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クリスタル・ロード 0281  大ウサギとの別れ

 うさぎ達は夕食に混ざり(居座り?)野菜をたらふく食べた。


酒を欲しがっているようにも見えたが、体に悪いよとリーシャ達が言いながらぶどうジュースを薄めて与えると美味しそうに飲んでいるので良しとした。


「酒まで飲まれてたまるか」


レフは意地になっているが本当に酒を望んでいるかは定かではない。

ウサギに背を向けて肘を張りガードするように飲んでいるが、肩越しに覗き込まれて頭を押し返す。


「ほらジュースあげるからこっちおいで」

「野菜もありますから、たんとお食べなさいな」


ジョーイ達に引き離され酒から渋々? 目を離して一緒に食べ始める。   


 しかも皆帰らず、その場に寝転がるので子供と女性は抱きつくように寄り添って寝ることになった。

だがデカいウサギなのでやはり人間のほうがペットのようだ。


「あったか~い」

「フカフカだね~~ 」


などと言ってくっつき、ウサギたちに撫でられているし。



 そして翌朝、 案の定(あんのじょう)女性達はウサギを離したくないらしく連れていきたいなどと言いだした。


「野生なんだからダメだって、それに昨夜だけでずいぶん食ってたし1日だとそうとうになるぞ」

「畑が食い荒らされそうだな、食費がかさむ」


なんとかなだめすかして出発することになったが、リーシャ達は名残惜(なごりお)しそうに手を降る。

うさぎ達はつぶらな瞳で見つめるが、やはり何も考えていないように見える・・   


「家に連れて帰りたかった」

「ね~~~~~~」

「異気持ちはわかりますけど、ウサギのために働くことになりそうですわね」


 ペットどころかウサギの奴隷になってしまいそうだ。

心を支配する魔物なのか? 

あんなのとはさっさと離れるほうが良い。


「仕事があるんだし、宝探しだってするんだろ。 アレのことは忘れよう」

「そうだ、 仕事をせねば生きられんし酒も飲めない」

「そうよリーシャ、あれを連れて帰ったら家計が苦しくなるわ」


 またも名残惜(なごりお)しそうに振り返るリーシャたちだが、そのとおりだと思う。   


「帰りにまた寄りたい!」

「だね~~~ 」

「そうしましょう、せめてあのモフモフをもう一度」

「「「お~~~~~~」」」


はいはい、それが無難な落としどころだね。



  馬達はそんなことはお構いなしに黙々と歩を進めていく。

馬のほうがよほど身近で、役に立ってくれているんだが女性の感覚だと違うらしい。


「すまないな」


馬に謝るとブルルルと返事をした。

わかってくれただろうか。   



 街から徐々に離れ人気(ひとけ)がなくなっていく。

普通なら盗賊や魔物などを警戒しなければならないが、今は貴族付きの兵士が揃っているので安心だ。

ただその分退屈な日が続いてしまう、地図の場所までとりあえず数日かかる。

特に子供は堪(こら)え性がない、しかも貴族の子は。


 ちらりと馬車を見ると既に暇そうに窓から顔を出し、辺りを見回す二人が兵士達から注意されている。

落ちそうで危ないのはこちらから見ても感じていた。


「退屈~~ !!」


やはり思った通りのことを言い出す。

街から離れて間もないのに、もうなのか・・  どうしたら良いんだか。


「面白いお話して~~~ 勇者の物語~~ !」   


窓から顔を出した妹?の方が、兵士の一人にそんな事を言い出した。


「勇者、ですか? しかし我々は領主に仕える兵士で、冒険の類はしていなくて戦の経験も無く・・」

「そうだよな、 我々よりは冒険者の方が良いのでは?」


他の兵士が賛同しこちらを見る。

こちらに回ってきそうな気配がする。



「なに~~ ? 勇者の話が希望か。 仕方ないな、俺が話してやるとするか」


レフがそんな事を言い出して馬を馬車に近づけていく。


「勇者の話? レフが?」

「できるんですの?  本だってろくに読まないのに」

「本ではない。 俺達の経験がある、数々の冒険がな。  苦難の物語が・だ!」   


 代わりにしてくれるのはありがたいが、本当にできるのだろうか。


「レフのせいで苦難になった覚えはありますけどね」

「勇者の冒険というにはかなり抵抗があるよねえ?  子供に聞かせていいの?」

「教育に悪い予感しか無いがな、 止めるべきか」


皆、同じ危惧(きぐ)を抱いている。  やはりそう思うか。


「ええい、 ヤジを飛ばすな黙って聞いていろ」


そして無垢な子供達が目を輝かせて窓から顔を出し、レフの話を待っている。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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