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クリスタル・ロード 0253  これでいいのだろうか?

 とんでもなく大きな噴水が広場の中央から吹き上がり、上空で広がり夜空で輝く水が街中に降り注ぎ屋根や地面さえ輝かせる。

霧のようになった飛沫も光るので街の空気がきらめいているようだ。


街の子どもたちが光るしぶきを浴びながら歓声を上げて走り回っている。


「ほお~ 、水の花火かよ。 こんなのは始めて見た」


 グロフの脇を走り抜けていく子供の立てる水しぶきが光り、そのしぶきが地面に落ちてさらに光り、飛んだしぶきがまた光る。

光の連鎖で花火よりせわしなく賑やかな光景が広がる。

地元の人には見慣れた光景だろうけど旅人には別世界のような華やかさで呆然としてしまう。


「これはなんと言ったらいいか・・」   

「ふわあ~~~ 綺麗ね~~~~」

「おおおおお 」


 少し離れたところでフレアたち一行が同様に驚いて見上げているところだが、よく見るとフレアが指で「伝達」の合図をしている。

リーシャの母さんがそれに気づいてゆっくりと近づいていき、背中合わせに立って空を見上げているがここからでは何を伝えているか聞こえない。


リーシャはそれを横目で見ながらも水の花火に夢中になり次々に広がる光を目で追っている。

数分してフレアから離れたリーシャ母さんは、近くの出店でお菓子を買って戻ってきた。


 「二人ともこれ美味しそうよ、食べてご覧なさい」


団子のように串に刺された物が一本につき2つ、大小に丸く平べったく団子より少し硬め。  

モチのようなアメのような、見たことのない菓子で、いい香りで甘い。


「おいしい、中は蜂蜜りんごかな、煮てあるね」


リーシャの好きそうな菓子で、自分には少し甘さがオーバーだ。


 グロフには酒らしき小さな瓶が渡され、ストローで吸うようになっているもので歩きながらでも飲みやすくしてあるようだ。

なかなかいいな、とつぶやきながらグロフはそれを満足気に飲んでいる。



 その日の夕食は広場に近いレストランで屋外にテーブルが並べられ、ひさしが大きく水がかからないようになっている所で、花火の様子も十分見えている。


 「さっき、フレアさんはなんて言ってました?」


 注文が済むとウエイトレスが奥へ引っ込んだので聞いてみた。


「ここの水はなにか妙な感じがするって、そう言ってたわ。 私と同じ、魔力とも違うけど・・でもここの住人は感じてないのかしら、みな平気そうだし」

「私はここ好きよ、濡れたけど嫌な感じじゃないし体の中まで洗われてるみたいで」

「そうね、悪い意味ではないのだけど・・・ 不思議な気配なのよね」


 自分とグロフは顔を見合わせた。

どうも魔法系の人ではないとわからない事らしく、自分達は何も感じていない。


 「水に特別な成分でもあるとか?」

「どうかしらね、ここの水を持って帰ろうと思うの。 お酒もだけどお土産にしましょうね」

「酒は確かに持ち帰りたい。できれば馬車1台分」


グロフが力を込めて言う。 それほどの旨さとは父さん達が喜ぶだろうけど、1台分て。


「しばらくここに住んで調べたいけど、そうもいかないし帰ったらゆっくりとね」  


 話しているうちに料理が運ばれてきたがその香ばしさから生きのよさがわかり、量からするとずいぶん安めだと思うのは、さすが水の国だ。

そして味も素晴らしい。 エビやカニなど最上級レベルの料理で、まるで貴族用である。


「う~~ん、 これを父さん達に味わせられないのはすごく罪悪感がある」

「そうだな、これを言ったらジョーイ達がむくれそうな気がする」

「この鮮度で持ち帰られたらいいのにねぇ」

「ほんとにね」


 四人が顔を見合わせて、しばらく黙っていようと話がまとまった。

とりあえず酒やお菓子など日持ちするのをお土産としてなるべく多く買うということで。



 「ここは小国とはいえ水産資源が豊富で質も恵まれているな、酒もだが」  

「そうね、食料は豊富だし軍事面はともかく貿易で豊かになりそうだけど、していない?」

「ここが輸出で儲かっているなんて、聞いてませんよね」

「私も聞いたことないよ、なんでだろ?」


これほどの資源ならそれなりに豊かになりそうだがそんな噂は聞いていない。

金が入れば軍事的に有利なはずだが、そうはしていないのか? なぜ?


 

 この国の調査に来たはずなのになんだか本当に旅行に来たかのようで、うまいものを食べ祭りを楽しんでお土産を買うことになっている。

いいのだろうか、これで・・・・・。



 翌日、皆満足で朝を迎えたが領主への報告がこれでいいのかとの話になった。

目的はこの国の情報収集だったのだが、これでは観光して帰るかのようで申し訳ない。  

情報員でもすぐに有用なネタを得られるわけではないとしてもだ。


「フレアたちにも聞いて来るわ、なにか掴んでいるかも」


しかし接触をしてきたフレアも似たような情報で、特にさは無いそうだった。

期日はあと2日ほど、それまでに他のことが分かればいいが。

別の街に行くほうがいいかとグロフは言う。 おそらく他のグループもそうだろう。



 そして次の街に向かおうかとしていたとき、通りでなにか騒ぎが起こった。

ドラゴンでは無いらしくそれほどの騒ぎではないが・・ なんだ?


 怪我人が出たと馬車が走っていた。 街の外のようだ。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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