しながらであれば問題は無いと思う。
「お弁当作りなら私がやりますよ」
リーシャがここぞとばかりに出てくる。 今まであまりすることが無さそうだったからなおさらか。
生き生きした笑顔になったのは数日ぶりなのでは。
「じゃあ自分が手伝うよ、弁当の容器を手配しようか」
「あ、そうだね。 お願い」
弁当を売りながらの世間話で情報集めなら、不自然にならないだろう。
名案。 材料は有り余るほどなのであの兄弟も認めると思う、残すのももったいないし。
「ところで皆さん、宝探しのことは覚えている?」
ミミィさんがいつの間にかにじり寄ってきて、ジトッとした目をしている。
「あ、もちろん覚えてるよ。 地図の方、分析は済んだかな」
「全部では無いけどね、大体のところはわかった。 多分、宝は一度移動されているよ」
「「「移動?」」」
「裏切ったのか、あるいは事情があるのか移動させてると思う。 又は分けたのか、だね」
移動、または分割? どうしてそんな事を。
「理由まではわからないけど、そこに文書も残されてるかも。 見つけたらわかるんじゃない?」
「では、宝探しは続行で、その傍ら戦の情報集めを続ける。 皆いいな?」
「「「了解」」」
午後から次の街へと少し急いで進み、夕方にはなんとか街に着いた。
馬車とともに街に入り、早速冒険者側は情報集めと弁当作りの準備にかかる。
弁当容器の買付で、大きな葉と薄い木の皮を見てそれに決めた。 丸めて縛る程度で良さそうだ。
試しに具を入れて見るが問題なし。 リーシャも確認して頷いた。
「即席にしてはいいね、これなら十分丈夫だし」
「焼いたものだから垂れないし、よさそうだ」
早速いくつか作って馬に乗せて売り歩いてみると、出店の人が買ってくれた。
「エビや貝の弁当とは珍しいな、安いしちょうどいい。 用意したのは食っちまったんでな」
「この街にへ来る途中に仕入れまして、余りそうだったので弁当にしました」
隣の出店の人も見て買ってくれそうである。
「竜王国が他国で戦を仕掛けてるそうで、魚介類の流通に支障が出てるとかで安く仕入れられまして」
「ああ、そんな噂聞いたよ。 やだねえ戦なんて! これ良いエビだねえ、一つおくれ」
などと売りながら噂集めが上々である。
「東の国だそうですね、なんて国か知ってますか」
「エンテー とかなんとか聞こえた気がするけど、わたしゃ政治のことはさっぱりでね」
「ああ、小さめの国らしいがな」
小さめの国で、エンテー なにがし?
そんな国があったろうか、 グロフ達がギルドに向かっているはずだがそちらでわかるかな。
そのとき辺りが少し騒がしくなってきた。
「砂嵐が来るぞ!」
衛視らしき人がそう言って通り過ぎていった。 砂嵐?!
「この辺はたまにあるんだよ、大したことないけどね。 半日で済むと思うけど」
「街中なら問題ないんで、収まるまで出ないほうが良いぞ」
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