クリスタル・ロード 0277 二人の秘蔵品
遅くなってすみません。
色々ありまして、慌ただしかったので。
貴族の御兄妹? を馬車に乗せ街から少々離れた頃。 野原と林、畑も見える所。
普通なら盗賊でも出ない限り、のんびり景色を見ながら警護をすればいいだけなのだが今日はそうはいかないらしい。
「左から行ったぞ、中程度!」
「右から来るぞ、小さいが早い奴」
「左は私がやるよ」
「右は自分が!」
魔物が次々にやって来る。 幸い今のところ大物はいないし、数もさほどではなく兵士達も付いているので問題なく仕留められるが少し忙しない。
多分ドラゴンが来ているので怯えたのが逃げ回り、縄張りが混乱しているのだろう。
「も~~~っ 面倒ですわね、細かいのがちょこまかと!」
「だからって大魔法は使うなよ、 この辺りに被害を出すのはまずい」
郊外とは言えこの辺りにも畑や牧場らしきところも見えるし、あの貴族の領地なのも有りうる。
被害を出せば賠償問題では大赤字なのだ。
それで武器や小魔法で一体ずつ仕方なく仕留めているのだが、その光景で貴族のお子様たちが大はしゃぎである。
「危ないから顔を窓から出すな!」
グロフの警告はこれで何度目だろうか、 怒鳴ってもまるで聞かずきゃーきゃー、わーわー と興奮しまくりで馬車から落ちそうなほど・・兵士達も苦笑している。
貴族の子供だから魔物狩りを見たことが無いのだろう、無理もないがケガをされるのは困る。
「ケガをしたら父さんに怒られるぞ、引っ込め!」
試しにそう言ったら二人とも渋々大人しくなった。
馬車の窓を閉めて内側から黙って見つめている。
そして一段落。 ようやく魔物の襲来が途絶えて休憩となった。
「ふう疲れた。 小さいとはいえ数が多いとねえ」
「まったくですわ、まだるっこしい事この上ない。 吹き飛ばしてやりたいのに!」
「よくこらえたな、それで良いんだ。 成長したぞ」
フレアは大魔法を我慢したことで褒められているし、リーシャは上達したと先生から言われている。
「練習した甲斐があった~ 、全部命中したし間に合ったよ~~ 」
「小さいの相手ならほぼ問題なしね、その調子よ」
そしてジャンヌさんは余裕の表情で魔物から矢を回収している。
それを見てジョーイも慌てて回収を始める。 矢は回収しないとすぐ尽きてしまうので次の魔物が出るまでに済ませなければならない。
「魔物の素材はどうします? 全部解体しますか」
全部となるとそれなりの時間がかかり、少しとどまらねばならないが。
「う~ん 大きめだけにしておくか、小さいのは他の魔物が食ってくれるだろうから」
「だな、 早く街からなるべく離れなきゃならないし」
「もったいないけどしょうがないか~ 、魔物狩りの仕事じゃないし」
などと離している最中にも貴族のお子さんたちは馬車の窓から目を輝かせている。
解体と聞いてまた身を乗り出さんばかりの様子だ。
刺激してしまったろうか?
解体も一通り終わり、肉が取れたので食事と休憩となりその場で焚き火を始めた。
「凄かった~~ 、あの魔法! 氷で串刺しとか凍らせて止めたり滑らせたり」
「ふっ あの程度軽いですわ、全然本気をだしてませんもの」
「それに火の玉を放って黒焦げ~~、 矢と槍で一撃とか剣で真っ二つだし~~~」
貴族の子供らが興奮して話が止まらない。
残酷な光景を見せるのは教育に悪いような気もするが、まあ良いか。
魔物狩りなど見たことがないらしいし、子供の憧れも有るからかな。
護衛の兵士達も食事の準備をしつつ、防具や武器に付いた血を落としながら二人の話を黙って聞いている。
肉が焼けパンに乗せたチーズの香りが広がる頃、二人はようやく落ち着いて来た。
「うちの父さんは剣術よりも経済や芸術を学べって言うんだ。 優秀な兵士がいるから剣は任せて経済や芸術こそ貴族が学ぶべき事だって・・」
「私も魔法使えるようになりた~い、 火の玉や氷の矢をド~ンて打ちたい」
二人とも一転して元気がなくなり悲しげな顔になった。
「あ~ 、そりゃわかるけどな危ないんだぞ。 魔物に噛まれて死ぬのもいるし、手足が無くなったりな、そりゃ悲惨だぞ」
「そうだ、あこがれと実際は違う。 父さんは君等の安全を考えての事だろう、大事に思えばこそだ」
「そうね~ 、貴族なら魔物を追うより領地の事を考えないと」
レフ達が二人を慰めるが冒険者への憧れが強いらしく、こちらへの視線が熱い。
よほど冒険がしたいのだろう、 普段の箱入り生活の反動もあるか?
「でもうちに伝わる宝の地図も有るし、冒険しながら宝探ししたいな~~」
「ね~~~ お宝探し~~~~!」
「「「「なに?!」」」」
え? 今、宝の地図と言った? 言ったよね?
「うちの書庫に先祖伝来の宝物地図が有るんだけど、父さんは探す気無くて・・ がっかり」
「私達が探した~~い、 お宝ザクザク」
今度はこちらの目の色が変わった。




