クリスタル・ロード 0259 護衛依頼?
遅くなってしまってすみません。
「依頼? 自分に?」
この街に戻ってきてから数日後の朝、グロフから伝言があった。
「今日久しぶりにギルドに顔を出したんだがな、ネビィ指名の護衛依頼だとさ」
「護衛? 旅人ですかね。 ギルドの登録もしてあるとはいえ珍しい」
「お前の腕は噂で広がっているからな、”歩く凶器 二世” でな。 依頼だって来るさ」
「嫌な二つ名を・・・」
凶器を作っているのは父さんだ、自分じゃない。
あんなのと一緒にしないでほしい、そりゃ少しは改良したけど道具として仕方無くだ。
決して凶器を振り回すのを望んでなどいない。 本当だぞ!
「護衛の依頼だって? なら俺もやるぞ、畑仕事ばかりで退屈してた。 俺も混ぜろ」
畑の脇で話しているとレフが聞きつけて口を挟んできた。
「グロフは他国への情報活動で出かけたから今度は俺だ、いいよな!」
「あ、じゃあ私も。 外の仕事は久しぶりだしやりたい」
ジョーイまで混ざりたがるとは。 畑から手を上げて伸び上がっている。
「まあ依頼者は女だからな、女の付き添いが居るほういいが」
「やった! フレアは?」
「あいつはだめだ、暴走したせいで謹慎処分中だから俺が見張っている」
飛び上がって喜んでいるジョーイと反してフレアは少し離れた畑で黙々と作業中である。
むくれてつまみ食いが多めだが、あれはやけ食いか?
トマトをさっきからいくつ食べているのだろう、太っても知らないぞ。
ギルドへ着くと依頼相手は女性一人、歳は20代? せいぜい30代かな。
髪がやや長く細く編んだ短めのお下げが2本、大人しそうな素振りで飾り気は無いが良さげな服で小さめの荷物を脇に置いている。
「依頼を受けてくださるとは助かります、強いとの噂を聞いておりますので」
嫌な噂でなければ良いがと思いつつ、笑顔で言われたのでそれは大丈夫だろう。
依頼料は低めにしておく。
「安くしていただいてありがとうございます、もっと掛かるかと思ってましたので」
「いえいえ」
田舎住まいの祖母を尋ねるだけだそうなので危険な場所では無いから、相場より少し程度だ。
悪い噂を払拭する意味もあり、指名だからと吹っ掛けるつもりはない。
「家の馬車で行きましょう、馬車と言っても粗末なので乗り心地悪いですが」
「乗せていただけるのですか。 歩く覚悟だったので嬉しいです」
距離は徒歩なら8日ほど、馬車なら3日で済むだろう。
レフとジョーイもだから4人、食料もそれなりに必要だがあの馬車で問題ない。
そして翌日の朝、出発したが最後まで行きたそうに見送っていたフレアはグロフに襟首を掴まれて畑へと戻っていった。
つまみ食いの数が増えそうな気がする・・・・。
「3人も付いていただけるとはありがとうございます。 依頼料が不足なのでは?」
「なに、俺達は他から給金が出てるしどうせ暇だしな」
御者をしているレフが快活に応じた。
久々の外仕事で嬉しそうだが、客に暇を主張していいのかと思う。
有能な冒険者ほど忙しいはずなのだが、そこを考えてもらいたい。
ジョーイはその点に気づいたのか苦笑しながら懐からカードを取り出した。
「まあまあ、お金のことはいいからカードやらない? ただ座ってるのは暇じゃない? カードは嫌いかな」
「あら、私強いんですよ。 普段は仲間から巻き上げてしまうほど」
「今日は掛けないということで。 しましょうか」
巻き上げられるのもまずいし、客に勝ってしまうのも問題だからね。
「じゃあお菓子を掛けますか、アメが少しあるので」
「ではこちらはクッキーを」
などと和やかに始まったカード遊びだが数時間後、こちらが押されている。
大人しそうな人だがカードに向ける目が鋭く、強いのは本当らしい。
金を掛けていたらたぶんもっと気合が入るに違いない・・・ しなくてよかった。
しかしお菓子を作ってくれたリーシャには申し訳ないが、お客へ少し分けたということで納得してもらおう。 いいよね?
御者を交代したレフも負けが混んだ頃、街からだいぶ離れ人気がすっかりなくなり、道は狭くやや荒れ草地と岩、まばらな木々程度の殺風景が続くようになった。
この辺りでは道を使う人も少ない。
しかしそう思っていたとき、道路脇の大きな岩の影から人が出てきた。
こんなところに? しかもこちらを見て黙って立っているのは・・ 嫌な予感がする、 レフも同様に感じたのか剣に手を掛けた。
「ジョーイ、弓を準備だ!」
「わかった」
自分も武器を出す。 剣の他にも持ってきている。
岩陰から出てきた男が片手を上げて大声を出した。
「そこにネビィってのが居るよな、俺はそいつに用があるんだ」
いつも読んでいただきありがとうございます。
最近暑いですね、本当に




