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クリスタル・ロード 0254  森の探索

「どいた、どいた! 緊急馬車だ、道を開けろ!! 」


勢いよく馬車が門を抜けて街へ入っていく。

皆慣れているのか、すぐ脇へどけて馬車がスムーズに去って行った。


「何かあったんですか」

「街の外で水路工事人が魔物にやられたんだ、たぶん噛みつき魚だな」

「噛みつき魚? そんなのがいるんですか」


グロフが兵士に聞くとすぐ教えてくれたが、そんな魔物は聞いたことがない。


「森の奥で、たまに現れる。 この辺じゃ見ないから街にいれば問題ないがな、それに大した怪我では無いはずだ・やたら痛いけどな」

「あれは痛覚毒があるから傷の割には痛むんだ。 ガキのときに噛まれたことあるがな」


他の兵士が顔をしかめて言うのでよほどらしい。

しかし大怪我ではなさそうなので幸いだし、この街ならすぐ治療できるだろう。

 

「あんたらも気をつけてな、森には入るなよ」

「はい、そうします」


 街を離れた頃、フレア達のグループが馬車で合流してきた。

フレアはいつもと違って日除けの大きな帽子を被りお嬢様風である。


 「調査ってこんなことでいいのかしらね、なんだか遊びに行かせてくれたみたいで悪い気が」

「領主だって特別な成果があるとは思ってないだろ、情報集めなんて気長にやらんとな」


フレアは本当に旅行中のお嬢様のようで、馬車の荷が増えているのは多分お土産だ。  

アクセサリーだって来たときとは違うものが付いているし。  

ずいぶん金を使っているようだが大丈夫かな。


「情報集めなら、私さっきの ”噛みつき魚” 採っておきたいのよね」

「え?!」

「お母さん、危ないよ。 森には入るなって言われたのに」


 本当に何を言い出すかな、元冒険者とは聞いたけど子持ちの身でそんなことを。


「じゃあ自分が捕まえてきますから待っていてください」

「あら、ネビィ、 私だってまだ戦えるのよ。 じゃあ前衛を任せるからお願いね」

「なら俺も付き合いますよ、調査ばかりで退屈してたしやりますか!」

「あら、みんな狩猟ですの? じゃあ私も行きますわね。 暴れますわよ」



 皆が行くならと結局リーシャも行くことになって馬車3台が森へ向かう。  

メンバーはそれなりに強いのが揃っているので、問題はないはずだ。


「でもお母さん、その魚が必要なの? 何に使うのいったい?」

「使うというより研究用にね、ここの生物は面白いから。 飛んだり噛んだり大きなクラゲだとか、ここの水が関係あるのかも調べたいし」

「なるほど、あのデカいクラゲのこともあるし捕獲すれば役に立つか」

「では領主へのお土産ということで、やりますか!!」

「「「お~」」」」



 馬車は森へと入って行く。

みな本心は退屈していたらしく少々の危険などお構い無しで賛成してくれた。

森と言っても川が多く街に近いところは水路にされているので、その工事で森へ入った人がやられたらしい。


噛みつき魚とはどんなサカナだろうか? 大きさは? 形や色は? 詳しく聞けばよかった。

でもまあ噛みつきと言うんだから多分襲ってくるだろう。


 「そろそろいいかな、森の奥に入った頃合いだ」


グロフが窓から顔を出して様子を見たとき木々十分茂り、川が狭まって両側を流れていたので馬車が走りにくくなっているほどだ。


「じゃあ自分は前衛で前を歩きますから」

「俺もだな、左側を歩くから右を頼む。 どんな奴かわからんから油断するな」


「師匠、私はこちらに付きましてよ!」


フレアがやってきて杖を振り上げる。  


「じゃあフレアは全体防御と範囲攻撃でね、よろしく」

「任されましたわ! 川が多いから氷魔法でやりますか!!」

「リーシャはネビィへの支援と後方防御ね」

「うん」


 馬車をおいてそこからは皆で歩くことになり、川で挟まれたところをさらに奥へ進む。

川幅や深さ、流れはさほどでないが渡るには服が濡れるので、ちと面倒だ。

他のチームと分断されているが致し方ない。


 地面は濡れているが硬いし滑らないので歩きやすい。 やや岩が多いがぬかるむより良い。

木の間は低い灌木と葉の大きめの草、それをかき分けて歩くのが少し邪魔だが。


「水路工事より奥に入ったから、そろそろのはずだよな」  

「でも、出るのはたまにだそうですからね、少ないかなと」

「あら、それでは少し挑発して上げましょうね、うふふふ・ふ」

「え?!」


 フレアが嫌な笑みを浮かべて杖を振り回すとグロフがなにか言おうとする間も無く、術を発動させた。


「ちょ、待て!」


そう聞こえたときにはすでに氷の刃が数百、森の奥に降り注いで滝のような音が響いた。




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