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クリスタル・ロード 0265  素性?

遅くなってすみません。

 めまいがして倒れそうになるのをジョーイとレフが駆け寄ってきて支えてくれた。


「ととと、 大丈夫・・じゃないよね?」

「すまん、一人で戦わせて」


触られるだけで痛いのだが、倒れるともっと痛いと思うのでありがたい。

何箇所も骨折しているだろう、防具とリーシャのアイテムのお陰でこれでも軽めと思う。

相手もかなりの傷だが、向こうは痛みが麻痺している分楽なのが癪(しゃく)に障(さわ)る。


「あんたら、ネビィと戦えたしこれでもう満足だよな。 俺達はもう帰るぞ、いいな?」


レフが二人組を睨みつつ言うと女が懐から何やら取り出してこちらへ投げた。


「それ、残りの依頼料よ。 こっちの用は済んだからちゃんと払うね、護衛されたし」


受け取ったジョーイは面食らって革袋と二人組を交互に見ている。   

それはそうだ、騙しておいて金は払うとはおかしな二人組だ。  最初から最後まで。


「馬車を回してくるから、ジョーイは少し支えていろ」

「うん、ネビィ もう少し我慢してよ」


二人組は黙って見送るつもりのようだが、男が立ち上がろうとしている。


「今動くと、腹が 裂けるぞ。  今のうち 治癒しておくほうが良い」


 傷が痛むがかろうじて声を絞り出し伝えると、女がまた笑顔になる。


「あら、そうだったわね。 じゃあまず動かないよう私のツタで縛っておくわね」

「あ? いらねえぞ、そんなの」


男が言い終わらないうちツタが男に巻き付き、止血と固定?をするため縛りを固めた。

まるで捕らえられたかのようだ。  

 

 「ええい、余計なことを・・」


男はむくれているが逆らうほどの元気は無いらしく座り込んだままである。

そうしているうちにレフが馬車を走らせて近くまで来た。


 「ああ坊や、私の名を言ってなかったよね。 私はバターニャ、 覚えといてね~」


笑顔で手を振るが、あの狂気の目を見た後なので不気味なだけだ。

この二人は一体何を考えているのやら・・・・・



 馬車へ乗せようとレフに引っ張り上げられ、ジョーイに押し上げられるが・痛い。

骨が軋(きし)んで激痛が全身に走り、息が止まり目眩(めまい)がする。

しかし騒ぐわけにもいかないので黙って耐えるが・・ 体が持つだろうか?



「なあおい、ネビィ君よ・」   


遠くから男の声がする。  え? また意識が飛びそうになっていたが、呼び戻された。

なんだ、なんの用だ?


「お前、その若さでそこまで強くなって、何するつもりだ? その歳で俺とやりあえる奴なんぞお前ぐらいだぞ」 


何をするか・・だって? 何を?  自分が・・?


「王にでもなる気か? あ?」


訝しむような、からかうような、そんな顔つきで。 女は黙って聞いている。

王に・・・・ 自分が?   でも、自分は 一度王になって・・・・・ その結果は?


「王には 自分よりふさわしい人が・・ 領主がいる。   自分は・・」

「領主? ああ、あの優男(やさおとこ)な、あいつが王になるんだったか?」   


 呆れたように笑っているが、あの人は自分よりずっと賢くて領民のことを考えられるだろう。

だから、自分は。


「国造りを自分は手伝えればいい。 うんと強い国に、虐げられず、盗られない国に」

「ほう、じゃあお前は将軍を目指すか? なるほどな」


大笑いするかと思ったが、納得したような満足したような妙な顔つきをしている。

女も似たような表情だが黙っている。

するといつの間にか馬車が動き出していた。 ごくゆっくりだったので気づかなかった。


 「また会いましょうね~~ 坊や~~~~」


また坊やと言った女が手を振っているが、こちらは痛くて体が動かない。

それに坊やではない。  こちらでだって既に大人扱いの歳なのだ。    

また会うなどと嫌なことを言う・と、目を閉じた。  馬車の揺れで体が痛む。



  *********************************



 街へ戻ってすぐに治癒院へ運ばれた。

リーシャ達に知られると心配するだろうとの配慮で、ありがたかった。


「それでね、あの二人、 殺しは止められてるとか勝手に来たのがバレるとまずいなんて話してたよ」


ジョーイがそんなことを言い出したが、そんな事をいつ聞いたのか? 馬車は離れていたはずなのに。


「ジョーイは耳が良いんだ、目もな。 こいつの特技さ」

「そうよ~~、 私は弓だけじゃないいんだよ。 偵察役だからね~ ふふん」


得意満面に胸を張る。  そう言えばそんな事があったか、獣を探すのが早かったような?


「それに・・ 王はあいつに勝ったのか、嘘くさいなんて・ね」

「王? 王ってどこの王だ? 王と戦ったことなんてあるか?」


 レフが訝(いぶか)しげだが・・ それは、あいつだろう、王といえばそれしか思いつかない。

二人はあの戦いのことを知らないんだったか?

その時治癒院の魔術師が道具を持って部屋へ入ってきた。


「では治癒を始めますからお二人は離れていてください。 骨折がひどいので夕方までかかりますがよろしいですか?」

「ああ、始めてくれ」


治癒が始まると徐々に痛みが薄れてきて眠くなってきた。

二人は物珍しそうに見ていたが、そこからの記憶がない。  


二人が無事で良かったと思ううちに眠りについていた。





毎日暑いですね、こちらもへばっております。

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