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クリスタル・ロード 0255  〇〇 イヤ!

  森の奥へと氷の刃が降り注ぎ、大瀑布の如き音が響いて地面を揺らす。

ビリビリと足に響いてあたりの木はことごとく揺れてざわつき葉を落とし、あたりが暗くなった。


「えええ?!」


リーシャがフレアの強引さに目を丸くした。


「こらフレア、やめろ!」


自然破壊・その言葉が頭をよぎる。

森の奥では植物はズタズタになって水は汚れ魚類にも被害が出ているだろう。

しかも森の水は水路で街に導かれ飲用にも使われるのではと思うので、まずい・・

自分達がやったとバレると国際問題なのでは。


「ここまでやられてダンマリですか、さあ出てらっしゃい!」


 そんなことを微塵(みじん)も考えていない雄叫(おたけ)びが聞こえる。  

この人ホントに元貴族か?    違うか、こうだからこそ ”元” なのか。

なぜ貴族でなくなったかわかった気がするぞ。


「あ~~~ 、やりやがった。 どうすんだよこれ」


グロフが言うようにかなりまずい状況に陥っている。

川の水が徐々に黒ずみ落ち葉や木の皮、鳥の羽、昆虫の死骸が浮いてどんどん密度を増してそのうち水路を詰まらせるのではと思うほどなのだ。


 「うわ~~~」


さっきまで無言のリーシャでさえ黙っていられなくなっているのがもっともな光景だ。

しかし当の本人、お嬢様は鼻高々である。


「さあどこからでもいらっしゃい、まだ出られませんか?!  


杖を振り回し胸を張り足を開いて、これは仁王立ちというやつか。


「しょうがねえな」


グロフが渋々槍を構えてフレアの左前方で警戒に入ったとき、森の気配が変わった。

 

「来るわね、リーシャ準備はいい?」

「はい!」


 政治的、倫理的なことはとりあえず置いといて自分も仕方なく準備に入る。

遺跡から得た剣を腰から抜く。 これは軽くて切れ味が凄い。

どんな相手かわからないが魚というには小さいのではと思って、振り回し易いものにした。


 森がザワザワと音をたて足元が僅かに震えて嫌な感じが伝わってくる。


「どこから来るんだ?」  

「川からのような、木の上のような・・・そんなはずはないけど」


 樹上からもヤブからも気配がする。

でも魚だよな、魚が木に止まっているわけがないしなんでそこらじゅうから気配がする?

魚だし、来るのは川からのはず、よほど大きいのかと水面を見たのがまずかった。


 いきなり地面の石ころが跳ね飛ばされてそこから長いものが向かってきた。

まるで矢が放たれたように早い!

慌てて避けるが髪を引っ張られて痛みが走り、数本抜かれた?か、噛み切られたようだ。


「いつっ」


それが着地するまもなく、次々に地面を破裂させるように小石を飛ばしながら飛び出して矢のように向かってくる・・ 一体どこから? これが魚?!  


「なんだこいつは? ヘビか?! 」


次々に飛んでくるそれをグロフが槍で払うがどこから来るのかがわからない。

地面が弾けると現れるのだ。


「穴か、地面に小さな穴があるぞ、そこから飛び出すんだ」


 グロフの言った通り小さな穴があり、そこにすぐ水がたまる。

しかし次にどこから来るのがわからないのは同じだ、どうする?


「全体防御を掛けてるのに止まらないよ、 ええ?」

「魔法耐性があるようね、一点突破で抜いてくるのよ。 やるわねえ」


リーシャが慌てているがそれでも効果はある。 速度が落ちているから不意打ちでもなんとか避けられるのだ。  

しかしグロフが服をあちこち破られているし、自分もそうなりそうだ。


 「フレア、氷結魔法で地面を凍らせろ! それでな・・」


グロフが振り返って叫ぶ。

しかし当のフレアは背中を向けて離れていくところだった。


「ちょっと待て、どこへ行く?」


グロフがフレアの首根っこを捕まえて引き戻すがフレアは振り返らず進もうとしている。


「ヘビは嫌いなので撤退させていただきますわ、即座に!」

「お前・が、けしかけたから出たんだろうが。 責任をとれ」


 二人の防御がおろそかになっているので飛んでくるヘビのような魚?を、次々に切り捨てる。

ようやく目が速さに慣れてきたが、これ捕まえるのが目的だったか。   


「どうやって捕まえようかしらね、網は持ってきてないし私の氷魔法では・・・」



先生は氷系は苦手だったか?


「フレア、お前が早く凍らせろ!」

「ヘビ、嫌ですわ」


しかしフレアの襟首を掴んで抑えているところに横からそれが飛んできて、ビシャっと首に巻き付くように止まった。


「イヤ~~~~~~~~~~~~~ッ !! 」


フレアの絶叫が一帯にこだました。




いつも読んでいただきありがとうございます。

暑いですが頑張っております

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